第7話宴での一幕
今回飲み会のみです
あれから、フランクは地下に避難した貴族、商家、他の住人に危機は去ったという事を知らせるため転移で一足早く地下に向かった。
とりあえず、お互いの情報交換と質問は言っていたとうり、打ち上げの後フランクの屋敷で主な面々だけでやるらしい。
というわけで俺は今、スノウの元に戻り何故か誇らしげに胸を張る(いうほどは無いが)スノウと、狼の姿でスノウと隣にいる(大きさは大きな犬程度に縮めている)椿、スノウの姉らしき人、そして、なにやらその姉と親しげな男女と話をしている。
「それでは、裕也さん、妹のスノウが危ないところを助けていただいたようで、改めてわたくし、姉であるシリル・キャロルがキャロル家を代表してお礼を申し上げます。この度は妹を助けていただきありがとうございました。」
そういって、シリルさんがお礼と共に頭を下げてきた。
・・・やはり、姉妹なだけあって似てるな。
スノウによれば18歳で170位に少しスノウより高いくらい・・・俺より高い・・・で髪も金髪で目も蒼色そんで、その髪をスノウとは違いストレートに伸ばしていて腰まである。
胸もある分色気の増したスノウといった感じだ、ハッキリ言ってメッチャカワキレイ(可愛くきれい)。
そんな人に、なにか、すごく丁寧にお礼を言われ、しかも、頭も下げて貰うのはかなり慌てるものがあるな。
「いえ、そんなに畏まらないでください。報酬として前金も貰っていますし、あとから成功報酬を請求する予定ですから。」
そういったとたん、スノウの顔が真っ赤になった。
その所為で、他の3人も報酬というのが何か解ったようで、それぞれがニコニコともニヤニヤとも解らない微妙な笑顔でスノウを見ている。
「それでも、それはあくまでスノウ自身が助けてもらった報酬です。しかも、こう言っては何ですが話を聞くところだと、その報酬にしたって破格です。本来であれば、助けてもらえなかった場合の方が遥かに高く、その結果この子は望まぬ豚の所に奴隷として奉仕をしにいかなければならなかった筈ですから。そのことを踏まえても、そうですねースノウ」
いきなり話を振られたスノウはキョトンとした表情で
「はい、なんでしょう?」
と聞いた、それに対してシリルが少し驚いた顔になり
「今のわたしの話を聞いて解りませんか?なら、直接言いましょう、スノウ。貴女はこれから裕也さんが良いというまでこの方の従者として行動を共にしなさい、勿論求められれば拒否することは許しません、そして毎日の奉仕も積極的にするように義務付けます。そうしてやっと助けてもらったことの報酬とすることができる位です、首に奴隷紋や奴隷の首輪を着けられるより遙かにいいでしょう?」
それを聞いてスノウは
「まあ、姉さんならそれ位は言うと思ってたから、この都市を離れる可能性があるという事は裕也さんには言ってたから好いけど、家の方はいいの?今でも結構姉さんの仕事はあるけどさらに押し付けるようになるけど?」
それを聞いたシリルも、少し微笑み
「ええ、さっきも言ったようにあなたの仕事は裕也さんの従者です。それにあの豚に捕まっていれば同じように、いいえそれ以上に家に迷惑が掛かっていましたから。本来ならわたしも従者としてお供しなければならないところです、けれどそれでは裕也さんが逆に家の心配をしてしまうでしょうから、あなただけでもお供しなさいと言ってるんです。」
そういって今度は俺に目を向け
「という事ですので道中には就いていけませんがそこはスノウだけで我慢してください、そしてここにいる間はわたしも一緒にご奉仕をします。あと、家の情報網と魔道具に関しても事前にご連絡いただければ、それについてのわたしの知る限りをお教えします。他に聞きたいことはありますか?」
すると、微笑みながらちょこんと顔を左に傾けた。
うわー、この人この仕草天然か?この顔でやられるとすごい威力だぞ。
それに、かなり切れる上に考えることがエグイ。
要は俺の実力を知ったから家の全てと引き換えに俺とのパイプを繋ごうというとこだろう。
しかも、聞いている人に少しも無理ないように話してるし・・・あ、スノウも少し唖然としてる。
この子も結構強かなとこあるけど姉の方が一枚上手だ、姉妹そろってとなると・・・こりゃーこの子達の両親に説明するときは気を引き締めなきゃ、どんな、条件出されるかわからんな。
そんなことを考えていると、報酬を纏められないと勘違いしたのか、シリルが今度は逆側にちょこんと顔を傾けた。
だから!その顔でその行動は反則だって!
