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閑話 恋愛相談

そろそろ更新ペース上げていきます


土曜日、いつものように朝食を食べ終わって少しだけゲームをして、そして週末に学校で出された課題を終わらせようとしていた時だった。


ピンポーン、という音が高嶺家に鳴り響く。

どうやら来客があったみたいで、俺の姉ちゃんである創華が玄関先に出ていく。

リビングにいた俺は少しだけ耳に意識を向けて誰が来たのかを探ってみた。

来客は女の人の声、それも聞き覚えのある声のように思えたが、いかんせん声が反響して正確なことはわからなかった。


そこで興味を失った俺は作業に戻ろうとした。



するとその来客が姉ちゃんに促されて俺の前に姿を現した。


「高嶺くん、お邪魔してます」

「あれ? 藤川さん? どうしてここに……?」

「今日は創華さんの方に相談があってちょっとね」

「ふぅん」


来客は最近よく話すようになったクラスの女子の藤川陽さんだった。

彼女はおずおずといった様子で姉ちゃんの後を追いかけるように二階に姿を消した。

それにしても彼女が姉ちゃんと知り合いだったのは知らなかった。

それもただ知っているだけというわけではなくてこうして休日に家に来る程度には知っている仲なのは予想外だった。


しかしそこで俺の興味はなくなりそれ以上は考えなかった。


俺は引き続き1階のリビングで作業をしていた。


そしてそこからそれなりに時間がたち、自分の部屋に置いているものを取りに二階に上がった。

俺は部屋に入りそこに置かれていた学校でもらったプリントを手に取った。

その時だった。

壁の方から何やら話し声が聞こえてくる。その方向には姉ちゃんの部屋があるはずだ。

ということはこの話し声は藤川さんと姉ちゃんの2人のものなのだろう。


しかしなんだろうな。


少しだけ、少しだけだが2人がどんな話をしているのか気にならないでもない。

でも、盗み聞きするのもあまり良くないよな………


俺は少しの葛藤の後、欲に負けて耳をすませてしまった。



『と、言うわけで全然関係が進展しないどころか私のことを見向きもしません。どうも、私のことは都合のいい女程度に思っているみたいで……』

『ふむ、そういう時は一度姿をくらませるというのはどうでしょうか? 相手が自分のことを都合のいいものだと思っている、ということはそれなりに使われているということでしょう? 一度それを取り上げてしまって自分の価値を再認識させるというのは?』

『悪くないかもしれません。しかし問題点がありまして…クラス、おんなじなんですよね』

『それだと難しいですね。でしたらーーーーーー』


あ、これ恋愛相談だ。それに気づいた俺は即座に部屋を後にして一階に降りた。

これ以上聞くのは藤川さんに悪い気がしたからだ。

それにしても同じクラスに好きな人がいるのか……誰だろう?

まずあげられるのがクラス委員長の長澤君だろう。頭がいいの一点だけで抜擢された彼だが、明るい性格で周囲を賑わせるその姿は魅力的に映っているかもしれない。

次はスポーツ系の部活をやっている奴らとかかな?

