05 勉強会は心理戦。
ーSide Reiー
「こちらご注文のお品でございます。どうぞごゆっくり」
店員が注文の品をテーブルに置き、お辞儀を一つ。
俺はにっこりと笑って返した。
「ありがとうございます」
「あ、ありがとうございます」
それに続き師川も返す。
何だコイツ、人馴れして無いのか?
人間だと言うのに、何かかわいそ。
まぁ俺と出会えた事が最大の幸福だろうよ。
あーあ、来ちゃったよ。
何で恋愛で苦手なもん飲まんといけないんだ。
俺って世界一不幸なのでは?
運ばれてきたコーヒーに口を付ける。
うん、やっぱり不味い。
誰だよこんなん飲もうとしたヤツ。
こんなんほぼ泥水じゃねぇか。
一方師川はブラックコーヒーにこれでもかという程の砂糖とミルクを入れていて、もはやコーヒーとは言えるのかどうかの代物になっていた。
何だよ、コイツブラック飲めねぇんじゃん。
俺と同じで見栄張ったんだな。
ちゃんと自分に合ったもん頼んどけ。
ーSide Ruiー
……苦い。
やはり自分に合ったもの頼むべきだった。
やっぱり三枝君は凄いな。
あんな苦い物を平然と飲めるなんて。
私じゃ考えられない。
一つ、二つと砂糖を追加していく。
……うん、やっと飲めるようになった。
これもうコーヒーって言えるのかな?
多分言えないだろう。
これはもうほぼコーヒー牛乳、少し顔が熱くなった。
「……じゃあ、始めようか」
三枝君は机にノートを広げる。
あ、そっか。
これ勉強会だったんだ。
慌てて自分もノートを広げる。
ーSide Reiー
ノートにペンで重要な所を書き写していく。
まぁ全部勉強済みなんだけどな。
これが終わったら苦手な問題を重点的にやっていこうか。
すると師川が問う。
「あの……この問題、やっぱり苦手で……」
「ん?ああ、その問題は……」
自分で考えろこんくらい。
俺の時間を割いてるという自覚を持て。
「なるほど……あ、ごめんね。私だけこんなに聞いちゃって……」
「いや、全然大丈夫だよ。もう俺達、友達でしょ?」
「とっ、友達……!」
師川があからさまに嬉しそうな顔をする。
これは着々と堕ちていってるな。
もう一押しくらいできたら良かったのだが、ここは勉強に集中するか。
ーSide Ruiー
「それじゃあ、今日はありがとう。また明日」
そう言って三枝君は笑って手を振る。
「うん。こちらこそありがとう。また明日」
私も同じく笑って手を振り返す。
そして三枝君は家路についた。
私はその後ろ姿を見つめ、家へと帰る。
友達……か。
少し立ち止まった。
三枝君と友達になれたということが、どうしようもなく嬉しかった。
また明日が少し、楽しみになった。




