表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

神奈月短篇集(黄)

お姫様抱っこ

作者: 神奈月

 お姫様抱っこ。それは女の子にとっては共通の憧れであり、夢である。

 特に映画の中なんかでは頻繁に使われており、男女はそのままいい感じの雰囲気になる。

 そう、つまりお姫様抱っこは、男の子にとっても永遠のテーマなのであるッ(巻き舌)!


「ってこの前漫画に書いてあったんだけどさぁ、実際のとこどうなんだろうな?」


『そんなん俺に聞かれても。そもそも、お姫様抱っこなんてした事ねぇし』


[いや、した事のあるやつなんて、リアルじゃほぼ居ねぇと思うんだけど]


「そういやお前、姉ちゃんいたよなぁ。やってみればいいじゃん!」


『無茶言うなよ! そんなん言ったら殺されるっつうの!』


[お前の姉ちゃん、彼氏いない歴年齢なの、いつも嘆いてたもんなぁ。大学生になってどうなってんの?]


『彼氏ができたら、その日の内に自慢の電話かけてくるって。察してやってくれよ、お前ら』


[……すまん、なんか悪かった]


「見た目だけはいいのに、なんでモテないんだろうな、お前の姉ちゃん」


『…………いないからって、トドメ刺してやんなよ。今、自分で原因言っただろ、お前』


――――へぇぇっっくしッ! んん、あのバカ三人組、変な話してんじゃねぇだろうなぁ――


「でさぁ、お姫様抱っこについてなんだけどさぁ」


『うん』


[あぁ]


「あれって、腕疲れねぇのかなぁ?」


『そういえばそうだなぁ』


[いや、別に腕だけで持ち上げてるわけじゃ……]


「だってさぁ、考えてみろよ。何十キロって重量を持ち上げるんだぜ? 下手したら腰やっちまうって」


『下ネタか!』


[そんな発想のできるお前もたいがいだよ]


「よし、筋トレしよう! いつお姫様抱っこするような状況になっても大丈夫なように!」


[普通に暮らしてたらねぇよ、そんな状況]


『よし来た! 俺も付き合うぜ!』


[あぁ、ここにもバカがいた……]


「まずは腕立て伏せ100回だ!」


『どっちが先にできるか勝負だ!』


「うぉぉおおおおおおおおおおおおっ!」


『でやぁああああああああああああっ!』


[…………]


「16、17、18、19……」


『15、16、17、18、19……』


「う、腕が……」


『も、もう、限……界……』


[なぁ、話が終わったならもう帰っていいか?]


「あ、そうだ!」


『どうした!』


「いや、お前らをお姫様抱っこできれば、どんな女の子が来てもお姫様抱っこできるじゃん!」


[そうかー。ヘビー級のお姫様じゃなかったらいいなぁ]


『お前天才じゃん!』


[お前、本当に頭大丈夫かよ。なんだか心配になってきたんだけど]


「よし、じゃあ俺がお姫様抱っこするから、お前抱かれる方な!」


『じゃあ、次は逆でな』


「い、いくぜ。準備はいいか?」


『いつでも、お、おっけーだぜ』


「おりゃー!」


『でやー!』


[おー、すげーすげー。雑技団でもやるのかー]


「う、うるせー」


『が、外野は黙ってろ』


[でもさぁ、足首と襟持つのって、お姫様抱っこって言うのか?]


「した事もされた事もねぇんだからわかるわけないだろう!」

『した事もされた事もねぇんだからわかるわけないだろう!』


――ままー、あのお兄ちゃん達、テレビみたいなことやってるぅ~!

――絶対にマネしちゃいけませんからねぇ

――はーい


「…………」


『…………』


[どうした? やならいのかー? お姫様抱っこの練習]


「うるせぇ!」

『うるせぇ!』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