対決!? 正義のヒーローシャインレッド!! ②
今日は対決の日だ。
決戦の地(事前に取り決めた場所)に正義のヒーローと対決するのだ。
隣にいる首領も神妙な面持ちで……
「ねぇ、只野。私たちこれから正義のヒーロと戦うのよね?」
「そうです! 首領! 怪人只野真人必ずやヒーローを恐怖のどん底に叩きのめして見せましょう!」
「なんか、あんたいつもよりテンション高くない?」
「いや、これは相手が来た時にしっかりとテンションを高くしなければならないという怪人のマナーがありましてね。急にテンションを上げるのは難しいので今のうち上げているのです」
そう言いながら首領に対決のマナーについて刻々と説明をする。
説明中の首領は何が何だかわからないといった顔をしていたが、いくら天才といえども子供なのだ。
大人の世界の事情の様なものを理解できなくても仕方がない。
「対決なのに……? 悪の組織なのに……?」
なぜか説明が終わった後も考えこんでいる首領。
しかし、そんな疑問よりも更なる疑問が浮かんだとでも言うように顔を上げた。
「そ、それも気になるけど、それよりも対決の場所よ!」
そう叫びだしながら癇癪を起し始める首領。
鼻息を荒くしながらこちらに詰め寄ってきた。
「なんで対決の場所が近所の公園なのよ! もっと採石場とかそれっぽい場所があるでしょ!」
「あーー……、首領それはですね……やむに已まれぬ事情が……」
「ぬーー! 何なのよ! 下らない理由だったら怒るんだからね!」
「お金がなくてレンタル費が払えませんでした」
「……お金?」
「私のアルバイト費用では借りることができないんです」
そうなのだ、現在ポラルミスの活動資金兼生活費は自分のアルバイト費用でどうにかしているという状況だったのだ。
怪人名が人間っぽいのもこれが理由で人間社会に溶け込み資金を調達するためなのである。
なお、戸籍等は首領のお力でどうにかなっている。
その発言を期に首領は目を泳がしは閉める。
別に自分は気にしていないというのが本音なのだが、所領はバツが悪そうにしている。
正直、一度死んだ身としては首領か怪人を作らなければ自分は消えていたかもしれない。
そう考えると、感謝はすれど恨むという考えはなかった。
そうこうしていると首領は目を反らすどころか口笛まで吹き始める。
とはいっても上手く吹けておらず、吐息しか聞こえてはこないのだが……
「首領、大丈夫ですから。 ほら、帰ったら首領の好きなご飯作ってあげますから。」
「うぅ~~。只野~~、ごべんね~~」
そう言いながら涙目になりながら抱き着いてくる首領。
こういうところが憎めない要因の一つだった。