第5話都市襲撃後編そして英雄到着
1話から見直していたら修正ばかりで遅くなりました。けどまだありそうな予感
「よし、とにかくワシを守りながら目の前の魔物を片づけろ。魔道具もありったけ使って構わん、どうせこの戦いが終わったら徴収されるのだ、魔物に殺される位なら出し惜しみせずに一匹でも多く殺してやれ。その間に伯爵家の秘伝の召喚魔法を準備するぞ。」
と、ノート伯爵が言うと、護衛の何人かが伯爵の四方に陣取る。
そして、伯爵が詠唱を始めた。
「我が血に基づき契約の精よ、我が声に・・・」
その、詠唱を聞く何人かが
「おい、あれ精霊召喚魔法だろ?あの豚に扱えるのか?」
「恐らく、代々の継承のはずだ。そしてあの継承魔法は何種類かあって、あの豚が今やろうとしてるのは、本人の魔力は大して必要とせずやたらと長い詠唱を最後まで言い切ってやっと発動するタイプだろう。」
「因みに聞くが…あれは何分詠唱にかかると思う?」
「恐らく10分はかかるんじゃないか?それ迄守れたらの話だが・・・」
「いざとなったら見捨てて逃げてもいいだろう。誰も文句は言わんさ。」
「そうだな。まあ、やっぱりなと思うくらいか。」
「そうだ・・・!やばい・・・地より這い出し土塊よ壁となりて我らを守りたまえ<<ストーンウォール>>」
「gushgyaayaa」
「・・・くっ!だめだ!退避ー」
その頃ようやく、詠唱の最終段階になった伯爵が
「今こそその御身を現し目前に広がる矮小な存在を焼き払い給え<<ワー・・・」
プチ・・・!
「「「・・・・(やっぱりこうなったか、詠唱が長すぎだろ)・・・・」」」
「ふむ・・・まあ、期待もして無かったからこれは予定調和だ。よし!皆これからがホントの戦いだ、油断していたら即、結界は壊され都市は蹂躙されると思え!。我々が都市を守る最後の砦だと各々魂に刻み付け家族の事、恋人の事、友人その他親しい者を守れるのは己自身しかいないと思い目の前の魔物の群れを倒すことだけ考えろ!。では、攻撃・・・はじめ!!!」
「「「我の前に立ちふさがる愚かな敵を焼き尽くしたまえ<<ヘル・エンド・フレイム>>」」
ゴーーーー!! ジューーーー!!
「「「大地は凍り、後に残るは銀世界、吹雪よ荒ぶれ<<ダイヤモンド・ダスト>>」」」
ビューーーーー!!! ピキピキピキ!!!
「「「来たれ海より生まれし潮流、押し流せ泥を含む濁流<<ウォーター・ウェーブ」」」
ジャーーー!!! ゴーーーー!!!
「まだ、準備できませんか?」
「もう少しだ!…と言いたいが、少しでも士気を上げようと思えば生半可な威力の魔法ではどうにもならん。最低でもヘル・アンド・ヘブンか、出来ればトール・ハンマー位は撃たんと数も減らんばかりか、士気も下がって最悪、俺が外に出ての肉弾戦も考慮に入れねばならん。」
「たしかに、あの数に肉弾戦は避けたいですね。ですが、このままではじり貧です。そろそろ、魔道具部隊にも頑張ってもらいますか?」
「そうだな。この際だ、勿体ないだの言う奴もいないだろ。おい!攻撃魔道具に攻城魔道具、あと威力を上げる魔道具用のタリスマンを各貴族に持ってこさせろ!文句言う奴は豚のように結界の外で戦わすぞと脅してやれ!」
「gyauaaaaaaaaaa」
「shaaaaaaaaaaaaa」
「gaaaaaaaaaaaaaa」
「流石にキリがありませんね」
やはり結界を通してでは多少の上位魔法でも威力が落ちるな、しかし魔物が攻撃してくる以上、安全に倒すにはこの方法で押し切るほかない。
・・・ここは、他の貴族の秘伝魔法の力も借りるか。
「おい!放送台で地下の貴族に連絡を入れろ、このままでは何時突破されるかわからん。よって継承魔法の使えるものは防衛戦に参加してもらうから何時でも戦闘できる心構えと準備をしていろとな。心配しなくてもあの豚のように結界の外で戦わせるようなことはしないが、このままではそうも言ってられなくなる。結界を突破されて都市内での戦いを強いられんようにせいぜい戦えるものはなるべく来い!とな」
「了解、ですがそれですと直接地下に行って状況を説明しましょうか?」
んー、そうなると此処の指揮を執れるものが・・・ああ、放送台に行くなら地下に直接行くのも同じ事か。