「いや、そのくらいで十分だ。あとは、君たちの両親に色々と交渉と相談があるから、その時に今のとこで思いつく事を聞いてみるよ。あ、勿論君たちも同席してくれて構わない、多分君らが交渉の窓口になるはずだから。」
そういうとシリルは頷き、微笑みながら
「解りました、恐らく交渉というのは魔道具の事でしょうから、それなら確かに両親でないと最終判断は下せません。その時は協力させていただきます。」
・・・やはり切れると思いながら、その後の言葉で・・・どっちに協力だ?と一瞬言ってしまいそうになった俺は悪くないと思う。
そして、今までこちらの話を黙って聞いてくれていた二人が、もういいか?という顔をして話しかけてきた。
「紹介が遅れたが、わたしはこの都市で公爵家の代表をしている長男のダンテ・クロスと言います。わたしもさきほどはあなたに助けられましたから是非お礼をさせてください、といっても娘は居りませんから奉公に出すことはできませんが。その代り、王都には両親がいますし、少し遠いですが此処より西に1週間程魔道馬車を走らせた所に領地がありますので近くを通った際は寄ってください、歓待するように連絡しておきます。」
そういうとダンテさんがカードを渡してきた。
ん?なんだ?と思っていると。
ニッコリ笑って説明してくれる。
「これは、わたしの血を垂らして魔力を覚えさせた身分証明書の様なものです。これがあれば両親は見せるだけで解りますし、わたしの家が他の国でも色々と事業をしてますので、この紋をそれぞれの店の店主に見せれば出来る限りは便宜を図ってくれるはずです。これ位しかできませんが、是非役立ててください。この度は助けていただきありがとうございました。」
といって、礼の言葉と同時に頭を下げてきた。
うーん、何もかもが様になってるな。
・・・どうでもいいけど、なんかすごい腹立つくらいのイケメンじゃないか?髪は赤で上品に前髪は整えられているし後ろも背中まで降ろされているけど何故か邪魔になってない、背も175位歳も25,6ってとこだし、この都市での代表ってことはかなり優秀なのか。
それにさっき見てたけど実力もそこそこあるから、多分期待の跡継ぎというところか。
そんな感じで考えていると
「それじゃ、あたしもこれ。渡しとくわ、はい。」
といって、もう一人の女性が話しかけてきた。
その手には紋章の違う同じようなカードが握られていた、そして自己紹介を始めた。
「あたしはノーラ・ハミルトン、ノーラでいいわ。ハミルトン侯爵家の長女よ、それとこのカードはもうダンテさんが説明してくれたのと変わらないから省くわね?ハミルトン家の領地はクロス公爵家のほぼ逆になるわ。もし行くときは言ってね?こっちも連絡しとくけどこれから行くのと、そのうち行くのじゃ対応に差が出るから。それから、あたしに関しても君が良ければご奉仕するわよ?何なら、シリルちゃん達と一緒でもいいしね♪」
そういってウインクしてきた。
しかも、かなり美人だ。
170あるなしで髪は水色のウェーブがかかった長髪で膝裏まで伸ばしてる、目は若干釣り目で、強気の中に優しさがある感じだ。
やばい、興奮してきた。
・・・ふと、服が引っ張られるので見てみると・・・、スノウが上目づかいでみてました。
そして、スーーーと視線を下げてある一点を見ると、途端に真っ赤になり、視線を外された。
それをみていたシリルさんが笑って
「どうしました?私たちは別にそこら辺の物陰であればいつでもお相手しますよ?さっきから大分溜まってらしゃるようですし?どうしますか?」
と言われた。
俺は冷静を繕って
「いえ、一応打ち上げが終わってからでいいです。何度もしていては流石に遅れると思いますし、疲れた状態では聞きたいことが聞けないかもしれませんので。」
そういうと、シリルさんが本当に残念だといった表情で
「仕方ありませんね、主役を遅らせたら私たちも何を言われるかわかりませんから。また、後でゆっくり3人一緒にご奉仕させて貰いましょうか。」
というと
「是非」と
スノウとノーラさんが笑顔で答えた。
それを見ていたダンテさんが肩を震わせ、笑い堪えながら
「人気者は辛いですね♪」
と耳元で囁いてきた。
・・・あんた!解って言ってんだろ!と、叫びたくなった。
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そして、戦勝祝賀会
