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動きがない、まだ再起動中のようだ。

ふと書きたくなった話。


10。、9、、8、、7、、、


視界の上方に存在している数字は1秒ごとにその数を減らす。

私はそれを黙って見続けた。


6、、5、、4、、


残り4秒。

はやる気持ちを抑え、最速の動きをできるようにと自分に言い聞かせる。


3、、2、、1、、


そして、ついにその時が来る。


――――0。


カウントが0になった瞬間、私は速く、ただ速く剣を抜き放ち振り抜いた。

揺さぶりや駆け引きは不要。ただ全てをこの一刀に込めて私は剣を振り抜いた。



私の前に立つ剣士はそれを目視したみたいではあった。だが、見えることと対応できることは全くの別物だ。

私の放つ最速の一撃は剣を構えたままの着流しの男の首元を正確無比に捉えて胴体と切り離した。

私が剣を抜いてから相手の男の首を切り落とすまで、殺し合いをしたと思えないほど静かであった。


――――You Win!!

Record. 0:00:026


私の視界のど真ん中にその文字が映し出されて私は一息ついた。

そしてゆっくりとUIユーザーインターフェイス――通称メニュー画面を開きステータスの項目を確認する。


1つ1つ上から見ていく。

何を確認したいかなんて決まっているのだから、まどろっこしいことをせずに一気に見て仕舞えばいいのだがそれでも私はゆっくりと視線を下ろしていった。

ドクドクと心臓が早鐘を打つ。



そしてついに、私の視界がその7文字を捉えた――――と同時に


「やったぁ!!ついにやってやりました!!これで完全制覇です!!」

私は全身で喜びを表していた。


だがその喜びの舞を見ている人は1人もいない。

それが少しさみしい。

よしっ! 弟に自慢しに行こう!!


私はUIの画面を1つ戻してその一番下にある項目「ログアウト」を指で押した。

その直後、視界は暗転して私は現実に戻された。









ログアウトした私は自分の偉業を自慢するべく弟を探す。

言ってもわかってくれないだろうけど、それでも誰かに聞いて欲しかったのだ。


弟はすぐ見に見つかった。リビングのソファーで寛いでいたのだ。


「堅護!やりましたよ!お姉ちゃんついに成し遂げました!!」


「うわっ、急に何!!?」

両手で後ろから肩を叩き私は弟の堅護にそれをアピールした。

堅護はどうやらコーヒー牛乳を飲んでいたみたいで私に驚いたすぐ後にはそれがこぼれないように体勢を立て直していた。


「だ〜か〜ら〜、ついにお姉ちゃんは『THE・剣豪』を完全クリアしたのです!!」

「お、おうっ?」

「あ〜、これはわかっていませんね」

「いや、少なくともかなり嬉しかったてのだけはわかるぞ。普段はぽややんな姉ちゃんがはしゃいでいるんだからな」

「おー!わかってくれますか。では聞いてください! ついにお姉ちゃんは『THE・剣豪』の世界で【風林火山神剣士】の称号を手に入れたのです!」

「よ、よかったな?何?今日はお祝いでもする?」

「はい!! 盛大に祝いたい気分です! それより今日のお昼ですね。待っててください。今から作ります」


堅護はよくわからないながらも私の雰囲気から嬉しいことを読み取ってくれた。

そして中身が伴わないながらもお祝いの言葉程度はかけてくれた。それに一応満足した私はお昼ご飯を作るべく冷蔵庫を開いた。


卵、ハム、玉ねぎ、高菜、トマト、きゅうり、レタス、キャベツ、マヨネーズ、ケチャップ、油、、、


ふむ、思ったより食材が残っていませんね。

この食材なら〜炒飯が簡単に作れそうかな?

確か炊飯器の中に朝のご飯が残っていたはず。


私は冷蔵庫の中から食材をいくつか取り出して調理を開始した。

ふふん、ふん、ふふ〜ん♪


ご機嫌な私は鼻歌も歌っちゃいますよ〜

さて、では調理中になぜ私が舞い上がっているかの解説でもしましょう。


先ほどまで私がプレイしていたゲームはVRヴァーチャルリアリティゲームでも最初期に登場した『The.Ark Enemy』社のお送りする『THE・剣豪』というゲームです。


そのシンプルなタイトルから分かる通り剣を振り回して敵を倒していくゲームです。

しかしこのゲーム、1つ問題があり、所謂くそげーと呼ばれるジャンルに位置しているみたいです。


そしてその問題は何か!

