恐怖!? 悪の組織【ポラルミス】
ここは、日本のとある地方都市。
今ここで悪の組織である【ポラルミス】による恐るべき計画が発動しようとしていた!
たぶん……
「【ポラルミス】に忠誠を!」
目の前の女性がそう大声を上げる。
背丈は自分の腰より少しだけ高いくらいだろうか?
見た目は幼子だが実は大人……というわけでもなく子供で、本当なら学校にでも通っている年頃だろう。
そんな子供が今の自分の上司もといこの【ポラルミス】の首領であり生みの親でもあった。
トラックからの転生はWeb小説でありきたりだったがまさか自分がそうなるとは夢にも思っていなかった。
トラックにひかれたと思ったら次の瞬間目が覚めると彼女が目の前にいた。
彼女が言うには、自分を怪人として作り上げたのだという。
最初は冗談だと思ったがトラックにひかれた記憶と、今の自分の身体を見て冗談ではないのだと理解した。
今の身体、顔は生前と全く違うのはいいのだが一つ不満があった。
「首領、そろそろ身体改造して手からビームくらい出るようになりませんか? 俺の見た目どこからどう見ても普通の人なんですけど」
「う、うるさいわね! お金がないんだから仕方ないじゃない! 人間ベースで作ったほうが安上がりなのよっ!」
「いやまぁ、人間ベースなのはいいんですけどそのまんま人間作ったらこれってクロ―……」
「やめなさい、政治的にやばい発言は荒れるわよ」
急なテンションの変化についていけずに空返事をしてしまう。
しばらく沈黙が続いた後、首領がハッとした様子でごまかし始める。
「そもそもあんた! 私が掛け声を言った後になんで返事しないのよ! ちゃんとしないと組織の規律にひびが入るじゃないのよ!」
そう言いながらいつも通りかんしゃくを起こし始める。
見た目だけではただの子供だが、自分を一から作り出せるほどの頭脳を持っいるのですごい人なのはわかるのだが、この言動のせいでいまいち尊敬とか気持ちが湧かずにいた。
どちらかというと庇護欲だろうか?
「わ、わかりましたよ……。やります、やりますから落ち着いてください。
「ふふん! わかればいいのよ! わかればねっ」
そういうと先ほどが嘘のように上機嫌になる首領。
わざとらしく咳払いをすると大きな声で叫び始めた。
「【ポラルミス】に忠誠を!」
「っポ、ポーーーーッ!」
これだもん。
いや、この世界で生まれた歳だとこの幼女もとい首領より年下だよ?
でも前世では一応成人していたわけでだし、いい大人が“ポーーッ”は恥ずかしいんですよ。
どうしてこんな掛け声になったか首領に聞くと“可愛いでしょ?”とのこと。
可愛いよね! 良い歳した大人が言ってなければね!
「それでは、【人型怪人】只野真人よ! これからあなたには恐怖の作戦を実行してもらうわ! 手始めに……」
そういうと何か思い出したかのように急に黙りこんでしまう。
心なしか額から汗が出てきて焦っているようにも見える。
その様子を眺めていると急にこちらに詰め寄りすごい圧でこちらに話しかけてくる。
「大変よ只野! 今日近所のスーパーでトイレットペーパーが大安売りになっているのをすっかり忘れていたわ! お一人様一個までだから只野も行くわよ!」
「え? いやあの恐怖の作戦は……」
「そんなのどうでもいいから早く!!!!」
今日一番の大声が只野に襲い掛かり、呆気に取られてしまう。
そんな自分にもお構いなしに服の袖を引っ張り外に一緒に出されてしまう。
そんな首領を見てため息をついてしまう怪人只野だったのであった。
これは、とある地方都市の片隅にある悪の組織【ポラルミス】とヒーローとの闘いの日々を綴った物語である!