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メーフラ誘拐事件

今回作者の事情により少し短め


時間は少し巻き戻る。

具体的には件のアナウンスが流れる大体一日前くらいまで。


その日、その時間に私メーフラはここ最近の日課になっていた陽@2号の剣の特訓をしていた。

陽さんは私の思っていたより戦いの素質があった。

彼女自身は自分を才能がないと思っている節があるがとんでもない。教えたことはすぐに覚えるそのセンス、不利な状況でも決して引かない強気な姿勢、どちらも最高の才能だ。


だから私も楽しくなっていろいろと教え込んでいるのだ。


そんな日々の楽しみを堪能していた時だった。

突如として後方から私たちの方向へ猛スピードで近づいているのを察知したのでなんだろうと振り返ってみたのだが、そこにいたのはどこか見覚えがある真っ白な少女――――――――言葉を濁さず言ってしまえばどこぞの神殿の頂上にいるはずの神様だった。


「めーっふらちゃあああああん!! 遊びに来たよおおおおお!!」


遊びに来たってあなた……勝手に神殿を留守にしていいの?

もしあそこにたどり着いたパーティがいてボス部屋開いて誰もいなかったら混乱するでしょうが!!

私のその魂の叫びは残念ながらこちらに迫ってきている神には通じなかったみたいで、いったいどのくらいの速度で走っているのか、土煙を上げながら爆走してくるその神様の目は完璧に私をロックオンしていた。

遠目にもギリギリその姿が確認できる神様は何に乗っているわけでもないのに馬より速い。


その事実だけであの神様のステータスがぶっ飛んでいることが見て取れた。まぁ、正確な数値を知ってもどうしようもないほど私たちには差があるみたいだから考えないけどね。


神様―――――もとい雪姫はその速度のまま特訓している私たちのもとに突っ込んできて私の首根っこにつかみかかる。

その視線と腕の動きでそれを予見していた私は何とか防御行動に移る。

まっすぐ私の服をつかみに来る雪姫の手を、私は左手で受け流しにかかった。私の手が貫手の状態で迫ってくる雪姫の手をそらす。

そしてその勢いを利用して背負い投げを仕掛ける。


「くっ、足腰強すぎるでしょう!!」


しかし、完璧に流れを利用したはずなのだが、雪姫はそれを単純に足の踏ん張りだけで対応してみせる。

前に戦った時も思ったが身体能力の差がありすぎて大概の技は無効化される。

仕方ない、今、雪姫は足に力を入れているといっても重心は少し上にある。

それを見越した私は雪姫の腕をつかみそれを巻き込むように雪姫の足首に向けて全体重を乗せたスライディング気味の蹴りをお見舞いする。


「わわっとぉ!! 危ない!!」

だがそれさえも雪姫を崩しきるには足りなかった。雪姫は私に蹴られそうになった足を素早く離脱させた。

そのせいで私の蹴りは空ぶることになってしまう。

しかしこういった回避方法をすれば本来なら二人分の崩れた体重を片足で支えなくてはいけなくなり、それは普通ならできるわけではないのだが………やはり規格外。

たった一本、左足、それも足の前半分だけでそれをやってのけた。


「さて、じゃあメーフラちゃんついてきて!!」


空ぶりの隙を見逃す雪姫ではなかった。彼女は素早く私の腕をつかみ返し引き上げるとそのまま私を肩に担いだ。

そしてそのまま私を誘拐するかのように運び始める。


「えっ、め、メーフラさん!? 大丈夫なんですか!?」

突然のことで戸惑っている様子の陽さんが連れ去られそうになっている私の身を案じてくれる。しかし、それを嬉しく思えど力にはなれていない。

陽さんの叫びは虚しくその場に一度響いたきりで、何も効果を及ぼさないまま消える。

私は何とか雪姫の腕から脱しようともがいてみるが、完全にとらえられているため、また雪姫がとんでもないくらい力を込めているためびくともしない。というか、私の体からみしみしとなっちゃいけない音が鳴っている。


仕方ない。今日の特訓はここまでにするしかない。そして、いつ再開できるかもわからない。だから私は連れ去られながら叫ぶ。


「陽さん! 取り敢えず今日の稽古はここまでです!! そして! いつ再開するかは後でメールで伝えます!!」

「えっ、メーフラさあああああん!!」

「とにかく、私が解放されるのがいつかわからないので! よろしくお願いしますね!!」

「じゃあ、あなたの師匠はちょっとだけ私が借りていくから! 多分そっちの時間で一日か二日くらい借りていくねー!!」


陽さんに声が聞こえるギリギリのところで雪姫は懇切丁寧に私たちの時間で予定を伝えるとそのまま地平の彼方へ走り去る―――――私を抱えたまま。

というか、どうして私は連れ去られているの?


「まずはそれを聞かせていただきたいんですけど?」

「え? まずはなんだって?」

「だからどうして私が運ばれているのかを聞きたいのです」

「だってメーフラちゃん、約束したのに遊びに来てくれないんだもん! だからこっちから来ちゃった!!」


来ちゃったって、軽いな。

私は雪姫の上でゆっさゆっさと揺られながら、やがて抵抗することをやめた。力で負けている上に完璧につかまれていては脱出のしようがないことはよくわかっているからだ。

だから私はここを観光バス的な何かだと思うことにして、雪姫の気の向くままに移り変わる景色を眺め続けていた。


草原を越え、山を越え、峡谷を飛び越え、雪姫は進む。


私は雪姫に乗って今まで行ったことのない場所、見たことのなかった景色をその目に焼き付けることに成功した。

そして、そこはだれもいない場所もあったが、行く先々でプレイヤーらしき影がいくつも見られた。

時にはすぐ横を通り過ぎたりもした。


「見ろ!! メーフラが出荷されているぞ!!」


とか聞こえた。

大丈夫だよね?私。今から雪姫に工場につれていかれて加工されるとかないよね?

