キャラメイクと脚気対策
天啓が降ってきたので書き始めました。お楽しみいただければ幸いです。
はい、どうもこんばんは!
今回はね、最近発売された逆行転生RTS「救国の輪廻」をやっていきたいと思います。
「救国の輪廻」は、明治の日本に転生してしまった現代人として、その第二の人生をシミュレートする、RPGとRTSを融合させたゲームです。史実を追体験してもよし、まったく違った歴史に誘導してもよし。大変自由度の高いゲームになっております。
今回はこのゲームで、実績の1つ「東洋の番人」を取得するRTAを行おうと思います。この実績の取得条件ですが、
・日本の軍事点と名誉点がアジア最高である
・日本の軍事点と名誉点がロシアを上回っている
の2つを満たす必要があります。最初の条件は日清戦争で史実どおり大勝すれば大抵満たせるのですが、もう一つの条件はただ日露戦争に勝つだけだと軍事点が足りないんですよね。なので、このレギュレーションでは清だけでなく、ロシアもボッコボコにして、格の違いを見せつけてやる必要があります。
今日のためにチャートもちゃーんと練ってきたんでね。ゲームテンポの関係でどうしても長丁場になってしまいますが、最後までおつきあいいただければ幸いです。
では、「はじめから」を選択したところから始めていきたいと思います。
5、4、3、2、1、スタートでーす。
まずは転生の形式を決めていきます。ゲーム的には架空の人物を操作する転生と、史実の人物を操作する憑依の2つが選べますが、今回は転生を選択しますね。
続いて両親を選択していきます。今回父親にするのは藤原氏の末裔である九条道孝公爵です。この人は妻がふたりいるのですが、側室の野間幾子を母親にします。
そしたら生年月日ですね。こちらは1873年7月7日にしておきまして……性別は女にします。チャート上ある人物に嫁入りすることが必須なので、男尊女卑が強い時代ですが、あえて女性に転生させます。
それでは前世の経歴を決めていきましょう。キャラクターのステータスの大部分を決定するところなので、個々の設定がプレイ方針に大きく影響してきます。
まず義務教育期の経験はみんな大好き「本の虫」ですね。分野不問で知識点が得られるのは非常に強いです。そのおかげで、明らかに中学生までの子供が読まないような分野の本を読了している転生者が量産されました。
それから高校の学歴は「進学校理数科」経験は「化学五輪」を選択。化学の知識と実験技能を重点的に伸ばします。
それから大学にもいきまして、学歴は「旧帝大旧工学部材料工学科」、経験は航空系のパラメーターが伸びる「鳥人間コンテスト」をとります。琵琶湖の空を飛んだことがあったのかもしれません。
大学院にもいってもらいましょう。学歴は「旧帝大旧工学部材料工学科修士課程」、経験は軍事系の知識がもらえる「ウォーゲーム」をここでとります。サークルを引退して暇になったらドハマリしたんでしょうね。
そして社会人は学歴の代わりに勤務先が選べるのですが、ここでは「宇宙産業」を選択し、経験は自動車系の知識と工作系の技能がもらえる「旧車オーナー」とします。車いじりが数少ない癒やしの時間だったのかもしれませんね。
こうして経歴から得られた知識点と技能点、若干のフリーポイントを各ステータスに割り振っていきます。重要なのは上から順に「有機化学」「ロケット工学」「高分子工学」「陸軍戦術」「海軍艦艇」「陸軍兵器」「生物学」の7つです。こいつらに必要な値を割り振って、チャート上必要な「アイデア」の解禁される条件を整えていきます。
このゲームでは、キャラクターが特定の物品や知識、技能を持っていると、現代知識によって歴史に干渉できる「アイデア」というアクションが解禁されるんですね。いかに素早く条件を整えてアイデアを実行し、成功させていくかというのがRTAでも通常プレイでも重要なポイントとなります。キャラクターの知識や技能だけじゃなくて、何かしらの物品を要求されることがほとんどですので、それらをいかに効率よく集めていくかもぜひ注目してみていってください。
あとは転機、未練、野望を決めるんですが、こいつらはフレーバー要素なのでランダムで決めて、名前もRTA的にはどうでもいいので自動で決めさせます。
最後に設定がチャート通りになっていることを確認したら、ゲームスタートです!
