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横には君  作者: 今日の空
4/8

日常

目覚ましよりも先に目が覚める。


「おはようございます」

「あぁ、おはよう」


部屋から出ると彼女は既に、着替えて味噌汁を温めていた。俺はマグカップをふたつ取り出し、お茶を淹れる。


「今日もお仕事遅くなりそうですか?」

「ああ」

「じゃあ、気持ちよく寝れるように布団、干しておきますね」

「ありがとう」


朝食を食べながら、何気ない会話をする。慌ただしい朝の、この穏やかな時間だけは嫌いではない。



朝食を食べ終え出社の準備に取り掛かった。家を出る際、彼女の方が出勤時間が遅いため、玄関先で見送りをしてくれる。


「行ってきます」

「いってらっしゃい。気をつけて」






今日も11時を回っての帰宅となった。ぐったりとしながら玄関を開けると、暖かな光と彼女が出迎えてくれる。


「ただいま」

「おかえりなさい」


シャワーを浴びている間に、彼女はレンジで夕飯を温めてくれた。テーブルには俺と彼女の2人分の食器が並ぶ。


「肉じゃがだ」

「ジャガイモが安かったんですよ」


白いご飯に、インスタントの味噌汁。そして汁だくの肉じゃが。けして豪勢ではないけれど、温かいご飯は何よりのご馳走だ。


「「いただきます」」


箸を手に取り、肉じゃがを口に運ぶ。大きめのジャガイモがホクホクとしていとても美味しい。


「黎人さん、私達のいちばん初めに決めたルール。覚えていますか?」

「ああ。友人や恋人の関係にはならない、だっけ?」

「はい」

「今更だけど、なんでそんなルールを決めたんだ?」


彼女は味噌汁を片手にニマニマと笑った。


「そりゃ、結婚前の女の子がぁ? 出会ったばかりの男性と一つ屋根の下なんて? 間違いが起こるかもしれないじゃないですかぁ」

「うっぜぇ…」

「あははっ」


そんな話をしながら夕食を終え、食器を片付ける。歯磨きを終え、リビングでスマホをいじっていると彼女が話しかけてきた。


「最近、日記を書くのにハマってるんですよ」

「へぇ?」

「見ても読んじゃダメですからね」

「いつまで続くやら」

「さぁ、いつまででしょーか?」

「3日」

「具体的っ!?」


彼女の反応は面白いが、これ以上は明日に響くので寝ることにした。


「今日もお疲れ様です」

「ああ」

「おやすみなさい」

「おやすみ」


干した布団特有の匂いに包まれながら、あっさりと眠りに落ちる。






彼女の日記は、今日の日付から永遠に更新されることはなかった。そして彼女が、三日坊主ではないことも証明されてしまった。





俺は今から彼女の日記を読む。

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