彼女の日記2
△月⚪︎日
黎人さんが倒れた。正確にいうと倒れたように寝ていた。お仕事、お疲れ様。
△月×日
今日は黎人さんも私も休みの日だった。黎人さんはお昼過ぎに起きてきたけど、睡眠負債だいじょうぶかな? これから休日は、モーニングコールをしよう。
△月△日
バイト帰りに、車にひかれたウシガエルを見てしまった。そのせいで死ぬのが怖くなった。でも、まだ漠然とした不安だけが残っている。もう寝よう。
△月◎日
黎人さんが傘を買ってくれた。明日は雨だからって。その気持ちと心遣いが嬉しい。ビニール傘だけど、これは私の宝物。
△月×⚪︎日
土砂降りの雨。私の心を表しているみたい。なんて言ってみたら文豪みたいだよね。傘壊れちゃったし、バイトはミスするし、本当に厄日だ。死にたい。いや、死にたくないなぁ
△月××日
黎人さんが初めて1人で夕飯を作った。成長だ。カレーのにんじんはゴリゴリしていたけど。
成長は嬉しいけど、黎人さんの生活習慣がよくなったらここから出ていくって言わなきゃ…
△月×△日
未来:黎人さんが「幽霊が視える」と告白をする。
なんとなく不自然な行動をする時があったけど、なるほど。未来が視える私がいるなら、幽霊が視える人がいても不思議じゃない。
△月×◎日
生理痛につき、寝る
△月⚪︎⚪︎日
もうじき死ぬのに生理って要らなくないか? 痛みは尚更いらなくない? 黎人さんがくれたカイロあったい。ありがたい。好きぃ
△月⚪︎×日
急にいろんなことが不安になった。何をしても、何をしても、こんな自分いやだな
△月⚪︎△日
黎人さんが仕事帰りにプリンを買ってきてくれた。コンビニのプリンって、なんでこんなに美味しいんだろう? 嫌な気持ちが吹っ飛んだ。私って本当に単純だ。
△月⚪︎◎日
今日は仕事で褒められた。黎人さんにも褒めてもらえた。夕飯に黎人さんとゆっくりする、あの時間が幸せ。
△月△×日
天気がいいので布団を干した。干したての布団の匂いって、ちょっと美味しそうだと思う。
△月△⚪︎日
未来:黎人さんがくしゃみをする。
風邪だろうか? 今のところ体調は良さそうだけど、早めに寝ることをおすすめしておこう。
△月△△日
くしゃみの理由が判明。黎人さんは重度の猫アレルギーらしい。私は猫が好きだけど、黎人さんは信じられないと言っていた。アレルギーならしょうがない。
△月△◎日
未来:バイトを辞める挨拶をする。
思ったよりもいろんな人に惜しまれていたみたい。ちょっと嬉しい。最後の日まで頑張ろう。
△月◎⚪︎日
珍しく仕事が早く終わった黎人さんが、私をバイト先まで迎えにきてくれた。一緒に帰るなんて、放課後デートみたいと、つい学生気分になってしまったのはここだけの話。
△月◎×日
黎人さんのことが、どんどん好きになる。黎人自身も私のことを大切にしてくれていると思うのは、自惚れじゃないと思う。だけど、特別な関係になったら、黎人さんをまた独りにさせてしまう…
△月◎△日
黎人さんがなにか(おそらく幽霊)に驚いていた。そうだ。幽霊になって黎人さんの横にずっといればいい。私、天才か? 幽霊になって黎人さんを見守ろう
△月◎◎日
未来:黎人さんが「君が視えない」と泣いている。
私、幽霊になっても黎人さんに視えないのか。そりゃそうだ。世の中そんなに甘くない。
黎人も1人で家事できるようになったし、そろそろこの家から出なきゃ
続きは、また明日。