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第8話「人気者少女×影薄少年後編」

「う〜〜ん・・・結構高いな〜・・・」

佐奈江は屋上でフェンスを越え出っ張ったコンクリートの上に立っていた。

[でも・・・高志君に嫌われているし・・・迷惑かけちゃったし]

まだ涙は止まらなかった。

「高志君の言葉・・・結構・・・痛かった・・・なぁ」

真剣に好きだった・・・助けてもらったのもそうだが・・・、


____________________________


『僕、植物好きでいつも世話しているんだ、おかげで友達はいないけどね』

『そうなんだぁ〜、・・・ね、ねぇ』

『なんだい?』

『その、え〜・・・もし、よかったら・・友達になっても・・いい?』

驚きつつ、すぐ、優しい笑顔になった高志。

『ほんと?・・・今すっげぇうれしい』

______________________________


[なんだか調子に乗ってたのかな?わたし]

周りからずっと特別視されて、ファンクラブまでできて、

なんだか、普通の友達が減ってて、

その中で・・・・一番大切な友達だったのに・・・。


「え〜っと、遺書はちゃんと書いたな、靴の上に置いといてと」

下を見れば何だか人が集まっていた。

〈あれ佐奈江ちゃん?〉

〈何やってるの!?まさか飛び降りるの!?〉

〈さなえーーー!!やめるんだーー!!〉

〈〈〈さなえちゃーーーん〉〉〉

ファンクラブだの先生方だの騒がしくなり始めた運動場。


「う〜ん、遺書に「「ファンクラブ」のメンバー死刑にして」って加えようかしら?」


「おいおい、心配してきたのに物騒なこと言うなよ」


佐奈江は体が硬直した、そう、高志の声がしたからだ。


「わ、わたし・・・天国が近いから・・・幻聴が・・」


「おいおい、落ち着けって」


高志の声がはっきり聞こえる、高志の気配が伝わる。


「ん?遺書?」


「あ!それは!」


「わたし、扇佐奈江は、自殺する事を決意しました。理由は、自分の犯した罪を償うためです。迷惑をかけてしまった、影雪高志様、申し訳ございません。私は命をとってお詫びします」


言い終わった後、高志は吹いて笑い出した。


「ハハハハハ!!!」


「え?なに?なに?私なにかとんでもない間違いを!?」


そう言ってフェンスをくぐり高志の元へ行く。


「な、なにかおかしい点でも?」


「いやさ、この文だと、まるで僕が君に死ねと言ったようなものだろ?それじゃぁ君が死んでこの遺書を読んだ人は僕が悪者だと思っちゃうよ」


「あ、確かに・・」


「それに・・・・君には死んでほしくないからね」


「・・・え?」


「きつい事言ってごめん、今伝えるよ、僕の本当の気持ち・・・」


 『あなたが大好きです』


「これが、僕の気持ち」


「は、ははらひほれ?」

真っ赤になって湯気を立てる佐奈江。

「え!?ど、どうしたの!?大丈夫か?」


「私も!・・・大大大大好きです!!!」


その声は、学校中に響いた・・。



「これで、一件落着ですわね」

屋上の出入り口から一部始終を見ていた3人。

「そうだな」

麗治も花鈴に相槌を打つ。


「なに言ってるの、麗治さんはまだ問題があるよ」


こころが指摘する。

「あぁ、正直、この問題は難問だぜ・・・」

「ははは、茜と喧嘩とは珍しいものだからな、どういたす?」

「・・・とりあえず・・説教を」


「麗治さん!!」


ふっ、珍しい、俺が怒られるとはな。


図書室

「茜さん、いい加減、麗治さんと仲良く」

「やだ!あんなわからずや!もういいもん!!」

[うわぁ〜、すっげぇ〜怒ってるよ]

とりあえず図書室へ入る麗治。

「あ、麗治さん」

「ご苦労さん、悠里、あの2人、何とかしたから」

「えぇ!!いつの間に・・」

「とりあえず屋上へ行ってみてくれ」

「はい!」

悠里はさっさと屋上へ行く。


「なぁ、茜」

「あぁあ?何だコラ!!」

「・・・悪かった」

素直に謝る麗治。

「・・・へ?」

「ちょっと言い過ぎたよ、だから悪かった」

「・・・・ふん!・・・それでいいのよそれで」

「調子にのるな」

「・・・・はぁあああ????ぶっ殺す!!」

「わぁああ!!!まて!!冗談だ!!おい!」

結局茜の投げる本をよける麗治。

茜の顔は・・・なんだか目の下に涙の後があったが、


どうやら今は笑っているようだ。


「ハハハハハ!!参ったか麗治」

本棚の下でダウンしている麗治。

「はい・・・参りました」

やべぇ、医者呼んでくれと思った麗治。

「あぁ、すっきりした」

「そうか・・・ま、だったらここの片づけを」

「あら〜、大変!今日用事ありましたわ!」

「コラ、嘘ついてんじゃねぇよ」

「嘘ではないないですわよ」

「ないないって・・あ!おい!ほんとに行くな!!」

「べー、乙女を泣かせた代償は大きいんだから!!」


[・・・マジかよ・・・]


その麗治の言葉が、茜の涙のことで言ったのか、はたまたこの荒れた本棚を一人で直す事に言ったかは

わからなかった。



「くそ!こころまで先に帰ってたか?」

暗くなってからやっと帰ってこれた麗治。


 部屋

「あははー、麗治さん大変でしたですね〜」

「そのグルメ本燃やすぞ」

「すみません」

「ま、とりあえず、ご苦労さん」

「はい!」


さて、次はどんなカップルだぁ〜?

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