それは敵が強すぎるということです。


『THE・剣豪』というゲームには大きく分けて7種類の敵の強さがあります。

下から順に並べると

兵士級

騎士級

騎士団長級

剣聖級

剣王級

剣帝級

剣神級


の7つです。

この区分はゲームの中でもはっきり分けられています。

一般人は当然兵士級ですね。

そしてこの強さ区分に問題があり、ほとんどの人がこのゲームから離れていくのです。


その問題とは1つの階級を上がった時の敵の強化割合です。

ざっくり言えば上のクラスは1つ下のクラスの100倍強いです。

そう、100倍です! まぁ、正確に測った人がいるわけではないのでわかりませんがね。

ただ1つ言えることは、騎士級の敵は兵士級を10人同時に相手取っても戦えます。

騎士級から騎士団長級も同じ関係でそのまま剣神級まで続きます。


はい、お分かりにいただけましたか?

そうです。兵士級は本当にただの人、ですが騎士級はもう既に一般人には手がつけられないレベルで強く、騎士団長級は一般人を歯牙にもかけません。

兎に角あの世界の敵の強さは異常なのです。


それに加えての問題があの世界は初期のVRゲームということもあり動きのアシスト機能が付いていないのです。



わかりやすく言えばあの世界の中では現実と同じ動きしかできません。

まぁ、逆に言えばあの世界でできることとほぼ同じ動きを現実でもできます。まあ、伝達速度の関係上どちらにも限界はありますけどね。それにレベルやステータスという概念も存在しなかったです。



よくもまぁ、あの会社はNPCの単純な技量だけであそこまで強さに差をつけられたものですねと感心します。




そしてここからが本題です!!

なんとそんな鬼畜剣術ゲームであるあの『THE・剣豪』、本日をもって完全クリアしちゃいました!

わ〜パチパチ。


ちなみに完全クリアの条件はゲーム的には決まっていませんが、私的には最強の存在である剣神級から【風林火山】の文字をコンプリートすることです。


以下、風林火山の解説。

風林火山とはその文字に対応する条件を満たして風林火山チャレンジの敵を倒した時に貰える称号のようなものです。


ただこれ問題が1つあって、チャレンジするたびに文字がリセットされるんですよね。

つまり風林火山を揃えるには一度のチャレンジで全ての条件を達成する必要があります。


以下、達成条件。


【風】

一度も敵の攻撃によるダメージを受けずに戦闘に勝利する。


【林】

一定以上の音を立てずに戦闘に勝利する。


【火】

敵に一度も攻撃させることなく一方的に攻撃して戦闘に勝利する。


【山】

戦闘開始時点から一歩も動かずに戦闘に勝利する。



これを全て剣神級で同時達成した際に得られる称号が先ほど手にした【風林火山神剣士】なのです。

これが喜ばずにいられますかっての!!







実は隠し要素として【陰】と【雷】の文字もあるけど、炒飯できたから機会があったらその時解説しようかな。


「さーて、堅護、できましたよ〜」

「ありがとう。いただきます」

「どう? 美味しいですか?」

「うん。いつも通り――――いや、いつもより美味しい?」

「そうですか。それは良かった」


私も自分の分の炒飯をスプーンですくって食べてみる。


(……うん、そこそこですね。

実験的にキャベツを突っ込んでみましたが結構ありな気がします。)