フランクの音頭で
「それでは、この都市を無事守れたことに対してと、英雄殿のこれからの旅での活躍を期待して・・・かんぱーい!」
「「「「かんぱーい」」」」
宴が始まった。
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宴が始まると、いきなりフランクが絡んできた
「おう!裕也飲んでるか?」
それに対し、俺は
「酒なんて俺は今までの人生で一度も飲んだことねえよ。だからこっちだ。」
と、俺は果実酒の軽いやつを掲げて見せる。
すると、近くにいたスノウが
ギュー
いきなり裕也の顔を両腕で掻き抱いた
「裕也さん、飲んだこと無いなら私が飲ませてあげます。」
そういうと、フランクが持ってきていたかなり強そうな酒(匂いだけでもすごい)をラッパでグイッと含むと、そのまま顔を手で挟み、口移しで飲ませてきた。
「むぐ・・・んぐ・むっ!・・・ごくっごくっごく・・・!ケホ・・コホ・・・なんだこれ?・・・すごい・・クラ・・ックラ・・スル・・ゾ・・・」
それを見ていた周りも
「おーーー!!そんなカワイイ子に飲ませてもらえるたー羨ましいぜー」
「流石は英雄様だー!」
「ヒュー、ヒュー」
「嬢ちゃん俺にも・・「私は裕也さん専用です」・・・はい・・・すみません・・・」
「八ッハッハ・・・裕也、スッカリいられたな。けど、まだ宴会は始まったばかりだ、そっちの嬢ちゃんたちとシッポリしけ込むのはもうちょっと付き合った後で頼むぜ?」
ははは・・・大丈夫だと・・・言おうとしたら
「仕方ありませんが、付き合いというのも大事です。ですが、くれぐれも潰さないようにお願いしますよ?私たち3人を相手にして貰わないといけませんから、それなりにしっかりしていて貰わないと、ご奉仕で誰が一番か覚えていてもらわないといけませんから。」
ギュー!
と横から今度はシリルさんが抱きついてきて
「んちゅー!」
と唇を重ねてきた、そして
「スノウには負けません、私は長女ですのでこの都市から離れられませんが、スノウを救ってくれて間接的に私も救ってくれたあなたを私はとても気に入っています。よって、この都市のいる間はスノウと取り合うことになってでもあなたの傍にいます。」
そういうや否や、周りから
「嬢ちゃんも言うねー!」
「姉さん・・・私も簡単には諦めません。私は既に救ってもらい、さらに!既に何度か貰って貰っています。アドバンテージは私にあります。それに、これから旅に出るという事でさらに増えます。絶対に負けません!」
「男冥利に尽きるじゃねーか、英雄殿!ちゃんと答えてやんねーと男が廃るぞー?」
「全くだ!」
「それじゃ、嬢ちゃんたちと英雄殿の未来に・・・かんぱーい!!」
「「「かんぱーい!」」」
そんなことを横で聞いているとふいにフランクが
「皆陽気でいい奴らだろ?スノウちゃんを襲った奴らはハッキリ言って少数派だ。この都市は位置的関係で強者が多いがあからさまな荒くれ者はいない。心配せず旅に出てくれて構わない・・・ああ、勘違いするな?彼女を置いて行けと言ってるわけじゃない、勿論お前の元にいた方が安全だから連れて行った方が安心できるだろう。だが、定期的にこの都市に帰ってきてくれると助かる、さっきも話したが少し気になる情報が入っている。その情報をお前に旅の序に確かめてきてほしい、後で俺の屋敷にこの都市の上層部と一人だが王都の宰相を呼んである。その時に王城と俺の執務室直通の通信魔道具を渡す、その時に宰相から少し話があると思うから聞いて、お前の判断で決めてくれ。」
それを聞くと俺は少し考え
「なあ、フランク、その宰相とやらはどの位の立場にいるんだ?言っておくけど他の都市とかでの俺の行動を束縛するようだと、俺は遠慮なく自分の考えのままに行動するぞ?」
といえば
「もちろんそうしてくれ、と言うより王もお前と会って実力の一つでも見れば宰相とお前どちらを取るかなど悩む必要がないだろうさ。そして、これからのお前の行動でその考えはさらに増すと俺は読んでる。ま、予想をいくらしても仕方ないから。これ位で終わりにして、後はこの後の打ち合わせで十分に話し合おうや。」
その言葉に俺は頷き皆とほどほどに楽しんだ。
次回もう一つの方が書いてて面白いのもあり遅ければ来週になります