未だに担がれるようにして運ばれているわたしのすがたを見たプレイヤーの人が今の私の状態を簡潔に表現しました見たいな感じにそう言っていた。

そのせいで少し不安になった私は下で懸命に足を動かす雪姫に問いかけた。


「あの、雪姫さん? 人形っておいしいんですか?」

「メーフラちゃんいきなり何言ってるの?」

「じゃなかった……私たちって今どこに向かっているのですか?陽さんに私を解放する目安を教えられたということは目的地――――――ひいては予定なども決まっているのでしょう?」

「あー、言ってなかったわね! 今から私の彼氏に会いに行こうと思っているのよ。そしてついでにあなたとも遊ぼうって思ったの」

「彼氏ですか? それなら私はいないほうがいいのではありませんか?」

「いや、システム的にNPCだけじゃあのダンジョンの入り口が開かないようになっててね。内側からならNPCでも開けられるんだけど、クエストを発生させないといけない関係上外からは私じゃ開けられないの」

「それなら別に私でなくても……」

「よかったかもしれないけど、せっかくだから一緒に遊ぼうと思ったのと、結構危険な場所だからそれなりに強い人じゃないとダメなのよ」


扉を開けるところまでが雪姫的にやってほしいところなのだろうから、別にそのあとプレイヤーが死のうが生きてようが関係ないと思うんだけどその指摘はしないでおいた。


それにしても、雪姫の彼氏ねぇ………いたんだ。そのことに驚きだよ。

どんな人なのかな?やっぱり雪姫くらいえらい神様の彼氏なんだから、それに匹敵するカッコいいくらいの男神とかなんだろうか?

それとも、案外ダメ男だったり?

ちょっと気になってきたからこれは多少危険な場所でも生き抜くしかないかも?


そんなことを考えながら私は景色を楽しむ。

今、私たちは山岳地帯を越えて火山地帯に入ったところだ。雪姫はその中でもひときわ大きな火山に迷いなく突っ込んでいく。

迂回したほうが早そうなのだが、雪姫はさっきからずっとまっすぐにしか進まない。もし仮にそこに谷があろうと、川があろうとその身体能力と魔法を使ってまっすぐ進み続ける。


だから今回も火山があってもそれをまっすぐ突っ切ってその先に行くのかと思っていたのだけど、どうやら今回は違ったみたいだ。

彼女は火口にたどり着くと足を止めた。

おや? と思って私が火口を覗き込んでみるとそこには当然のごとく炎が轟々と燃え盛っている。


「メーフラちゃん、着いたよ。準備はいい? クエストが出てきたらそれを受けてね」


雪姫がそう言ったと同時、私の目の前にとあるウィンドウが開く。


『『クエスト:絶対神への挑戦』を受注しますか?』


……めちゃくちゃ見覚えのある雰囲気のクエスト名だけど、ここから先に何がいるのか言わずとも理解ができる。

多分、おそらくだけどこの先には雪姫と同じクラスの存在がいる。

っていうか、今気づいたんだけどクエストの詳細の一番下のところに難易度区分がある。

それをちらっとだけ見てみるとWORLDとか書いてあった。

意味はよく分からないが、多分かなり高いということだけはわかった。


雪姫はこのクエストを受けろと言っている。

私の拒否権はなさそうなので仕方なしにクエストを受注した。


「受けましたよ。これでいいのですか?」

「う~んちょっと待ってね」


彼女は私がクエストを受けたというと火口を覗き込んだ。それにつられて私も覗いてみる。

するとそこには先ほどまで燃え盛っていた炎や、あるべきはずのマグマなどは見られずただ一つ、ぽっかりと黒い穴が開いているだけだった。


「うん、扉は開いたみたいね。じゃあ、飛ぶわよ!!」


え? 



私が穴を見てると雪姫が私を担いだままその穴の中に飛び込んだ。


「えぇ………」


高所から落下するときの圧力をその身に受けながら私の口からあきれたような声が漏れた。

まさか一言の声掛けも無く飛び降りるとは……

ものすごい勢いで私たちは真っ黒の穴に近づき、そのまま吸い込まれるようにその穴に飲み込まれた。







なんか最近何をどう書いたらいいのか全く分からなくなって………毎日ちょこちょこ数行ずつ書いて何とか更新


Q,鍛えたのは2号では? 1号はメーフラに鍛えてもらったの?

A,PSの話であってキャラレベルはそもそも1号のが高いのです


Q,狂信者……左手に大砲とか仕込んでそう

A,火器は基本的に出さないようにしているから………そうならないと信じよう


Q,近接―――凶―――神官――――うっ、頭が

A,陽さんはソロでもハンマー使いでもないですけどね


Q,メーフラが最初に進化したときBOSSエネミーと英語交じりのカタカナとか意味わからん状態だったけど、

今回はプレイヤーレイドとかいうさらに統一性がなくさらに意味が分からん状態になってること

A,作者的にはそこらへんにこだわりはないし表記に大した意味も無いです。確か当時の変換のせいでアルファベットになったのをそのままにしているって感じだったと思います。


Q,イマドコニイルノ? 怖っ……

A,夜かつ押し入れの中とかだったらやばそうですね。ちなみに、堅護君は恐怖を覚えなかったのだとか………危機感が足りないなぁ………


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