第15話「泣き虫少年×スケバン中編」
みんな〜ひっさしぶり♪byこころ
「おい、お前羨ってアマ知らねえか?」
なぜか校庭の隅に他校の不良生徒がいる。
傍から見れば暴走族の輩が虎衛を取り囲んでいる。
「せ、羨さんに何のようですか!」
臆病なのについ、羨の名前が出た事により強がってしまった虎衛。
「ぁあ?偉そうなアマだな?口の利き方がなってねぞコラ」
スキンヘッドのグラサン男が睨み付けて言う。
「なぁ、こいつあの女の子分じゃね?」
モヒカンの痩せた男がリーダーらしきゴツイ男に言う。
「ああ!そっか!お前頭いいなぁ」
ろくに学校も行かず馬鹿ばっかりやっている癖に頭がいいわけないだろと思うが、
その暴走族軍団の全員がアホのため虎衛を女と勘違いした上に子分と決め付け、
「おい!そこのお前!」
「ひぃ!な、なんでしょう?」
「羨に伝えとけ、子分は預かった、返して欲しくば町外れの廃棄工場に来いってな!」
「は、はい!」
適当な通行人の生徒にそう言い放ち去っていった。
「・・・・連れ去られた?」
連れ去られるまでの一部始終を見ていた麗治達、
当然だが会話は聞き取れなかった。
ボー然とする麗治達だったが、学校の外に用意されていた暴走族たちのバイクのエンジン音で我に返った。
「な、なぜ虎衛が連れ去られたんだ」
羨が顔を下に向けつぶやく。
「・・・あ、あそこの男子生徒、確か最後暴走族と話していたよね」
茜が校庭を歩く生徒を見た。
次の瞬間、羨がもうダッシュで屋上から出て行く。
少し遅れて麗治達も羨を追いかける。
そして、
「こらぁああ!!!!そこのおまえぇえええ!!!」
「ひぃいいい!!!!」
怒鳴り散らし先程の男子生徒を羽交い絞めにし、
「言え!!何があった!!早くはけ!!」
「ぐ!!ぐるじい!!がはっ!・・」
窒息一歩手前ではじめが止めに入る。
「・・・・って言ってました」
「ばかやろぉお!!!!あいつは子分じゃねぇええよおおお!!!」
「ぎゃぁああ!!なんでぼくをっぐふ!!」
男子生徒は二度目の羽交い絞めを受け魂が昇天しかけた。
「・・行くしかねぇな」
男子生徒を放した後、早速羨は廃棄工場へ向かおうとした。
「だったら俺らも行くぜ」
はじめが喧嘩師のままで言う。
「いや、いいよ」
羨は断った。
「あたしの問題だ、自分で片付ける、それに、総長はいいが他の奴らは足手まといだ」
確かに西条姉弟は力はない、茜も一応女だし、オレは喧嘩なんてしたことがない、
返せる言葉もなく黙ってしまう一同、
だが、
「関係ないな」
(あれ?何言ってるんだ俺?)
突如話し出す麗治。
「乗りかかった船だ、オレは戦うぜ」
(ちょ、え?何言ってんの?)
「こんな所で止まってられっかよ、なぁはじめ?」
(まて!止まれオレ!どうなってんだ?)
「ふ、言うじゃねえか麗治、そうだな、やっぱここは行かねえとな」
(ちょ、はじめ!)
「かっこいいです麗治さん!僕の分までがんばってください!」
(え?悠里何言って!?)
「素晴らしいですわ麗治さん!」
「麗治にしちゃ、今日はかっこいい判断ね」
(花鈴に茜まで・・・あれ?こころは?・・・まさか)
「天才の沖田、お前がそんなに言うとはな」
羨が目線を鋭くして言う。
「・・はっきり言うぞ、お前の判断はバカのすることだ」
「それは違うな」
(な、何を言うきだ・・・こころ・・)
「私は天才だ!」
(・・・・家に帰ったら説教な)
「・・・フッ、気に入った、来たい奴は勝手に来い」
そういって、羨とはじめと麗治とこころが工場へ向かった。
廃棄工場
「兄貴〜、来ますかね〜?」
「来るだろ?こっちには人質がいるんだぜ?」
「でも、あの女冷酷非道だから見捨てるかもしれませんよ?」
「・・・・・そうか!!!」※注意バカです
「ど、どうするんですか?」
「く、まさかこうなろうとは・・・売るか」
「人売りですか?確かに顔はいいから高く売れますよ!」※注意真剣にそう思っています
「よし、決まりだ!」
「わぁああ!!!人売りなんて今の時代あるわけないだろ!!」
ロープで縛られイスに固定された虎衛が叫ぶ。
「中国マフィアなら話を聞いてくれるか?」
「そうっすね」
「わぁぁああ!!ってお前たち中国語はなせるの!?」
「あ、喋れない・・」
「でもオレの従兄弟アメリカにいますよ」
「だからなんだぁあああ!!!」
虎衛が叫んでいた為、外では叫び声しか聞こえなかった。
だがその叫ぶ声が羨達には悲鳴に聞こえた。
「ご、拷問でもしているのであろうか?」
いつの間にかいつものはじめ口調。
「まさかあいつら、虎衛がかわいいからっていやらしいことでも!?」
「なに!?それはまことか!!」
2人が話ている間、麗治はこころと話していた。
(お前いつ人に憑く方法覚えた)
(なに言ってるんですか〜、憑けませんよ?)