「よし、ではそうしてくれ。あと商家の者にも言え、魔道具を出し惜しみするなとな?」
まあ、この状況を説明されればそんな考えはできんと思うがな。
なんせ、都市に直接乗り込まれて蹂躙さえたら道具がいくらあっても意味ないんだからな。
許可を出すと
「では、我を指定の場所へ運びたまえ<<転移>>」
と言って、ダラは地下へと消えた。
そして、地下にて状況が説明されると。
「仕方ない、公爵家からはわたしが行きましょう。それと、セバスさん確か魔力強度上昇の指輪と魔力量上昇のタリスマン持ってましたよね?」
ダンテが聞くとセバスは笑って
「ああ。・・・あった、これだ。頼むよセバス君、私たちは物を渡すことしか出来ないから無理を言うかもしれないが、死なずにまた会えることを祈ってる。そしてキャロル家はクロス公爵家を優先で取引相手にすると約束しよう。」
セバスも笑って魔道具を渡すと励ましの言葉を言った。
「ありがとう、では行ってきます」
とダンテは転移魔道具で他より先に最前線へ飛んだ。
「他の貴族の方で継承魔法が使えて戦力に成る人はいますか?」
そう聞くと、近くで家族と話をしていたらしき女性が歩み寄ってきた。
「あたしは侯爵家のノーラ・ハミルトン・・・ノーラでいいですよ?あたしも継承魔法と多少なら身体強化、爆発魔法の初級エクスプロージョンが使えるから、あたしにも魔道具を・・・さっきの人のと同じのでいいから貸してくれるんなら戦いますよ?」
その言葉にダラは。
「あなたは確か今年の大会でフランク様に敗れはしましたが、他の方には圧倒的な強さをみせた準優勝のノーラさんですね。解りました、貴女なら頼りになります。セバスさん先ほどのをもう一組貸し与えてもらえますか?」
すると、またしても笑って。
「もちろんです、先ほども言いましたが私たちは物を貸す事しかできません。戦いに行く方の助けになるのであれば喜んでお貸しします。」
といって、魔道具を差し出してきた。
そして、ノーラも
「ありがと、必ず生きて返しに顔を出すわキャロル家に」
「ええ、その時は勉強させてもらいます」
「約束ね」
「はい」
そういって、笑いあい
「じゃ、行ってきます」
といって、消えた。
「もう、居られないみたいですね?」
とダラが辺りを見回す、だが、皆目を逸らすだけだ。だが仕方ないだろう、どちらに居ても危険だが進んで死ににいく物好きはそうそういない。
彼らを説得する時間も惜しいとダラも自分も魔法で転移した。
そして、魔物と都市主戦力との防衛戦の第2ラウンドが始まった。
「よし、まずは、魔道具使い前へ」
ザザザ!
「撃てー」
ドオーーーーン! ボーーー! ゴーーー! ビューーー!
「次、継承魔法の方、お願いします」
「了解」
「任せて」
そういうとまず、ダンテが
「我の血と古の契約に従い、我の前に立ちふさがりし魔物の群れを地の底に追いやる力を解き放ちたまえ<<ギガンテス・タイタニック・ウェーブ>>」
ドーーーーン! バリバリバリバリバリバリ! ヒューーーン、ドーン!
次いでノーラが
「我の血と古の盟約によりて、大気の数多の精霊よ、その自由な翼を我の前に立ちふさりし魔物の群れに一陣の風と共に冥府へと誘う送り刃となれ<<エターナル・シルフィード・ストーム>>」
ピューーーー! ブゥオ-ーーーン! ズシャーーー! バラバラバラ ドーーーン!
「「「・・・・おーーー・・・(やっぱり同じような継承魔法の詠唱でも豚とはなにもかもちがうな)」」」
そして、ついに守護家でも。
「よし、こちらもできたぞ。我らとの契約に基づきこの場にてその威力を顕現させろ神の雷<<トール・ハンマー>>」
ピカーーーーーーーーーーーーーン! ドガーーーーーーン!
「おおーーーーー、これはすごい。」
「これで大分、減ったんじゃないか?」
「というか、変わってなかったら俺らヤバくないか?継承魔法は最初から連発することは想定されてないし、さっきの儀式魔法も相応の威力だけどまたあれだけの威力を出すのは、またかなりタメなきゃなんないだろ」
「たしかに・・・」
ヒューーーーン グチョ!
「え・・・」
「・・・おい・・・今のどっから来た?」
「いや・・・っ!!おい!今どころか、どんどんこっちに来てるぞ!
