最後のロングサーブ
これは、私がまだ中学2年の頃のお話です。
「ほら~、早く準備しろ!」
先輩の声です。私の通っている学校は部活動が特に盛んで、
特に卓球部は都大会でも上位に入るほどの強豪でした。
部員は、
3年生 1人 2年生 7人 1年生 10人
とレギュラーは2年生中心になっていた。
春季都大会では団体ベスト8に入ったので夏季大会では良いところに入れました。
3年の高木先輩は、明日の夏の大会で負けたら引退してしまいます。
なので、とても張り切っています。
先生のもと最後の調整が終わり気持ちが高ぶってきました。
そして大会当日
1回戦~3回戦までは3対0で圧勝だったのだが、4回戦目悲劇が起こった。
相手は多摩地区第1位の強豪、中でも2人とてつもなく強い奴がいたのです。
1番手 キャプテン 高木先輩 対 相手のエース 結果 0ー3
2番手 学校史上最強のカットマン 宮本 対 ペン粒の3番手 1ー3
3番手 2年の中で最高のダブルス 本村・佐藤 対 5番手・6番手 3ー1
4番手 期待のエース 高橋 対 相手の2番手 1ー3
結果、1ー3という完敗でした。
しかし、まだ個人戦が残っています。
次の日、僕は2回戦で全国出場経験のある相手に負けて、高木先輩のところで応援していました。
3回戦、相手は左利きのドライブマン。ロングサーブはどんな回転でも早いドライブで返してくるのです。高木先輩はロングサーブ主戦型なのでとてつもなくやりずらいです。
1セット目を取られ、2セット目も取られそうと気付いたときコーチが来ました。
そして2セット目も取られ、コーチにアドバイスをもらいました、やはりサーブのことについてでした。3セット目、コーチのアドバイス通り短いサーブからの展開にしました。そして競って10ー11で先輩のサーブです。短いサーブからの展開になるのかと思いきや、
ロングサーブを出したのです。そこからのドライブ対ドライブ。いったい何本続いたのでしょうか。激しい攻め合いでした。
最後は相手がネットに引っ掛けて入ってしまいました。
10ー12 完敗です。
コーチに最後のアドバイスを聞いていたとき、先輩は涙を流していました。
結局、今年は関東大会にいけませんでした。
その後、コーチになぜロングサーブなのか聞かれました。
「僕には、ロングサーブしか取り柄がないからです」