お姫様抱っこ
お姫様抱っこ。それは女の子にとっては共通の憧れであり、夢である。
特に映画の中なんかでは頻繁に使われており、男女はそのままいい感じの雰囲気になる。
そう、つまりお姫様抱っこは、男の子にとっても永遠のテーマなのであるッ(巻き舌)!
「ってこの前漫画に書いてあったんだけどさぁ、実際のとこどうなんだろうな?」
『そんなん俺に聞かれても。そもそも、お姫様抱っこなんてした事ねぇし』
[いや、した事のあるやつなんて、リアルじゃほぼ居ねぇと思うんだけど]
「そういやお前、姉ちゃんいたよなぁ。やってみればいいじゃん!」
『無茶言うなよ! そんなん言ったら殺されるっつうの!』
[お前の姉ちゃん、彼氏いない歴年齢なの、いつも嘆いてたもんなぁ。大学生になってどうなってんの?]
『彼氏ができたら、その日の内に自慢の電話かけてくるって。察してやってくれよ、お前ら』
[……すまん、なんか悪かった]
「見た目だけはいいのに、なんでモテないんだろうな、お前の姉ちゃん」
『…………いないからって、トドメ刺してやんなよ。今、自分で原因言っただろ、お前』
――――へぇぇっっくしッ! んん、あのバカ三人組、変な話してんじゃねぇだろうなぁ――
「でさぁ、お姫様抱っこについてなんだけどさぁ」
『うん』
[あぁ]
「あれって、腕疲れねぇのかなぁ?」
『そういえばそうだなぁ』
[いや、別に腕だけで持ち上げてるわけじゃ……]
「だってさぁ、考えてみろよ。何十キロって重量を持ち上げるんだぜ? 下手したら腰やっちまうって」
『下ネタか!』
[そんな発想のできるお前もたいがいだよ]
「よし、筋トレしよう! いつお姫様抱っこするような状況になっても大丈夫なように!」
[普通に暮らしてたらねぇよ、そんな状況]
『よし来た! 俺も付き合うぜ!』
[あぁ、ここにもバカがいた……]
「まずは腕立て伏せ100回だ!」
『どっちが先にできるか勝負だ!』
「うぉぉおおおおおおおおおおおおっ!」
『でやぁああああああああああああっ!』
[…………]
「16、17、18、19……」
『15、16、17、18、19……』
「う、腕が……」
『も、もう、限……界……』
[なぁ、話が終わったならもう帰っていいか?]
「あ、そうだ!」
『どうした!』
「いや、お前らをお姫様抱っこできれば、どんな女の子が来てもお姫様抱っこできるじゃん!」
[そうかー。ヘビー級のお姫様じゃなかったらいいなぁ]
『お前天才じゃん!』
[お前、本当に頭大丈夫かよ。なんだか心配になってきたんだけど]
「よし、じゃあ俺がお姫様抱っこするから、お前抱かれる方な!」
『じゃあ、次は逆でな』
「い、いくぜ。準備はいいか?」
『いつでも、お、おっけーだぜ』
「おりゃー!」
『でやー!』
[おー、すげーすげー。雑技団でもやるのかー]
「う、うるせー」
『が、外野は黙ってろ』
[でもさぁ、足首と襟持つのって、お姫様抱っこって言うのか?]
「した事もされた事もねぇんだからわかるわけないだろう!」
『した事もされた事もねぇんだからわかるわけないだろう!』
――ままー、あのお兄ちゃん達、テレビみたいなことやってるぅ~!
――絶対にマネしちゃいけませんからねぇ
――はーい
「…………」
『…………』
[どうした? やならいのかー? お姫様抱っこの練習]
「うるせぇ!」
『うるせぇ!』