「う〜ん、それにしてもどうしましょうか」

「どうって?」

「剣豪、クリアしちゃいましたからね。次は何をしようかと思いまして」

「あ、それなら丁度良かった」

「丁度良かった?」

「あのさ、姉ちゃんにちょっと頼みたいことがあるんだけど、いいかな?」

「内容を聞かないとなんとも言えませんが、大体のことはおっけーですよ」

「じゃあちょっと待ってて!」


堅護はさっさと食べ終わった炒飯の皿を流しに運んだ後二階にドタドタと行ったと思うとすぐに戻ってきた。


その両手にはとあるパッケージが握られていた。


「堅護、これはなんですか?」

「えっと、これは来週から正式サービスが開始されるVRMMOのソフトなんだけど……姉ちゃん、やらない?」

「そうですね。剣豪も終わりましたし、ついにお姉ちゃんも新しいゲームを追求する時がきたみたいですね。」


一応言っておくと別に私は『THE・剣豪』以外のゲームをやっていないわけではない。

同じ会社の『THE・刺客』とかもやったし

普通のファンタジーRPGとかもそこそこやってた。

でもそれらは息抜き、今日までずっとメインでやっていたのは

『THE・剣豪』だった。しかしそれを完全制覇してしまった今、新しく没頭する世界があると嬉しいのも確かだ。


「よかった! それで、なんだけどね。あの、姉ちゃん、これを始めるにあたってたのみがあるんだけどさ……あの、その、」

堅護が少し言いづらそうにしている。でもなんとか言おうと努力していた。

彼の手元には2段重ねになったパッケージが握られている。


彼の顔がなんとなく赤くなっていることと今までの経験から何が言いたいかが私には理解できた。


「う〜ん、堅護、このゲームは堅護もやるんですか?」

「えっ、うん。やる、っていうか俺βテスターだし……」

「そうですか。なるほど……栞ちゃんも誘ってみんなで一緒にやりませんか?」

「う、うん! 姉ちゃん!! ありがとう!」


この態度でわかって貰える通りうちの弟は栞ちゃんという私の友達に恋をしている。

彼女がうちに遊びにきた時に何度か出会って会話をしているうちに好きになったみたいだ。

それで一緒にゲームをやりたいけど直接的な友人関係にはない弟は私にソフトを提供する条件で栞ちゃんを誘って欲しかったのだ。


お姉ちゃんとしてはこの恋路は全力で応援したいと思っている。

だから今回はお姉ちゃん、君のキューピットになってあげるからね。


「それで、今更なんですけどどういうゲームなんですか?」

大体のことは私が誘えば栞ちゃんもやってくれるだろうけど、あんまりマニアックなやつとかは私が辛いし栞ちゃんも長続きしなさそうだ。

そこらへんはちゃんと精査しとかないと。


「えっと、これ。『Monsters or. Humans』は、プレイヤーが魔族と人族の2つの陣営に分かれて戦ったり協力して強い敵を倒したりするゲーム」

「ん? プレイヤー同士で戦うんですか?」

「それもあるけどメインの戦闘は基本的にNPCの魔物だよ。これは魔族側もおんなじ。魔族と人族で本格的に戦うとしたらイベントの時くらい」

「では、魔族と人族というのは?」

「そのまんま。プレイヤーはゲーム開始時にキャラを作れるんだけど、いろんな種族がいるんだ。例えば巨人とか妖精とかね。で、そこで選んだ種族によって始めの街が2つに分けられるんだよ」

「なるほど、よく分かりました」

このタイミングで私も炒飯を食べ終わった為皿洗いを始める。

両親の分の食器を洗わなくてもいい為非常に楽だ。


ちなみに両親は基本的に家には帰ってこない。片方は予備校講師をやっていて毎日別の場所にいるし、もう片方は研究職だ。だから私たちの生活は銀行振込の生活費をやりくりして行われている。


料理、洗濯などの家事は私が受け持っている。

弟の仕事は風呂掃除とかそこらへんの簡単なものだ。


じゃぶじゃぶと音を立てながら皿を洗い終わった。私は早速栞ちゃんを新しいゲームに誘うべく出かける準備をする。


「あ、ちなみに堅護はどっちの陣営でプレイするの?」

「俺は人族でやる予定だよ。βの時一度だけ魔族やったけど、、あれはかなり人選ぶだろうなぁ」


よし、人族ですね。

わかりました。では、行ってきます。



私は堅護が用意したパッケージを1つカバンに入れて栞ちゃんの家まで行った。

私の家からバス一本徒歩10分だ。


誰が見ても豪邸と分かる門の前でインターホンを押して待っていると中から1人の女性が飛び出してきた。


「こんにちは創華ちゃん。今日はどうしたの?」

「ん、栞ちゃん。君には来週からこのゲームをプレイしてもらいます」

「また唐突だね。それで? これは?」

「人と魔族に分かれてプレイするMMOのパッケージ版です。ちなみに分かれると言いましたが栞ちゃんには問答無用で人族陣営を選択してもらいます」

「? 分かった。創華ちゃんがそう言うなら」

「ちなみにハードはVRです」

「おー、ってこれあれか。今話題の」


栞ちゃんがパッケージを確認してからそんな言葉を発した。

あ、ちなみに創華は私の名前です。わたくし、高嶺 創華と言います。


「あれ? そんなに有名なんですか? 私は知ったの最近なんですけど」

というか数時間前なんですけど。

「そりゃあ、有名も有名私も買おうかなって思ってたくらいだし。βテスターがいろんなところでレビューとか書いているのみたけどかなり面白いらしいんだよ」

「そうですか」

「そうですよ。ってあれ? これ持ってきたってことは創華ちゃんもやるの?」

「そうです。やります」

「あれは? あの剣振り回すやつ」

「午前中に完全制覇しました」

「ひゃっ!!? あれ創華ちゃんが熱中しているみたいだから調べてみたけど、かなり難しいゲームなんでしょ? ネットのどこ探してもクリアしたなんて報告なかったよ!!?」

