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賢者様の仲人事情

お姫様に「愛してる」と言ってくれる皇子様♡

作者: 冴條玲

★☆============☆★

  夜会にて【後日談】

★☆============☆★



 夜会が終わり、別れを惜しむ声がそこかしこから聞こえます。カムラの皆様、なかなか首尾よくおやりになった模様です。


カタリーナ「――気が利きませんわ、レオン皇子。あなたもティリス様に愛しているの一つくらい、おっしゃったらどうですの?」


 お姉様の一言に、姫は危うく飲んでいた水を吹くところでした。


ティリス「カ、カ、カ、カタリーナ!?」

レオン「……? 何でだ? 僕は別に、ティリスを愛してなんていないぞ」


 途端、お姉様のお美しいかんばせが、能面のように強張りました。


カタリーナ「何……ですって……!? あなた、愛してもいないのにティリス様に手を出したとでも!」


 大変です。こわくてみんなが逃げ出しました。

 どうしましょう。作者もこわいです。

 姫もさすがにお顔を強張らせて、助け舟を出しません。


レオン「……? …………。」


 皇子様は難しそうなお顔をして、困った時の賢者様(ゾンビ)をふり向きました。


レオン「ロズ、僕はティリスを愛しているのか?」

ロズ「大切にはしているね」


 賢者様は白い顔をした姫を見ると、穏やかに言いました。


ロズ「愛という言葉では、足りない思いもあるんだよ」

ティリス「……。」


 ところが、皇子様こそは納得行かなげです。答えが難しかったご様子です。

 皇子様は愛とか幽霊とか、目に見えないモノが良くわかりません。冥王は見えるので、わかります。(へんです。)


レオン「――愛しているか?」


 より、簡潔でわかりやすい答えを求め、皇子様が重ねて問いました。


ロズ「……愛していると言って、差し支えないと思うよ」


 その答えに、皇子様はすっきりしたお顔をして、姫に向き直りました。


レオン「ティリス、愛しているぞ」


 ずざざざざっ


 姫が真っ赤になって、身を退きました。


ティリス「ばっ、ばかやろう! そのやり取りの後に、んなこと言われても、……少しくらい取り(つくろ)えっ!」


 いいツッコミですが、お顔がそんなに真っ赤では、動揺がバレバレです。


 ――いえ、バレるわけがありませんでした。相手はレオン皇子です。


レオン「……」


 皇子様は不服そうに姫を見ると、その腕を乱暴につかみました。


ティリス「なっ、なにすっ……」

レオン「来るんだ。旅に出るぞ」

ティリス「――――は?」


 姫は目を点にして皇子様を見ました。

 正直なところ、ちょっとだけ期待したので、ほんのちょっとだけ、残念です。


レオン「僕はおまえを愛している。間違いない。だから、旅に出て証明してやるぞ」


 ――ついさっき、愛してなんていないぞと言って、あまつさえ、自分が姫を愛しているのか、ロズに問うていたように思いますが。


ティリス「~」


 姫は沈痛な面持ちで、額に手を当てて沈黙しました。


レオン「どうした?」

ティリス「いや、いいや。でも、旅に出るって、カムラは? 政務とか、どうする気だ?」

レオン「? 何を言っているんだ。今夜の消灯までには戻るぞ。僕は僕の部屋で寝るんだ。そろそろ眠いな。戻るか」

ティリス「どあほう!! まだ、第一歩も踏み出してねーよ!」

レオン「……?」


 姫がむずかっていると思ったのか、皇子様はどうしたんだと姫の横顔を取ると、優しく口付けました。


ティリス「……っ……」


 こんなんでごまかされないぞと、頑張る姫ですが、何度か口付けられるうちに、つい、ごまかされてしまいました。



 ――いつでも真剣なのに、どこまでも天然な皇子様にお弱い姫の理不尽な日々は、大変に甘やかで、時にピリ辛です。

★☆ ご案内 ☆★

この物語は『賢者様の仲人事情』の番外編です。

https://www.alphapolis.co.jp/novel/153000069/868471251

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