突然!? 魔法少女!! ②
急に第三者が現れてしまったせいか、魔法少女の動きが止まる。
とりあえずは命拾いをしたのだろうか?
「……店員さん、彼女は?」
「い、いや、急に襲われて自分でも何が何だか……」
その言葉を聞くや否や、ピンクさんが魔法少女に早歩きで詰め寄っていく。
彼女のはいているヒールの音がカツカツと音を立てており、その音がどこか威圧感を与えているように感じる。
「あなた、所属は?」
「は? 所属って何なんですか? 意味わかんないですけど! そこの怪人を吹き飛ばすのが魔法少女の役目なんです! だから……」
――――パシッ……!
ピンクさんは魔法少女が最後まで言い切る前にビンタを頬に喰らわせた。
後ろからなので表情はわからないが笑顔でないことは想像に難くない。
正直あの魔法少女よりも変身をしていないピンクさんのほうが怖く感じてしまう。
「どこにも属していないということはデバイス等の力ではなくあなたの能力での変身なのね。あなた才能あるわよ。“犯罪者”のね」
「へ……? どういう…………」
「あんたみたいなクソガキが好きかってやっていいほど世の中適当じゃないのよ。私たちは一般市民に被害が及ばないように取り決めを定めているの。そんな少し調べればわかることも調べず、たまたまオモチャを手に入れてはしゃぐガキを豚箱にぶち込むこちらの手間を考えたことはある? こちらは社会が少しでもきれいになるように働きかけているのに等のゴミどもは自分がさも私たちのソレを担っていると本気で勘違いしているのは実にムカつくわ」
……ピンクさんめっちゃコエ―!
いや、こんなにベラベラしゃべるの初めてなんですけど!
てか、魔法少女今にも泣きそうじゃん。
このままだと魔法少女の精神が崩壊しそうなので仕方がなく助け船を出すことにする。
「ピ、ピンクさん落ち着いて……今回はこの子の勘違いだったぽいですしあまり大事には……ね?」
そう一言いうとピンクはこちらを見つめる。
目線が鋭すぎて、目力だけでこちらの心臓を止められるのではと思ってしまう。
そんな目で見つめられたせいか冷や汗が身体から吹き出てくる。
「……店員さんがそういうなら今回は見なかったことにしてあげます。ただし……」
そういうとこちらの肩に手を置き耳元に口を近づける。
ふわっといい香りが自分の鼻をくすぐる。
「こんどカフェで甘いもの一緒に食べましょうね」
自分にだけ聞こえるようにそういうとピンクはその場を立ち去る。
立ち去り際に魔法少女を一睨み聞かせてだが。
睨まれた魔法少女は短い悲鳴を上げるとその場にへたり込んでしまったのであった。