第2-2話:古代の遺産と黒い守護者
俺たちは古代文明だと思われる廃墟を歩いていた。 そこには、俺の知識を刺激する「遺物」が無造作に転がっていた。
俺は足元の瓦礫を拾い上げた。 歪んだ金属の容器。軽い。錆びていない。
「……アルミ缶?」
俺は驚愕した。 アルミニウムの精製には、大量の電力が必要だ。 この世界の技術レベルでは、不可能なはずだ。
だが、この缶は——明らかに、大量生産されたものだ。 形状が均一すぎる。
俺はアルミ缶を握りしめた。
(……これ、前世の地球と同じだ)
形状、材質、加工技術。 全部、地球のものと同じ。
(……まさか)
ある可能性が浮かぶ。
(……この世界は、地球の未来なのか?)
いや、違う。 魔法がある。ステータスがある。この世界は、地球じゃない。
(……じゃあ、なぜこんなに似ている?)
俺の頭が混乱する。 もしかして、地球から来たのは俺だけじゃないのか? それとも、この世界と地球は何か繋がりがあるのか?
答えは出ない。 だが、一つだけ確かなのは——
(……この遺跡には、この世界の『秘密』が隠されている)
俺は拳を握った。 必ず、解明してやる。
◇
「……ルイ様、こっちにも!」
ダンルイが、崩れたゴーレムの残骸を指差した。 俺は近づいた。ゴーレムの装甲が剥がれ、内部が露出している。
その中には——
「……これは……」
俺は息を呑んだ。 複雑に絡み合った配線。精密な歯車。人工ルビーの軸受。チタン合金のボルト。
そして—— 中心部に、小さな結晶が埋め込まれている。 魔力結晶だ。 だが、普通の魔力結晶ではない。加工されている。 幾何学的な模様が刻まれ、内部で魔力が循環している。
「……これ、動力源か」
俺は呟いた。
「魔力結晶を、エネルギー源としてこの機械を動かしていたんだ」
「……すごい、だべ……」
カタリーナが呟いた。
「……魔法と機械を、融合させてるだべ……」
「ああ」
俺は頷いた。
「……これが、古代文明の技術だ。魔法だけでも、機械だけでもない。その両方を組み合わせた『魔導工学』だ」
俺は結晶を取り出した。まだ、微かに魔力が残っている。
(……これを解析できれば、バールの技術は飛躍的に進歩する)
俺は結晶をポケットにしまった。 持って帰るぞ。 この技術レベル、今のバールどころか、王都にもない。
俺は戦慄した。 このゴーレム——いや、「自律兵器」を作った文明は、間違いなく産業革命を遥かに超えた科学力を持っていたのだ。
◇
次の建物には巨大な機械の残骸があった。 錆びついて、動かない。だが、その形状は——
「……これ、製鉄炉か?」
俺は驚愕した。 バールで計画しているものより、遥かに巨大で、効率的そうだ。 炉の構造、排熱システム、循環ダクト。
これなら、今のバールの技術では不可能な「高純度の鋼鉄」を、短時間で大量生産できるかもしれない。
「……設計図だ」
俺は制御盤を見た。 文字は読めない。だが、図面と数字(アラビア数字)は共通だ。
温度:1538℃ 圧力:2.5MPa 配合比率:鉄鉱石70%、コークス20%、石灰石10%
俺が知っている製鉄法より、遥かに洗練された「答え」がそこにあった。
「……これ、高炉だ」
俺は震えた。
「しかも、転炉も併設されている」
「……高炉? 転炉?」
ダンルイが聞いた。
「ああ。鉄鉱石から鉄を作る炉だ。この高炉で鉄鉱石を溶かして銑鉄を作り、転炉で不純物を除去して鋼鉄にする」
俺は図面を指差した。
「……すごい効率だ。今のバールの何十倍も速く、何百倍も大量に作れる」
「……それに」
俺は別の図面を見た。
「圧延機もある。鋼鉄を薄く延ばして、鋼板を作る機械だ」
「……これがあれば」
俺は拳を握った。
「……鉄道のレールも、蒸気機関のボイラーも、全部作れる」
「……バールの産業革命を、数十年分スキップできるかもしれない」
俺は急いで図面をスケッチし始めた。 細部まで、正確に。 この設計図は、バールの未来を変える。 いや、この国の未来を変える。
俺が図面をスケッチしていると—— トムが声を上げた。
「……ルイ様! 何か、近づいてきます!」
「……何?」
俺は顔を上げた。トムが、建物の外を指差している。
遠くから、重い足音が聞こえてくる。 ズシン……ズシン…… 地面が、微かに揺れている。
「……何だ?」
サラが剣を抜いた。
「……また、ゴーレムか?」
「……いや、違う」
ダンルイが緊張した声で言った。
「……もっと大きい」
足音が近づいてくる。 建物が、揺れている。
そして—— グルルルルルルゥ…… 低い、唸り声。機械的な音ではない。まるで、生き物のような——。
「……まずい」
俺は立ち上がった。
「……全員、逃げる準備を——」
その時、建物の壁が崩れた。
ドガァァァァァンッ!!
瓦礫が飛散し、巨大な影が現れた。 全員が振り返り、絶句した。
それは、先ほどのゴーレムが玩具に見えるほどの、圧倒的な「死」の気配を纏った怪物だった。 高さ、20メートル以上。 全身が黒い装甲で覆われている。 その目が、赤く光った。
【国家盤面】
注意: 高レベル個体の解析のため解析時間がかかります
個体名: 拠点防衛用自律フレーム(形式番号:SG-09)
推定脅威レベル: 解析中
装甲値(物理): 解析中
エネルギー源: 解析中
状態: 解析中
——なんだこれは。
今まではレベル100越えのモンスターでも瞬時に結果が出た。この個体はそれを遥かに超える。。
ーーやばい
「……逃げるぞ!!」
俺は叫んだ。
「……今の俺たちじゃ勝てない!!」
全員が走り出した。 だが、ガーディアンは——
ゴォォォォォンッ!!
咆哮と共に、腕を振り上げた。 その腕が、まるで大砲のように変形する。
——まずい!!
次の瞬間、轟音と共に、エネルギー弾が放たれた。
剣も魔法も効かない、最悪の古代兵器が起動。
攻撃は通じず、魔法は吸収される。
サーシャ不在の中、追い詰められるルイたち。
だがルイは気づく。
倒す鍵は「力」じゃない――世界のルールだ。
次回、
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