オープニングムービーは飛ばせませんので、この間に今回のチャートをざっくり説明します。
ゲーム開始と同時に、史実の日露戦争において、戦死者の4倍の犠牲者を出した「脚気」の対策に向けて動きます。脚気はビタミンB1が不足することで起こる栄養失調の一種なのですが、明治の日本では感染症であるとの誤った考えが主流になっています。生物学に少し振っていれば、動物実験によって脚気が食べ物に由来する病気であることを証明できますので、史実で迷走した脚気対策を正しい方向に導くことができます。
脚気対策がうまくいったら、次はコンポジット推進薬を発明します。これは現代のロケットに使われている固体燃料で、ゴムに過塩素酸アンモニウムのような酸化剤を練りこんだものですね。火薬と比較して安価で安全なうえ、ロケット燃料としての性能では上回っている優れモノなので、これを使ったロケット弾と、それを一度に大量に打ち出せる多連装ロケット砲の開発を陸軍に提案します。多連装ロケット砲はだいぶ後の時代で登場するはずのものであるため、配備した時の軍事点がこの時代ではぶっちぎりで高く、実績達成に大きく貢献します。材料の調達とか、陸軍とのコネとかをどうするのかは見てからのお楽しみです。
多連装ロケット砲の配備が始まったら、D爆薬やペニシリンの発明、弩級戦艦、上陸用舟艇、浸透戦術といった技術の開発提案などをやっていくのですが、そろそろムービーが終わりそうなのでまた今度にします。
それでは歴史を変えていきましょう。
操作可能になったらすぐさま父親に誕生日プレゼントを要求します。このゲームはキャラクター──今回の名前は九条英梨子ちゃんですね──の3歳の誕生日から始まるので、今は1876年の7月7日なんですね。「三つ子の魂百まで」ということわざと、赤ちゃんから始めてもできることがないというゲーム的な事情から、3歳児スタートにしたと聞いております。
さて、今回要求したのは鶏のつがいです。こいつを繁殖させて一定数の鶏を飼育している状態になると、一定以上の生物学の知識があれば「脚気の動物実験」のアイデアが解禁されます。鶏を2群に分け、片方の群れには白米だけを、もう片方の群れには玄米だけを与えることで、白米だけの群れに脚気を発症させる実験でして、脚気の正しい対策法を他人に知らしめることができる、という効果があります。
まだ英梨子ちゃんが小さいので、話を聞いてくれる大人は親くらいしかいませんが……そのお父様が日本政府に対して結構発言力を持っているので、国策として脚気対策を行わせることが期待できます。
さあ、英梨子ちゃんが毎日せっせと鶏の世話をしたり父親の蔵書を読んだりしていると……はい、メッセージが出ましたね。「脚気の動物実験」のアイデアが解禁されたので、さっそく実行に移します。女中さんにも協力をお願いして、片方の鶏には白米を食わせ続けましょう。しばらく時間を進めると……はい、実験が成功して白米鶏が脚気にかかりました。お父様に見せに行きましょう。たまにお父様が話を聞いてくれないのでお祈りお願いします。「お父様大変! 白米しか食べてない鶏が歩けなくなっちゃった!」
「ふむ、これは……まるで脚気だな」
成功ですね。お父様をうまく誘導して、白米しか食べないと脚気になること、玄米を食べていれば脚気にならないことを教えることができます。ただ、これだけだと兵士たちが玄米を食べることになってしまい、士気が下がってしまうことをお父様が教えてくれました。ですので、玄米の糠に脚気予防効果があること示す必要があります。アイデア「米糠による脚気対策」が解禁されますので、さっそく実行していきましょう。
白米オンリーで脚気になった鶏に、今度は米糠を食わせ続けます。しばらくすると脚気が治りますので、観察結果をお父様に報告しましょう。「お父様、鶏の脚気が治ったよ!」
「なるほど、やはり米糠に脚気を治す何かがあるんだな……であれば、ぬか漬けでも脚気を予防し、治療することができるんじゃないか? 早速陛下に提言してみよう」
成功ですね。米糠で脚気を予防できることを報告すると、お父様がぬか漬けで脚気を対策することを閃いてくれました。普通ならこの後もいろいろ根回しが必要なのですが、九条道孝お父様は明治天皇の相談役を務めていますので、その辺を全部すっとばして国を挙げての正しい脚気対策を始めさせることができるんですね。このように、親の権力を利用して国の意思決定に高速で干渉するテクニックを「親の七光り」と言います。字面は最悪ですが、本RTAの基本テクニックとなりますので覚えておきましょう。
それはともかく、これで史実プレイだと戦死者の4倍ぐらい発生する脚気死者を、相当減らすことができました。引き続き歴史改変に挑んでいきましょう。
※化学五輪
国際化学オリンピックのこと。世界中の高校から化学が極めて得意な生徒が集まり、実験と筆記の両面から、自らの「化学力」を競い合う国際大会。英梨子は前世でこれに出場した経験があるため、世界レベルの化学知識と実験技能があったと思ってよい。
※鳥人間コンテスト
琵琶湖の空を自作の人力飛行機や滑空機で飛行する競技会。2011年大会の東北大学のフライトはあまりにも有名。
※過塩素酸アンモニウム
NH4ClO4としてあらわされる代表的な酸化剤。熱を加えると酸素や塩化水素などに分解する。
というわけでまずは3歳児にもできる鶏のお世話で脚気伝染病説を粉砕しました。
歴史(文芸)ジャンルなのに、このようなゲーム調の話ばかり書くのも気が引けるので、ドラマパートと交互に書いて行けたらなあと思っています。
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