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七球目 沈没……、不沈潜水艦小野学人号

遅れてすいません

m(_ _)m


只今かなり深刻なスランプ中であります(ToT)

全く納得のいく文章が書けず、何やら状況の説明に終始している感じになってしまいました……(ToT)


いつもそのきらいはあるのですが、今回は特に酷くなってしまってますm(_ _)m


打開案が何か有りましたらアドバイスお願いしますm(_ _)m



 ワールドベースボールクラシック決勝戦。6回表3/1を終了して、9対3と日本代表がアメリカ代表を6点リードしている。マウンドにいるクローザー小野学人があからさまに絶好調であることもあって、スタジアムを日本の優勝だなという空気が支配しはじめていた。

 だが、ここにきて日本代表は、思いもよらない形の不協和音を響かせ始める。







 迎えているバッターはアメリカ代表3番のクロード。予選を含む、5戦で8本のホームランを放っている長距離打者だ。自分の、そして、家族のために、どうしてもここは勝負して捩伏せたいのだが、キャッチャー玉木知昭はそうは思っていないらしい。

 敬遠による満塁策を提案しにマウンドまで来て冗談じゃねえと追い返された後の初球にボール球。そして、2球目にもまた、ボール球を要求して来たのだ。

《こいつまだ逃げる気なのか!?》

 段々そんな気分になってくる、手を出してくれたら儲け物的な雰囲気はどうしても否定できない配球だ。

 ホームプレートの上に置いてあるボールにも、バックネットにめり込んでいるボールにも、1球で当てることの出来るコントロールを持っている学人を信頼しての配球なのかもしれない。取り敢えずそう信じて、学人は要求通りの外側に外し落とすフォークボールを投げ込むことにする。

 2球目に投じられたそのフォークボールは、非常に際どい位置に落ちてきた。打撃の神様と呼ばれているような連中でも判断に迷いそうなほど、際どい。

 高さのカウント判断は、ストライクゾーンからボールの一部でもはみ出した時点で【ボール】となる。幅のカウント判断はボール1つ完全にはみ出てはじめて【ボール】なだけに統一してもらいたい気もするが、目の悪い審判なら【ストライク】とコールしてもらえる可能性が極めて高いボール球、そんな、絶妙なコースに投げ込むことに成功したのだ。

 今日の球審は抗議を受ける度に、

「私の目がストライクゾーンだ!」

 と当たり前に言い切ってしまえるほどの素晴らしい目を持っているため、ストライクのコールは頭から期待してはいないが、ここで問題なのは球審の目ではなく、クロードの目なのである。

 どんなにストライクに近いボール球であったとしても、初めからボール球を叩くつもりでスイングしなければ、必ずボテボテの内野ゴロとなる。野球のストライクゾーンという空間は、それほどまでに緻密に計算され尽くしているのだ。


 クロードは、日本でプレーしていたならほぼ間違いなく【ブンブン丸】と称されているだろう、とにかく振り回すタイプの強打者だ。勿論ボールを選ぶ目も、頗る悪い。この男がこのボールに対してスイングの姿勢を採る、もしそうなれば、その瞬間に9割方日本代表にとって都合の良いカウントが一つ増えるだろうことが予測できるのだ。

 このゲームに於ける学人は、間違いなく絶好調だ。そしてやはり、野球の神をも味方に付けている。

 神は、マウンド上の美周朗の華麗なる投球の舞に、クロードにスイングさせるという褒美を取らせたのだ。ボールの上っ面にバットを当ててしまったクロードの打球は、セーフティーバントのように、一塁線際にコロコロと転がる当たりとなってフェアグラウンドを進んでいる。放っておけばそのうちきれる打球なことは確かなようだが、学人はそれを黙って放置しようとは思わなかったようだ。

