初めての会話
「ねぇねぇ、瑞稀さ」
「ん?何?」
「見た目怖くない?あの先生」
「確かに。少し怖いよね。」
教室に戻ってきたら初めてのHRが始まった。
「初めまして。大西です。全学年の男子の体育を担当しています。学年では生徒指導を担当してます。ではこれから一年お願いします。」
「何か質問があれば手を挙げてください。」
「先生って結婚してるんですか〜?」
「はい。結婚してますよ。」
「へぇ〜。」
みんな恐る恐る質問をしていた。しょーもないことや今後の学校生活のことなど。私は質問とかはしないような人だから見てるだけだったけど思ってるより面白い先生かもしれない。
「名前呼ぶからプリント取りにきて。」
「青木、上野、加藤、瀬戸……」
「谷、谷口……」
行かなきゃ。プリントを取りに行ったら目があってしまった。
「谷って勇人の妹?」
「はい。」
「元気にしてる?あれから会ってないんだよな。」
「元気になって学校行ってますよ。」
「よかった。」
「はい。」
まただよ。お兄ちゃんの心配して話しかけてくる人。大西先生は野球部の顧問で私なお兄ちゃんは野球部に入っていたのだ。今では引退して軽音楽部に入っている。私のお兄ちゃんはフレンドリーで先生からもクラスメイトからもよく思われるような人だ。ある意味、八方美人みたいな人ということだ。
「はい。って事で今日はもう下校時刻なのでさよなら。」
『さようなら。』
あーあ。今日も、もう帰る時間になっちゃった。家に帰りたくないな。
「瑞稀〜!ちょっと来て!」
「急になに?」
「先生!先生って何歳なんですか?」
「36歳だけど。なんで?」
「知りたかっただけです!」
「じゃ。さようなら。」
「さようなら〜!」
「さ、さようなら。」
なんか先生疲れてるような気がする。迷惑かもしれないからって思っても香織を止めることはできない。注意したら嫌われるんじゃないかって。いつも考えてる。