あ、もしかして不良の平田君とか? 女子ってああいう危ない男子が好きだって聞いたことがある。


オタク系は可能性が薄いだろうなー


俺はーーギリオタクに分類されないだろうけどその線は薄いだろうな。

俺のクラスでの一番の友人のあいつはもっとないだろう。


俺は手を動かしながらそんなことを考えていて、ふと、とあることを思い出した。



「そういえば、姉ちゃんとアスタリスクさんってあれからどうなったんだろう?」


思い出したのは今、俺たちの前に立ちはだかっている最強の壁である姉ちゃんをたった3人で後少しのところまで追い詰めたうちの1人だった。


結婚を前提とした付き合いを申し込んで「まだ早い」と先延ばしにされていたが、姉ちゃんにしては前向きな回答だったように思えた。

今までは男が言い寄ってきたって話を聞いた時に

「なんて返事したの?」

と問いかけると

「残念ですがお付き合いしたくありませんと言って諦めてもらいました」

とバッサリ切って捨てていた姉ちゃんだ。


栞さんも同じ見解っぽく、あの時には「大金星だ」なんて言っていた。

俺はいつも姉ちゃんの男性事情は伝え聞いていただけで、詳しいことを知らなかったから叫ぶに至らなかったが、一番の友達の栞さんがそう言ったのだ。

アスタリスクさんは今、一番可能性がある男ということになっているだろう。



俺としてはいつも自分より先に俺のことを優先しようとしてくれる、無理してくれる姉ちゃんには幸せになってもらいたいと思っている。

そう思って

「彼氏とか作らないの?」

と聞いても

「家事があるから遊んでいる暇はないのですよ。それに、好きな男性もいませんしね。あ、あなたのことは好きですよ?」

と、自分のことを後回しにするのだ。


だから早く姉ちゃんを支えてくれる人をーーーと思うことがあるのだ。


アスタリスクさんは社会人で働いている人だって聞いた。

そんな人が姉ちゃんをもらってくれれば、姉ちゃんは今まで無理した分楽ができるのではないかと思ってしまうのだ。


だけど少し不満がないこともない。

なんというかその、姉ちゃんが男とちゅっちゅしているところを想像すると少しだけモヤモヤするのだ。

しかしそれは仕方のないことだと俺は自分に言って聞かせた。

今度は俺が我慢する番なのだ。


俺はそんな雑念を振り払うように頭を左右に振って手を動かした。


少しして二つの足音が階段を降りてくる音がする。

どうやら恋愛相談は終わったみたいだな。


「お待たせしました堅護。さぁ、お昼ご飯にしましょう。陽さんも一緒でいいですか?」

「別にいいけど」


姉ちゃんは鍋に水を入れて戸棚から乾麺を取り出してパスタを作り始める。

2人が降りてきた時には俺の作業はほぼ全て終わっていたため、俺は座って料理が出来上がるのを待つことにした。

俺はいつもの席に、正面は姉ちゃんがいつも使っている席だ。

藤川さんは俺の隣に座った。

そこは父さんの席だった。


姉ちゃんの作る料理ができるまで、俺たちは無言で座っていた。

少しだけ気まずい。

途中からキッチンの方からいい匂いがし始めて空腹感を得た俺は気まずさと相まってただ料理を待つだけの時間が長く感じられた。


横目でちらっと藤川さんの方を見るとその度に目が合うのも気まずさを加速させる。


結局、料理が運ばれてくるまでその空気のままだった。

俺たちは「いただきます」と声を揃えて言った後、各々パスタを食べ始める。

俺はフォークだけだったが、姉ちゃんと藤川さんはスプーンも使ってお上品に食べていた。


食事中、俺は姉ちゃんに気になったことを聞いてみる。

「そういえば姉ちゃん、藤川さんと知り合いだったんだね。どこで知り合ったの?」

「どこでも何も、最近朝にうちの前にいるじゃないですか。そこでですよ」


そういえばそうだった。藤川さんがMOHを始めて一緒に遊ぶようになってからは毎朝一緒に学校に行くようになったんだっけ?

でも、俺が出発するよりそこそこ前に姉ちゃんが出発する日も少なくはないはずだ。


それなのにこうやって家に来るくらいに親しくなっているってことは……


「あれ、藤川さん。もしかして俺、結構朝待たせていたりする?」


「全然大丈夫だよ。気にしないでいいからね」


「………俺、来週からもう少し朝早く家を出るわ」


「気にしないでいいって。私が好きでまってるんだもの」


「だとしても申し訳なくて……」


一応俺も男だし、女子を毎朝外で待たせ続けてるって思うと罪悪感が出てくる。


そんな会話があった後、食事を終えた藤川さんは帰っていった。

家には再び俺と姉ちゃんの2人だけになった。


姉ちゃんは先ほど俺たちが食べた皿を洗ったりなんだりをしている。


「姉ちゃん、ずっと気になってたんだけどさ。俺が栞さんを狙ってることってどう思ってる?」


片付けをしている途中の姉に俺は唐突にそう問いかけた。

すると姉ちゃんは少し考えた後、小さく笑みを浮かべながら答えてくれる。


「ふふっ、2人がくっつけば彼氏いない歴イコール年齢の栞ちゃんは幸せ、そして栞ちゃんが好きな堅護も幸せ、いいことづくしですよね」


「彼氏いない歴イコール年齢って栞さんのことばかにしているけど、姉ちゃんも変わってないからなー」


「あら、酷いことを言うんですね。でも本当にそうでしょうか?」

「違うの?」

「違いません」

「すぐに認めるなら見栄を張る必要あった?」

「ありませんでしたね」


そっか。姉ちゃんは応援してくれてるのか……はぁ、そうやって常に俺のことを考えてくれている姉ちゃんを俺は素直に応援できないのか……


自分の醜さが嫌になってくるねー


「ふふっ、先ほど陽さんとお話ししていた時にもした話ですが堅護、男女の円満なお付き合いに必要なものってなんだと思いますか?」


「え? えっと、相手のことを思いやる気持ち、とか?」


「それも必要ですがやっぱり私は相手に押し付けないことが大切だと思うのですよ。自分の理想を、幻想を押し付ける関係ほどすぐに壊れます。逆に、『これ』さえあればいいって人は長続きすると思いません?」


「……俺にはよくわからないよ」


「ですよね。私もよくわからないけどそれっぽいことを言ってみました」


俺には姉ちゃんが何を言いたいのかがよくわからなかった。

だからそれ以上何も言わずに俺は口を閉じた。


姉ちゃんは楽しそうに笑いならが食器を片付けていた。

更新遅れてたのもぶっちゃけ最近ネタ切れ気味なのです。

もう作者の頭の中には作品の本筋とドゲザさんとのエピソードしか残っていません


Q、主人公はレイドボスに進化した際、どんな種族になって、どんな能力を手に入れたんですか?


気になり過ぎて頭から離れません!


A、詳しいことは弟君が解明してくれるからここでは話しませんが、ざっくり言うと

自己強化系

領域展開系

の二種類ですね。依然として遠距離攻撃は持っていません


Q、楽しく読ませていただいてます、まだ途中ですが、吐血したとこから、めっちゃ心配なんですが……

大丈夫ですよね…主人公補正に、こうご期待!


A、楽しく読んでもらえてこちらも嬉しいです。

ネタバレになるから詳しいことは言いませんが、いくつか最終回案があって創華ちゃん病院エンドもあったそうですよ。


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お姉ちゃんの頑張りが書籍化しました。
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