 即座にマウンドから駆け降り、ボールを素手で掴むとそのまま一塁へ送球。かなりの余裕を以ってアウトとすることができたのだ。


 これで2アウト。ここで4番を打ち取り、次のイニングの頭に5番を打ち取れば、1人ランナーを出してしまったとしてもまだクリーンナップに回って来ない。学人が目標としているパーフェクトリリーフがジワリジワリと現実味を帯びてきた瞬間だった。









『バッティングフォース ファーストベースマン ウォン・スミス・リー!』

 流暢なスタジアムDJによる英語のアナウンスに導かれ、4番打者リーが左打席へとやってきた。世にも珍しい、スイッチの4番打者である。

 この男、もとは李元という中国人だった。

 それが、メジャーリーグで頭角を表し、次々とシーズン記録を塗り替えて行くにつれ、常々ワールドベースボールクラシックの優勝候補筆頭に挙げられながら準優勝、或はベスト4に甘んじ続けているアメリカ(厳密にはMLB)からの強い要請を受け、名前を漢字からアルファベットへ直し、スミスというミドルネームを捩込むことによってアメリカに帰化したのである。

日本でいう、サッカーの三都主や呂比須のような、リーサルウェポン的存在だ。

 元シュバルツの選手であり、現在はメジャーへ移籍してウォンと同じチームでプレイしている剣持和俊外野手からも、

「こいつとだけは、勝負せんほうがいい」

 とのアドバイスを受けている。だが、そうはいかない。こういう打者を打ち取ってこその複数年契約1億1000万円なのである。折角のチャンスなのだ。逃したくはない。

 すかさず知昭に勝負するぞとのブロックサインを学人が発信する。それに対し知昭は、未だかつて見せたことの無いような厳しい顔付きで、外へのウエストボールという要求を返してきた。

 致命的な意見の食い違い、不協和音。

 バッテリー間での不協和音は、あらゆる形でチーム全体に悪影響を及ぼす。

 ウエストボールに対して頭を激しく横に振る学人。それに業を煮やし、あからさまに立ち上がって右側に移動する知昭。もはや、ウォンへの初球に対する意見の確執は、収拾のつかないレベルにまで発展していた。

 スタジアム全体が、一種異様な雰囲気に包まれ始めた。ここにきて突然に勃発したバッテリーの仲間割れを、その場にいた全員が察知したのである。アメリカベンチが慌ただしく動きだした。何やらウォンに対してせわしなくブロックサインが発信されている。

 この非常事態を見かねた森沢三塁手が三塁塁審にタイムを要求、内野手全員がマウンドへと集合した。

「で? おまえらは何がしたいんだ……?」

 選手を代表して、キャプテンに任命されている爪蕗が怒りをあらわにした口調で詰問する。

「敬遠です」

「勝負っすよ!」

 ほぼ同時に返ってきた返事も、やはり食い違っている。この非常事態に収拾を着けなければ、例え100点差あろうが勝ちきれない。勿論負けはしないのだろうが、気持ちが勝ちきれないのである。

「玉木、なんで敬遠なんだ?」

「万が一にも、相手に流れを渡さないためです」

「小野は?」

「純粋に……、楽しみたいんすよ、マウンドを。そりゃ金のためってのも多いに有ります。でも先輩も投手経験あるなら解るっしょ? 凄え奴打席に迎えるこの醍醐味っつうかなんつうか……」

 確かに、知昭の考えも解らなくはない。

 ホームランを打ってしかるべき者に、きっちりホームランを打たれる、それによって流れがガラッと変わるというのは、古今東西よく有る話だ。これは、チームの大黒柱であるキャッチャーというポジションである者ならば、誰もが胆に命じておかなければならない基本的な心構えでもあった。キャッチャーというのは、少し臆病なぐらいがちょうど良いポジションなのである。

 だが、それでも、それが解っていてもなお、学人は譲れない、否、譲りたくなかった。世界レベルの強打者連中と当たって、勉強、吸収できる滅多にないチャンスなのである。在日時の和俊と別なチームだったならこれほど強打者に飢えることも無かったのだろうが、残念なことに和俊もまた、シュバルツ一筋16年という選手だったのだ。


