勤労!? カフェアルバイト!! ①
昼下がりの午後穏やかな時間が流れる中、自分はコーヒーの香りを楽しんでいた。
ここは【喫茶灯り】。
今日は喫茶店で臨時のアルバイトであった。
この喫茶店は戦隊ヒーロシャインレンジャーの懇意にしている店らしく、前回の対決で得たコネを利用し少しの間臨時のアルバイトとして雇ってもらっていたのである。
セット用のお菓子をオーブンで焼き上げつつ、店の掃除を軽くする。
オーブンからは菓子が焼きあがる香ばしい甘い匂いが香ってきて、口元がつい緩みながらもテーブルを拭いたりして過ごす。
たとえ臨時のアルバイトといえども気は抜けない。
ここでサボるようなことをしてしまえば、首領の評価も下がってしまう。
そう考えると普段の労働にも力が入るのであった。
そうして、労働に汗を流していると店の扉に取り付けられているベルが鳴る。
どうやらお客様がいらしたようだった。
「あ~~……腹減った~~、今回の怪人も楽勝だったな!」
「ブルー、うるさい」
そう言いながら男女二組が店に入店してくる。
この二人は戦隊ヒーローのブルーとピンクで、前回対決したシャインレッドと同じチームの人たちだ。
今はオフなのか二人ともスーツを脱いでおり、ブルーは髪をばっちりセットしており金属製のアクセサリをまとっていて何とも近寄りがたい雰囲気だ。
ピンクのほうは落ち着いた格好をしており、格好は普通なのだが身長がブルーよりも背が高いのとあまり自分のことを語らない性格も相まって、これまたブルーとは違う近寄りがたい雰囲気を発していた。
一言で二人を現すならブルーはチンピラ、ピンクは大人な女性といった感じだろうか?
「おい! 怪人! 俺カレーのセットな。」
「私はコーヒーだけでいいわ」
二人の註文を受け入れ、早速準備に取り掛かる。
その間二人の会話が耳に入った。
「ッチ! なんで怪人を臨時のバイトとして雇うかね? レッドの紹介だって言っても怪人なことには変わらないだろ? 見た目はが人間そっくりなのも気に入らねぇしよ。怪人なら怪人らしく不細工な見た目でもしてろっつーの」
「……」
うん、キレそう☆
というのも、どうやらブルーは怪人に対してあまりいい目で見てないらしく度々、自分に聞こえるように暴言を放ってくる。
周りの隊員はそんな彼に対して困っているようだが否定もしないといった感じだった。
色々と思うところはあるが、前世では色々経験しているのでこれくらいの事は慣れているつもりであった。
てきぱきとカレーを盛り付けカウンター席に座っている二人のもとへと行く。
なぜかヒーローはカウンター席しか座らないのだが何か意味でもあるのだろうか?
そんなどうでもいいことを頭の片隅で考えながらヒーローたちにカレーとコーヒーを提供したのであった。