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第7話「人気者少女×影薄少年前編」

ちょっと長いので前編から。

「さ〜て、今日も早速!相談がきているよ♪」

完璧に仕事の呼び込みは茜が仕切る事になった。

相談・・・確か前もそんなことを・・・金取ってるだろうな。


「今日は!影薄幸薄貧弱男と明るい元気ッ娘人気者女だよ!」


うわぁ、男の方は酷い言われようだな・・・。


影雪かげゆき高志たかし、園芸部2年、データー得になし、おうぎ佐奈江さなえバトミントン部2年、学年でもっとも人気者、ファンクラブ有り」

「ちょっとまってください!高志先輩にデーターなしって・・」

「悠里よ、影薄という言葉を聞いたであろう」

「で、でも、そんな、こ、これですと」

「高志っていう人の勝ち目ないですよ〜、そんな人気者にどうすれば付き合えるの〜?」

「うん〜、確かに今回は難しいなぁ」

「ちょっとちょっと」

頭を悩ますメンバー達に茜が呼びかける。

「相談者は佐奈江ちゃんのほうよ」

・・・・は?

「な、なんと物好きな者であるな・・」

「そんな日の光を浴びない者に日が当たりすぎている者が恋をするとは」

「悠里さん、はじめさんと口調かぶってますですよ?」

「と、とにかく、人気者からの告白でしたら、高志君はもちろん・・」

「いや、相談されてるってことは・・・告白断られたんじゃ?」

「さっすが麗治!ご名答!」

『うっわー、変な者どうしかよ』と突っ込む一同。


とりあえず相談者と対面。

「扇佐奈江です♪好きな物はイチゴと高志君で!ってきゃーー!!言っちゃったよー!!」

うわぁ、うるさいよと心で思う麗治。

「うっさいわよあんた」

堂々と言うな茜!

「と、とりあえずその恋って真剣なんですか?」

悠里が聞いてみる。

「もちろんです!・・・実は私が不良に絡まれている時・・・」


__________________


「さなえちゃ〜ん、あそぼうぜぃ」

「い、いやです」

「えぇ〜?いいじゃんかよぉ」

「やめてください!」

そんな時、高志君が、

「みっともないですよ、大の男が女の子をナンパしていると」


何だかかっこよく決めたけど、

あっさり2人にボコボコにされちゃって。


「だ、大丈夫?」

「あ、えぇ、慣れてますから・・」


________________________


「私、暴力振る人が大嫌いですから、でも彼は弱いとかじゃなくて、本当に無抵抗で、わたし、彼の優しさに惚れて・・・こんな気持ち、初めてだから」


「・・・そうなんですか」

「よし、では、次は高志に会いに行くぞー!」

「え!?は、早過ぎはしませんか!?」

「そんな事ありませんよー、せっかく彼女の気持ちが真剣なんですから!」

ついノリでしゃべるこころ。

「い、今の誰?」

「あ!き、気にしないで!」

「そうですそうです!それよりさぁ、高志先輩に会いに行きますか!ははは!」

悠里・・・嘘はうまいくせに隠すの下手だな・・。


 園芸菜園

「あ、高志君!ちょっといいかな?」

「あ、西条さん、いいですよ」

菜園には高志一人のようだ。

「あの〜、扇佐奈江さんのことなんですが・・」

悠里が話し出す。

「なんだい?君もサナエファンクラブ?だから僕は彼女とは関係無いよ」

「いいえ、私達は「キューピットクラブ」のものです」

茜がかっこつけて言う。

「「キューピットクラブ」?、あの天才沖田が部長で恋の相談をする」

「コラ茜!何で俺が部長なんだ!」

「えへ、だってその方が信頼度高いもん、先生達も認めてて」

[うぉおい!せんせーーー!!!]