 【とにかく、勉強したい】


 そこには、彼の純粋な向上心が存在している。勿論複数年契約1億1000万円という野望も有るのだが……。

 ウォン・スミス・リー。今シーズンの成績が4割1厘、53本、280打点。まさに非の打ち所が無い、問答無用の大打者だ。

 紛れも無く、今の日本には居ないタイプの打者である。

 少し前までは和俊がこれに相当していたが、同じチームであったため紅白戦ぐらいでしか戦ったことがないのだった。打率4割。それは、ヒットを平均で4打席に一度打っているということを表す数字だ。運が良ければ、一度も打たれずに終わることも充分有り得る。そしてその運の良さを今日の学人は持っているだ。

 四方八方からカクテルライトが降り注ぐクラシック記念スタジアムのマウンドに向かって放たれる怒涛のようなハリーアップコールとブーイングの中、爪蕗キャプテンは、一つの決断を下す。

「勝負だ」

 と。









 知昭はまだ納得出来ないように、小さく頭を振りながら定位置へと帰還していく。もしここで流れをやってしまった場合、残り2イニング3分の1。このイニングで5失点という数字は充分に考えられることなのである。

 今までの学人は、単純に運と調子が良いだけであり、決して、実力で抑え込んでいる訳ではない。学人自身もそのことには気付いている。だが、彼は、それだけの運があるならやってみるべきだと考えていたのだ。


 チームの方針に従い、知昭が漸くウエストボール以外のサインを出してくる。内側低め、ムービングボール。いわゆるツーシームだ。注文通りボールを握る手を、腕ごと回しながら振り抜く。

 気持ちが揺らいでいたせいか、狙いより若干外に行ってしまったが、それでも致命的な制球ミスという訳でもなく、ボール半分の外側へのズレは何の問題も無く見逃してもらうことに成功した。

 ジャッジはストライク。2球目をストレートを外の高めに、3球目にシンカーを外の低めにそれぞれ外して今のカウントは1ストライク2ボールとなった。

 3球目。ここで知昭から、【勝負だ】というサインがきた。どうやら、このボールで打ち取るつもりらしい。知昭からの要求は、内側高めギリギリに入るフォーシームジャイロ。内側の打ち頃な高めから、ギリギリの高めへと浮き上がらせるボールである。

 外の釣り球を2球立て続けに微動だにせず見送ったのを見て内側待ちであると判断、内側の甘い球と見せ掛けた厳しい球なら討ち取れると踏んだのだろう。

 無論、学人としても、全く異論は無い。

 半身でふりかぶって4球目を投げる。予想通り振ってきた。だが、その軌道は、想定外の軌道だった。この打席初のウォンのスイングは、確実にボールを捉えることに成功できる軌道なのである。

《誘い出されたか!》

 悔やんだ時は後の祭り。それに気付いた時には、既にバットとボールが内側高めギリギリのストライクゾーンで正面衝突していた。

 反射的に知昭は立ち上がり、学人は振り返る。普通なら、スタンドへと一直線にすっ飛んで行くことだろう。だから、後ろに振り向いたのだ。


 が……。


 やはり今日の学人は、いつもとは何かが違っている。この当たりでも打球に角度が付かず、ライナーとなっていたのだ。



 後ろを向いていて、打球を全く見ていない学人への。



 真芯で捕まった打球が、まるで殺意を持っているかのような殺人的な猛スピードで学人の後頭部へと迫っている。


 そしてそれは、薄いポリエチレン一枚という頼りない兜を纏っているだけに過ぎない無防備な後頭部を直撃、日本が誇る伝説の不沈潜水艦を地べたへと沈めてしまった。

すいません、「なんで……?」同様こちらも次回予告、終了にしようと思いますm(_ _)m


只今スランプに陥っており、かなり長く更新期間が開くと思われますが、これからも全身全霊を以って取り組んでいきますので宜しくお願いしますm(_ _)m


ではでは(^O^)/

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