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80.反撃と更なる反撃

「メロッ! くそっ! また置いてく気か!」


 さすがに二度も遺言めいた会話で終わるのは認めない。急いで追いかける。アドレナリンが出て、恐る恐るなんてもうカケラもない。


 地上に顔を出すと、メロの雷撃を跳ね返しながら進んでいく背中が見える。

 防御として捌いてるんじゃなくて、悪魔の時のような攻撃として狙ったラリー。

 何発かが巨大戦艦に直撃すると、爆発が起こって煙が上がる。どうやら効いているみたいだ。


「よしっ!」


 メロも効果的と判断したんだろう。さっきまでは流れ弾が来るのを拾っていたが、今度はビルの壁を蹴って飛び上がる。


「あ、あんなに高く」


 アニメやマンガで見る動き。『おねえさん』細胞。アレがあると、本当におねえさんみたいな無茶苦茶ができるのか。

 そのまま彼女は、あちこち狙って発射された電気ショックを拾っては打ち返す。

 どんどんダメージを受ける戦艦。反撃を恐れてか少し高度を上げる。どうやらこちらが優勢みたいだ。

 けど、それと同時に。


 攻撃の矛先は目の前の脅威であるメロへ集中する。


 次に放たれたのは電撃じゃなくて大量のミサイル。

 数だけじゃなくて軌道もバラバラ。アレをマント一枚で弾き返すのは難しいんじゃないか?


 僕の不安は彼女にも承知のことらしい。一旦着地したメロは、ガレキをマントで包むと勢いよく踏み潰す。

 そこから流れるように、野球少年がタオルでやるシャドウピッチング。



 細かく砕かれた破片が対空機銃みたいに乱れ飛び、次々ミサイルを爆発させる。



「いいぞっ!」


 だけど、喜ぶのも束の間。



 爆炎の煙幕に紛れて、二発のミサイルがすり抜けてくる。それはちょうど彼女の背後へ回り込むように。



「危ない!」


 対するメロに動きはない。もしかしたら気付いていない?


 このままじゃメロにミサイルが直撃してしまう! メロがやられてしまう!!


 ダメだ! そんなのダメだ!

 学校で、有楽町で。何度も僕のために命を張って、今も地球のために命を張ってくれているアイツが!

 そのために命を落とすなんて絶対にダメだ!!

 なんとかしないと! 助けないと!

 でも、非力な小学生の僕にできることなんて。


 でもだからって!


 瞬間、


「あっつ!?」




 右頬の内側、口の中。強烈な熱を感じた。

 瞬間、全身が熱く(みなぎ)って




『しまった!』


 焦る声と表情。やっぱり気付いてなかったんだな。

 でも大丈夫だ。


 一瞬で、飛ぶように。

 メロの元に駆け付けた僕は、


「ふっ!」


 まず一つ目のミサイルを脇に抱えて受け止める。

 そして振り返りざま、



「お、りゃああぁっ!!」



 もう一発の方へ投げ付ける。瞬く間にミサイルは爆散。ちょっと爆風が強いけど、二発ともメロにダメージを与えることなく処理された。



「間一髪、だったな」

『ハバト、ケント』


 表情筋が乏しいはずのメロが、目をまん丸にして僕を見つめる。

 そんな目で見るなよ。こっちだって()()()()なんだ。

 体がウソみたいに軽い。


「よく分かんないけど、()()()()()()みたいだ」

『いや、分かるが』

「えっ」


 僕ら命懸けの戦いの最中に、なんて噛み合わない会話をしてるんだろう。それがいいことか悪いことかは分からない。


 でも、この力で僕が守り守られていること。あの人はきっと受け入れてくれる。


「さて、メロ。悪いことを聞くけれど、エスパークの戦艦はどうやって沈められてきたんだ?」

『そうだな。私がオマエごと撃墜された時のように、ミサイルを利用されたりもしたが。まぁ基本は停泊中だったり低空飛行のところに集団で乗り込まれてアボンだ』

「アボンって」

『反撃に関しては我々もある程度学習している。こちらが同じことをできると知れた今、不用意にミサイルは来ないだろう』

「となると、乗り込みか」


 気づけば電流も放ってこない。ちょっとした膠着状態だ。ただ少しずつ高度を上げて、間合いを確保しようとしているのは分かる。

 気持ちだけならこっちが優勢だろうか。メロもそれを感じているんだろう。鼻からぷすーっと息を抜く。


『たしかに今の高度ならまだ、ビルの屋上からジャンプすれば乗り込めるだろう。だが防弾ジャケットがある私はいいとして、ハバトケント。オマエは対空機銃の弾幕に突っ込んで平気か? いくら超人になったからといってもな。空を飛んでいるのではなくフリーフォールだ。エンジンもないのに空中でグリグリ、伝説の5秒ができると思うなよ?』

「なんだよそれ」

『あとはそうだな。さすがに二人だけでは、乗り込んでからも厳しい。「セーラー服と機関銃」の比ではない』

「じゃあどうすんだよ」

『竹槍でも突き上げるかね』


 そんな、さすがにちょっとナメくさった会話をしている時だった。


『む?』


 メロがある異変に気づく。僕もハッとして目を凝らすと、


 何やら戦艦の形が変わっていく。


「な、なんだ?」

『アレは』


 より正確には艦首が二つに割れて、それが左右へ引き下がる。中からズズッとせり出てきたのは。


『まさかここでぶっ放すつもりか!? いや、無茶苦茶やるぞと予想したのは私だったな!』

「なんの話だよ! それとなんなんだよ、あの波動砲みたいなデッカい筒は!?」

『そのものだよ』

「は!?」


 未塗装の鈍い金属色をした筒。その内側が不釣り合いな青白い色に照らされはじめる。


『単純な話。今まで散々、いくつもの照射装置から飛ばし放題していた電撃。それを必殺の一撃に集中させるモノだ。使うと諸々の回路がオーバーヒートするわ目的の地下資源吹っ飛んで元も子もないわ。作戦に支障が出る「抜かずの守り刀」だったのだが』

「そんな豆知識はどうでもいいよ! アレが発射されたらどうなるんだ!?」

『明日から皇居は明治神宮だな。住むべきお方が生き残っていればだが』

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