心の中で叫ぶ麗治。

「で、まさか佐奈江さん相談したの?」

「はい、相談を受けました♪」

肩を落とす麗治と違い明るい茜。

「はぁ〜、どうせ彼女は冗談だろ?面白がってるけどこっちはファンクラブから因縁つけられて大変なんだよ、大切な植物だって、あいつら踏みやがって」


そこには高志が必死に治した花たちの姿があった。

だが、茎は折れてたり、葉がちぎれていたり、見るも無残な状態だった。

「そんな、園芸部の皆様のお花が・・・」


「しかも・・・部長に退部命令を言われたよ・・・」

「なに?それはまことか?」

「あぁ、ほんとさ、全く、彼女のせいで、花は罪も無いのに踏まれ、僕は唯一の友達の植物とおさらばしなきゃいけないんだよ、何が好きですだ、冗談でもやりすぎだろ!」


「う〜む、見事なまでの幸薄ぶり、不運の星に生まれたしか言いようが無い」

失礼な事を言ったはじめを茜と麗治と悠里が殴り黙らせた。

「だがな高志さん、佐奈江さんは本気なんだよ、これは嘘じゃない」

「・・・そう、でも、僕とだと不釣合いだし、なにより・・・」


    「邪魔なんだよ」


高志の言葉の後、園芸部の菜園の扉が開いた。

そこに立っていたのは、涙を流す佐奈江。

「・・・ごめんなさい・・」

佐奈江はそう言うと走ってその場から消えた。

「佐奈江さん!まってください!」

花鈴が追いかける。

「高志先輩!言いすぎでしょ!」

「落ち着け悠里」

麗治が優しくなだめる。

「そうよ!言い過ぎよ!」

「だから落ち着けって」

「落ち着いていられないわよ!悪いのはファンクラブで佐奈江さんは!」

「だからって高志さんは悪くないだろ!」

にらみ合う2人。

「・・・なによ・・なによ!!麗治のバカ!!」

茜は怒って出て行く。

「あ、茜さん・・・」

「悪い悠里、茜についてやってくれ」

「・・・はい」

悠里は茜を追いかけ出て行った。


「・・・・はぁ、なんでこうなるんだろ」

唐突に高志は呟いた。

「わるいな・・・俺のせいで」

「高志さんは悪くありませんよ」

「・・・・わかってるんだ、佐奈江が本気で惚れていたのも・・」

薄々感じていた麗治は黙って聞く。

「でもさ、やっぱ不釣合いなんだよ、人気者で、ファンクラブまである佐奈江と比べ、俺は、陰気な植物だけが友達の暗い存在」

はじめも何時の間にか起きて話を聞いていた。

「・・・佐奈江が惚れた理由の優しいだって、それは誤解で、俺は単なる臆病なんだよ、暴力をふるわないんじゃない、振っても意味が無いから大人しくしていたんだよ・・・」


「結局、俺みたいな奴と、佐奈江は付き合えないんだよ、不可能なんだよ」


高志は悲しい感じでそう言った。


「なんで不可能なんて決め付けるんですか!!」

[な!?こころ!?」


「不釣合いなんてどうして思うんですか!!彼女は人気者だけど自分は暗い奴だからって!!あなたはそんな理由で!!」


  「佐奈江さんの真剣な思いを踏みにじるんですか!!!」


「・・・だ、だから、俺と付きあったって佐奈江にだって良くないに決まって」


「佐奈江さんは!!あなたが好きなのに!!あなたがその思いを受け取らないから!!今彼女は泣いていたんです!!」


  「≪俺と付き合わないほうがいい≫なんて勘違いです!!」

  「≪あなたと一緒のほうがいい≫に決まっているでしょ!!」


こころは全力でそう言った。

「付き合わないほうがいい」ではなく「付き合う」ほうがいい。


「・・・麗治君」

「・・・はい」

こころの声ではあったが、高志は麗治が言ったと思っている。

それがわかっている麗治は優しく返事をした。


「俺間違がってたってことだな、確かに、佐奈江のためなら・・・」


  「あいつの真剣な思い・・・受け止めねえとな」


「我もそう思うぞ、高志、思い、届けたほうがよかろう」

はじめが高志に佐奈江を追いかけるよう言った時、

扉が急に開いた。

「た、大変です!佐奈江さんが屋上から飛び降りると!!」

「え!!??」

           続く

    


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