第16話「泣き虫少年×スケバン後編」
(う、うれしくないって!どういうことですかー!!)
こころが麗治に叫ぶ。
(落ち着けって!・・・考えてもみろ、羨は傷ついてるんだぞ)
(え?、羨さんが?)
ふと、戦っている羨をみる、
いくら強いとはいえ、殴られた後や、切り傷やあざがある。
(でも、でも!それは虎衛さんを守るためで、それを喜ばないのは最低ですよ!?)
(逆だろ?女に守ってもらって喜ぶ男なんて最低だろ?)
(そ、それは・・・)
「おらぁあ!!」
はじめが最後のヤンキーを殴り飛ばした。
周りは気絶か激痛で倒れている者ばかり、
その中で、唯一立っていたのが、羨とはじめだった。
「やるね、総長」
「へっまぁな、さて、さっさとここをおさらばしようぜ」
工場を離れる、歩いて学校へ向かう途中、妙に静かだった。
誰も喋らない。
なぜなら、虎衛からなぜか黒いオーラが出ていて、
麗治はおろか、羨すら戸惑った様子だ。
学校
気まずい雰囲気のまま学校へ着く、
「で、では我はこれで、ごめん」
はじめが元の口調に戻り早速退散。
それに続き麗治も、じゃあと言って帰った。
そして、虎衛と羨の2人だけになる。
(い、いいんですか?2人っきりにして?)
(そりゃ、そうするしかないだろ?気になるなら見てこいよ)
(そ、そんな盗み聞きはいけませんよ〜)
(じゃあ、ほっとくしかないな)
(あ、私ちょっと用事が・・・)
少し笑って麗治は答えた。
(そうか、じゃ、行ってこいよ)
一方、羨と虎衛は今だ沈黙状態だった。
「ケガしてますね」
ふと虎衛が声を出す。
「おっ!?・・・おう」
あまりにも張り詰めていた空気だった為ビクビクする羨、
「保健室に行きましょ」
保健室
「じっとしていて下さいよ」
消毒液をつける。
「いたっっ、つー!」
膝や肘のすり傷を綺麗にし、最後はバンソウコをはった。
「なぁ、怒ってる?」
羨は虎衛からの黒いオーラが怒っているととらえた。
「う〜ん、そうですね、怒っていないと言えば嘘になりますし」
虎衛の返事は中途半端で羨は更に緊張する。
「正直、女の子なんですから危ない事は控えてください」
「お、おう」
「助けてくれたのにはありがたいですけど、僕はあなたが心配なんですよ」
「おう」
ふと、また静かになる。
そして、
「すみませんでした」
羨の耳に聞こえたのはその言葉だった。
虎衛は真剣な眼をしている。
「好きな女子に助けられる男なんて頼りないですけど、僕は、あなたが好きです」
羨は少し間をおいてから今の現状を理解した。
告白されている、と。
「・・・・・・」
顔が真っ赤になる、何をすればいいのか分からない。
ただ、虎衛の言葉だけが頭に響いた。
「僕は・・・強くなります、あなたを守れるくらい、幸せに出来るくらい、強くなります、僕のこの気持ちは、本当です、だから・・・あなたとずっと一緒にいていいですか」
羨は虎衛を直視できず、顔をそらしたが、
その時確かに――はい――と返事をした。
屋上
そこにはもうはじめと麗治しかいなかった。
そこへ、こころが帰ってくる。
「どうだった?」
「・・はい、うまくいきました!」
本当に嬉しそうに、こころは言った。
「ほらやっぱ、覗きにいったんだ」
麗治がイタズラな笑みを浮かべる。
「ええ!”いや!その!そんなことは」
「はぁ、こころよ、我は信じていたのに、心外だ」
「だ、だから別に覗いてませんよ!」
怒るこころのそばで、はじめと麗治は笑っていた。
すみません、作者の諸事情でまた更新が減ると思います。出来る限りがんばりますが、気長にお待ちください。申し訳ありません。