「おいおい・・・冗談だろ?」
「てか・・でかっ!!なんだあのおおき・・・」
ベチョ ドカーーーン! ヒューーーン ドカーーーーン! ベチョ
「やばい!・・・フランク様!」
「解っている!・・・頼む」
「「「了解」」」
「「「大地に眠る地の精霊よ今こそ我らの呼びかけに応えたまえ<<ギガント・ストーンウォール>>」」」
その直後、皆の目の前に厚さ10m高さ50m横幅100mの巨大な石の壁が出来た。
「「「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」」」
「よし、お前たちは今のうちに魔力回復薬を飲んで壁が壊れたときに備えてくれ。皆も飲んで少しでも回復してくれ」
そういうと、いつの間にか来ていたシリル・キャロルが皆に回復薬を配っていた。
それを見て、ダンテが笑いながら
「結局あなたの所も来たのですか?あのカッコイイやり取り半分くらい無駄になりますよ?」
そういうと、これまたニッコリ笑って。
「だって、言ったでしょう?我らは物を用意することしかできないって、だからここにも用意しに来たんです。」
そう言われると反論できないなあ…と、ダンテは苦笑いし。
「来たものは仕方ありません、しかしあまり前の方にはいかないで下さいよ?いつ結界が破られるか解らなくなってきましたからね。」
そう言っている間も、外では、ドーーーン ドーーーーンと岩が壁に当たる音が響いてきていた。
「そろそろヤバそうですね。さっきから壁の音が少し変わってきましたから、間もなく罅が入ります。なので、少し下がっていてください、こちらにいると巻き込まれますから。」
すると、横からノーラが。
「心配しないで、必ず勝って戦勝祝いでそっちの家の主催でパーティー開かせてもらうから。」
といわれたので、シリルは笑いながら。
「解りました。皆さんこちらとしても盛大に祝いたいので必ず生き残ってください。」
そういうと
「「「「任せとけ」」」」
と、皆が一斉に答えてくれた。
そして、頭を下げシリルは安全域まで下がっていった。
「あそこまでいわれちゃーがんばんなきゃね」
「ええ、それに場合によればもう少し待てば心強い援軍が来る可能性があります。」
「え?どういう事?傭兵国家からは来るとしてもまだ先でしょ?」
「ノーラさん、あなたはこの魔物がどういった経緯で来たか守護家の人から聞きましたか?」
「?ええ、確か、豚伯爵がキャロル家の妹さんを手に入れようといろいろしたのが原因でしょ?」
「ええ、刺客が追ってスノウさんをそのまま捕えて連れ帰ればこの魔物は来ていない。けど、来たってことは、刺客が殺されたから。しかもその刺客は個人でも相当な使い手だったらしい、では誰に?そうなると、誰かがスノウさんの味方に付いた可能性があり、かなりの使い手の可能性がある。まあ、現状を打破できるかは解らないけど、少なくてもかなり優秀な護衛の可能性はある。期待できるかも知れないでしょ?」
そこまで言うと理解できたらしく、少し笑って
「じゃあ、なんとかそのスノウちゃんと護衛の人が来るまでは持ちこたえなきゃね。間に合っても都市がないじゃあ話になんないし。」
「ええ、そういう事なので、今一度頑張りましょう」
「了解」
その話の終わりと同時に。
ピシッッッッ! ピシシッッッ!!! ピシシ!!!! ズガーーーーーン
という轟音と共に壁が砕かれた。
「graagaaaa」
「vugayaaaaaaaaaa」
そしてついに、竜種・・・プチドラゴンが皆の目の前にてその顎を開き、ブレスを
ブオーーーーー!!!
放った。
「もうだめだー」
「くっここまでか、約束果たせそうにないね」
「けど、この大きさのブレスは、多少の防御魔法では飲み込まれるよ。」
「せめて、一瞬で死ねるように祈ろうか。」
「後ろ向きだねー^^、でも、賛成(涙)」
そして、到達
が。
「<<闇>>よ」
その声に遅れて皆の目の前に大きな黒い靄が現れ、音もなく消えた。
「え・・・今、何が」
そう、誰かが言うと。
「ほっ・・・どうやら、壊滅的な打撃は受けて無いようだな」
「ええ・・そのようです。これぐらいなら予想の範囲内です、一安心ですね」
「ああ、それじゃあ追加料金扱いという事で後で請求するけどいいか?」
「///はい、おねがいします。」
「じゃあ、椿と向こうで待ってろ、椿、スノウの護衛よろしく。」
「ああ、任せろ」
「ということで、お待たせ」
その言葉と同時に、大きな狼に乗った一人の少年と少女が現れた。
そして告げる。
「皆、よく頑張ったな後は俺に任せろ」
「皆、もう大丈夫ですよ、この人は常識外の強さですから。この程度の魔物の群れ、あっという間に殲滅です。安心してください」
そう、少年と少女はいい切った。