(お前お気に入りの『世界のゴージャスケーキ写真集』燃やすぞ)
(き、キツネ様に昨日教えてもらって)
(キツネヤローめ、変な事教えやがって)
(で、でも麗治さんって強いんですよね?)
(喧嘩なんかしたことねぇよ)
(えっ!・・・で、でもスポーツはなんか?)
(勉強ばっかでスポーツなんかできねぇよ)
(・・・私、悪い事しました?)
(・・・いや、良い事ではあるが俺にとっては絶対良い事ではない)
(・・ごめんなさい)
(・はぁ、もういいよ、お前は特に気をつけないでいいよな?)
(ん〜、多分?)
「おい!麗治!虎衛は今いやらしい事をされているかもしれないんだ!」
「は?なに言ってんだはじめ?」
「正面衝突だ!!」
羨が工場の門に向かって歩き始める。
それに続き、3人も後に並んだ。
「ギィィィイイイー!!!」
スライド式の巨大扉を開けると、中では中央に虎衛がイスに縛られていた。
それを取り囲む無数の不良軍団。
コンテナが置かれただけの倉庫は不良で敷き詰められたといった感じだ。
ざっと見回し100?やべーよ、無理勝てねえよと思った麗治。
だがさすが羨とはじめはゆうゆうとしている。
「おい、来たぞ?」
「あれ?来ないと思ったんですけどね?」
リーダーとモヒカンが喋る。
「うるせぇええ!!!この下等生物どもが!!!」
工場に響く怒鳴り声、羨は鋭い目線で相手をいびる。
「・・へっ、2人ほど助っ人かい?・・・ほ〜、天才の沖田、喧嘩師はじめ・・・え”」
「り、リーダー、天才の沖田に喧嘩師はじめってやばくないっすか?」
にわかに慌て始める羽螺最刀、だが・・。
「な、なに言ってやがる!こっちは235人もいるんだぞ?数で勝てるって!」
「聞いたか?」
羨が冷酷に言い放つ、
「つまり、羨が100人俺が100人麗治が35人と虎衛を助けりゃいいんだろ?」
(俺ノルマ35人!?少ないようで多いよ)
(よかったですね!たった35人でいいんですよ!)
(うれしくない!)
「いいか、取り合えず2度と立てないぐらいにしとけ」
取り合えずでそれなら、本気出すと死ぬよ?と思った麗治だった。
「難しいなー、俺は二度と外を歩かせないぐらいなんだが」
あぁ、こいつら外道、と思った麗治だった。
「やっちまえぇええ!!!!」
リーダーがそう言うと鉄の棒を持ったヤンキー達が襲い掛かる。
「ちょ!?武器あり!?」
「きな!相手にしてやるよ」
「久々に血が騒ぐぜ!」
すでにヒートアップな2人、
羨は相手の喉を突いたりみぞおちを殴ったり相手の急所を確実に叩いている。
正直下手すると死ぬ急所ばかりだが・・・。
変わってはじめは喧嘩師の名の如く、顔面エルボ、顔面正拳、どこで習ったのか、
相手の鉄の棒を奪い見事な棒術・・・。
で、麗治は必死に逃げていた。
「そもそも俺があんな化け物共と同じ力あるわけねぇだろ!!」
(だからって逃げててもどうにもなりませんよ?)
「わかってるそんな事!!!くそっ!・・・ちっ」
階段を駆け上がる麗治、どうやら上には木箱が置いてある。
「よし、これを落とす」
いざ持ってみると相当重い、レンガがたっぷり敷き詰められているのだから当然だ。
「あらぁあ!!」
一気に木箱を階段から落とす。
木箱は勢いをつけ階段にいたヤンキーを掃砕、
さらに途中で木箱が壊れレンガの雨が降った、
それにより恐らくノルマ達成は出来たと思う。
「・・・・うわぁ〜」
(さっすが麗治さん♪ナイスファイト!)
嬉しくない誉め言葉を無視し麗治はレンガを2、3個拾って虎衛を救出に向かった。
「くっ、多いわ」
「なんだ羨、たったの62人でばてたのか?俺は73人、もうすぐ終わるぞ?」
「はっ、総長らしいね、でもすぐ追いつくわよ!!」
かかと落しで見事一人を倒した羨はまた、荒くれ者の中へ飛び込んだ。
「大丈夫か虎衛?」
虎衛の周りには既に誰もいなかった。
簡単に近づく事の出来た麗治は早々と縄を解いてやる。
「あ、ありがとうございます」
暗い顔の虎衛、なぜか助かったのに元気がない、
「どうした?」
問いかけつつ麗治は移動した、
虎衛もそれに続き安全な場所へ行く。
「その・・・うれしくないんです」
ポツリと呟いた虎衛の言葉に、麗治はなんとなく理解し、
こころはどういうことなのかさっぱり分からなかった。
次回、虎衛の真意が明らかに。




