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青い海の笑い声

私は、指を刺されていた端切れを見て固まる

どうしよう、この中から選んでもらえない、余計な事したから、何で出来ないの?

「この青が1番好きだけど、この中なら、、、、」

反物を見ながら視線をこちらに向ける彼に私は思わず視線を反らす

青、青に近いのはエメラルドグリーンの色味、そしてほんのり水色で氷のような色味の2反

「この色に、この帯締を使って欲しいな」

彼が選んだのは、2つの色とは違う白の反物だった

「えっと、、、、その」

「そちらの帯締は女性の帯のなのですが」

「はい、僕のではなくてある方のイメージで考えてしまいまして」

苦笑する彼はもう一度反物を選ぶ

淡い水色を選んだ彼に頼み、反物を試着していると彼がポツリと呟いた

「着物もユニセックスがあればいいのにな、、、、」

ユニセックスか、、、、確かに二人で着れたら嬉しい

お揃いもいいけど、シェアできるのいいな

「柄や色、男性だと暗いのが殆どだし柄も女性ほど無いからね」

彼の顔からは、少し残念そうな

寂しそうな表情が伺えた

明るい色味、か

反物を着付けして私は鮮やかな透け感のある青の反物を手に取る

柄は水が流れるような模様が大きく見えるもの

「着物が氷みたいだから、それにこんな感じの羽織はいかがですか?」

イメージしたのは

彼の雰囲気が大きな海を思わせる

優しく大きな海

そこに羽織紐を着けた

帯は角帯だが、そこには少しずらして帯締を

男性にしたのは初めてだけど

なぜかきれいで目がはなせない

最後は帯揚げをひらひらと出してリボンのように結んだ

「すごい、こんな風にも着れるんだね」

「私のイメージで勝手にしてすみません、女性の物も使ってみたのですが、、、、いかがでしょうか?」

どうしよう、恐い

後から何を言われるんだろうか

そんな不安がありつつも、私は提案を続ける

「私は好きなもの着て良いと思います。男だから、女だから、それしかダメっていうものだと辛いじゃないですか、、、、」

「うん、ありがとう僕はこんな風に考えつかないから」

「、、、、お客様を見て考えれたのでお客様のお陰でこの姿ができました」

私が頭を下げれば頭の上からクスクス笑う声

彼の優しい波の音

心地よい時間は

深い深い海の底

彼は本当に同じ人なのだろうか


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