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14話
――セルビア・ノヴィ=サド 依頼人宅
「何かあったんだろうか」
英次は眉間にしわを寄せて呟くと、電話をダイニングテーブルの上に置いた。
悲鳴が聞こえた少しあと、彼はリンに「通信を終了する」と言われて電話を切った。
その後、いくらかけ直しても相手が出ることはない。あの緊迫した様子から、何か非常事態が起きたのだと分かる。電話に出ていられないほどの悪い事態が……。
やきもきしていた彼だったが、ふと閃いた。
「そうか、ハルの仕業か」
屋敷は今日も変わらないな。と笑みをこぼして、英次は出された茶をすすった。