光が輝きはじめるとき
「じゃ。机運びも終わっていいよ。」
「先生!机運び終わりました。」
うちのクラスは掃除が終わったら先生に報告したら帰ってもいいというルールがある。
机運びは終わったけどどうしても気になってしまうから残って机を揃えていたら他のクラスに行っていた先生が戻ってきた。
「谷。ありがとな。机揃えてくれて。でも体調悪いんだったら早く帰って休めよ。」
「でも帰ったらさらに体調悪くなるから。」
「どういうこと?」
先生が私が言ったことに反応してからつい本音を漏らしていたことに気づいた。
「家にいても居心地が悪くて。」
「なるほどね。」
「俺にもそんな時あったな。3年ぐらいたったら家の良さがわかるよ。でもそれが長いんだよな。」
「もう4年ぐらい分かってないのに。良さとかないでしょ。」
「まぁな。いつか分かるよ。」
私はいつのまにかタメ口で話していた。先生はタメ口でもいいって言ってたし大丈夫なはず。多分私にとっての安心感を先生に感じたのだろう。
次の日。校外学習の日に私は班長を任されていた。
「ここからは班行動なので班長のもとに集まって出発していくように。ちゃんとミッションも達成するように。」
『はーい!』
私達の校外学習の行き先は博物館だ。その中で名前が分からない物の写真が載っている紙を渡されてそれを探して名前をメモするというミッションがある。
「1組の4班!ここ集合!」
「あれ。瀬戸と川口は?」
「あっちに行ってる。」
「ナイス!平野!」
うちの班には私以外男子で瀬戸、川口、平野の3人。みんなうるさいぐらい明るくて一緒いるとずっと笑ってるような奴らだ。
「ほら。行くぞー!」
「これじゃね。」
「これじゃん。ナイス!」
「てか谷。川口は?」
「いないじゃん!どこ行ったんだ?瀬戸知ってる?」
「知ってるわけないじゃん!」
「俺探してくるわ。谷、俺のリュック持ってて。」
「ありがと、平野!瀬戸とここで待ってるから。」
「いたよ〜!」
「お疲れ!はい、リュック。」
「マジナイス!」
「すぐどこか行くんだったらもうそろそろミッション終わるし先に集合場所いこ!」
「そうするか。いい?瀬戸。」
「まぁいいけど。」
「上から目線、だる。」
みんな笑顔で笑いながら集合場所に向かった。集合場所には大西先生がいた。
「先生!1組3班、戻りました。」
「全員いる?」
「いるはず。ってあれ?川口がまたいないよ。」
「リュックよろしく。」
「平野、いってら〜!」
「瀬戸はここで私と待っとこ。」
せっかく集合場所についてもまた目を盗んでどっか行っちゃうのが川口らしいけども迷惑なんだよな。
でもいつも平野が探しに行ってくれるしありがたいんだけど。
「先生〜!」
「なんだ?」
「川口がすぐどこか行くから集合場所来たのにまたどっか行くんだけど。」
「そんなこともあるよ。」
「でもさー校外学習ぐらいしっかりして欲しい。」
「まぁまぁ。あ、もう時間だ。」
まじでしょうもない。校外学習ぐらいは勝手なことしないで欲しい。
「瑞稀!やっほー!」
「香織!やっほー!疲れたー!」
「それな!」
「こっち注目!今から学校に戻るから出発します。」
『はーい!』
あーあ。もうそんな時間か。家、帰りたくないな。
居場所を感じれないそんな家には。
「瑞稀?置いてかれるよ。行こ!」
「ごめん。ぼっーとしてた。行こ。」
「学校着いたんで今日はもう解散です。さようなら。」
『さようなら。』




