近代化への道
2回続けてRTAパートです。
というわけでお父様の相談に乗ってあげてるんですが、これ愚痴ですよねお父様! 気持ちはわかるけど遅延行為やめてください! まあそうですよね! 転生者だと明かしてるわけではない以上、今年5歳になる娘にできることと言ったら愚痴を聞いて慰めることですもんね!
ようやく「不平等条約を改正するにはどうしたらいいか」と聞いてきたので「工業力を育成し、欧米並みの統治機構を作るべき」と回答しておきました。そのためにはどうしたらいいかと聞かれたので「まずは手堅く軽工業の振興から」「憲法の制定と国会の開催」と答えましょう。こちらの答えに満足してくれたのか、お父様の信頼を得られたようです。また相談してくれるとのことなので「快く引き受ける」を選択します。
さて、この間に初期開放されているアイデア「白熱電球の実験」を実行する準備をしましょう。その辺を歩いている女中を捕まえて針金をねだります。また、台所にいって竹ひごと空き瓶を拝借し、これらのうち竹ひごをかまどで焼いて炭化させましょう。こいつがフィラメントになります。最後に、母上から10銭ほど借りれば必要物品がそろいます。親を呼んで実演しましょう。
「身近なものだけでこんなことができるのか。よく思いついたな」
今回は危ない実験ではなかったので、お父様も上機嫌です。瓶の中の空気を抜くことができれば、フィラメントが発火しないので長持ちすることを伝えると、ちゃんとした職人に試作してもらうことを提案してもらえました。連鎖的にアイデア「初期型白熱電球の実用化」が実行されます。家が保守的だったり、お金がなかったりすると、もうちょっとこのアイデアの実行には苦労するのですが、実家が太いのでそのあたりは全部スキップできました。
というわけで、2週間ほどすると電球の試作品と、ボルタ電池がやってきます。乱数次第で不良品の電球が届くことがあるのですが……成功ですね。きちんと長持ちする実用的な電球が開発できました。ろうそくやガス灯、アーク灯に頼らなくてもよくなるため、両親も女中も大満足です。
エジソンとほぼ同時期に白熱電球を発明しましたが、せっかく作っても売れなければお金になりませんし、普及もしません。普通はここで苦労するのですが、お父様に何かあてがあるようです。遠慮なくお願いしましょう。
しばらくすると、三菱財閥の創立者である岩崎弥太郎が、白熱電球を見せてほしいとやってきます。どういうつながりなのかよくわかりませんが、道孝は岩崎にコネがあり、来年には彼に勧められて保険会社を設立するんです。今の東京海上日動ですね。
さて、そんな彼からは「今すぐは金にならないものの、将来必ず役に立つだろうから、技術を買い取らせてほしい」と提案されます。ここで重要なのは、買い取ってもらう前に1回だけ法外な金額をごねることです。100円を要求してみましょう。
「いやいや気持ちはわかりますけれども、今の帝都はまだ電気すらほとんど通ってないんですよ? 使いどころがない以上、そこまでの値段は出せませんて」
当たり前のように断られますが、これでフラグが立ちます。向こうの言い値である1円で白熱電球の権利を売り払いましょう。これにより、ゲーム上は売買契約が結ばれて契約書が作られたことになり、のちのちエジソンらの特許を日本国内限定で無効化できます。
そうこうしているうちに1879年になりました。この年からは学習院に放り込まれるので、平日の自由時間が大幅に減ります。だから、未就学児の間に、いろいろなアイデアを実行する必要があったんですね。
自由時間が減ることもあり、「アイデア」による直接介入はいったんおしまいです。その分これまで得たコネを駆使して、日本の動きに干渉していくことが、ここからしばらくの基本戦略になります。
※遅延行為
ここではRTAのタイムが悪化するNPCの行動のこと
※10銭ほど借りれば
針金と1銭銅貨(と食塩水)でボルタ電池(異種金属を電解液で挟むと作成できる電池)を作っている。
※100円
明治30年ごろで、小学校教師の初任給が10円に届かないくらいであった
※エジソンらの特許を日本国内限定で無効化
特許制度の中にある「先使用権」のことをさしている。特許申請をしていなくても、特許権者より先に特許技術を使用する準備ができている(≒技術開発が終わっている)のが明確であれば、特許権者(この場合はエジソン)に特許料などを支払わなくて済む、という権利。この当時の日本は特許制度が整備されていないため、この対応になってしまう。
執筆に難儀しているうちに時間が来てしまったのでいったん更新します。
物語的にはおいしそうな場面がちらほら出ているので、しばらくはドラマパートが続きそうです。
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