「なら一番乗りですね」

「おー、おめでとー!」

「と、いうことで栞ちゃん、このゲームをやりましょう」

「分かった! 少なからず気になっているゲームだったし、創華ちゃんがやるならやらない理由はないよ」

「ありがとうございます。じゃあそれはあげます」

「おっ、太っ腹ー。ありがとう」

「別にお腹周りは太くないはずなんですけど?」

「そうだよね〜、太いのはどっちかというとお胸だよね」

「胸もいうほど太っていません。帰ります」

「じゃあ、また明日学校でね!!」



栞ちゃんと別れた私はその足でスーパーに向かった。

さっき見た限り食材が心もとないどころかさっきの炒飯でトマトとレタスと調味料くらいしか残っていない。


とりあえず今日はめでたい日なのでちょっと豪華な買い物をした。

具体的にはいつもよりお高い肉を買った。


舞い上がるのはいいけどあまりハッチャけてはいけないのが家計を握るものとしては悲しいところだよね。



そして一週間の学校を経て再びの休日。

今日は土曜日だ。今日の12時からサービスが開始されると弟が言っていた。

そしてサービス開始1時間前にキャラメイクができるらしい。


キャラメイクはサービス開始時にやればいいとして弟ができるだけ早くゲームをやりたいというのがこの一週間の態度ですぐに分かっていた私は今日の昼食を1時間早めて11:20からにした。


堅護はまだサービスが開始される時刻ではないというのに素早く食事を済ませて部屋に飛び込んでしまった。

私は彼が残した皿を洗ってから部屋に戻る。


その時の時刻は11:47。


もうキャラメイクはできるみたいだし私も始めようかな。

私は自室にあるVR装置に横たわった。

私の部屋のはソファー型でそこそこいいやつだ。




ゲームを起動すると真っ暗な空間にいた。

そして目の前にはメニュー画面のようなものが開かれていた。

そこには初期設定を開始しますの文字。


私は指示に従い設定を始める。



『まず陣営を選んでください』

機械音声がその文字を読み上げていく。


『魔 or 人』


これは魔族で。一週間前から決めていたことだ。


『次に種族を選択してください』

種族……色々ある。

堅護はβ時代に魔族をやって諦めたと言っていた。

その理由が操作性と言っていたと思うけど、なるほど、人型じゃないのがほとんどだ。


そして人型であってもゴブリンだったりとか見た目があれなやつが多い。

私も一応女の子。ゴブリンやオークにはなりたくない。


となると――――これが一番いいかな?

人型、かつ見た目も考えるとなるとこれが一番いい気がした。


『物質系・ゴーレム族・人形型でよろしいですか?』


YES。

人型の魔族は割とあったけど一番人間らしく動けそうなのでこれにした。

実質人間。


『次にメインの職を選びましょう。魔族であるあなたはメインの職を得ることができません。』


『次にサブ職を選びましょう。項目から1つ選んでください。』

私の前にずらりと選択肢が与えられる。

サブ職はざっくり言えば生活系?生産系?タイプの職を選ぶみたいだ。


大まかな分類から絞り込んでいく感じに選ぶことができる。

一応説明によればゲーム内で転職も可能らしい。

だがその場合はそれに応じたクエストを受ける必要があるのだと。


う〜ん、これでいいや。


『裁縫士でよろしいですか?』


YES


『では、キャラの見た目を調整できます。』


次に現れたのは私を客観的にみた感じの像だった。

調整したい場所に触れるとその項目を調整できるらしい。だがあくまでこれは調整だ。

元のものから大きくかけ離れたことはできないみたいだ。


例えば、種族ゴブリンの顔を調整して人間まで持っていくのはNGと。

顔とかは調整できても精々目の色とかそのくらいだ。


さて、これは無調整でいいかな?



『キャラの名前を設定してください。』


キャラネーム……「メーフラ」っと。


『重複がないか確認しております……確認完了。その名前は使用可能です。その名前でよろしいですか?』


YES!


『最後に、あなたは人形型ですので3つのルーレットを回してもらいます。任意のタイミングで停止を押してください。』


私の目の前にめまぐるしく変わる数字が現れた。それなりの速度で回る数字であるが、数は1〜3までしかない。


これがなんの数字かはわからないが、とりあえずこういうのは大きい数字のほうがいいよね?

私の目は『THE・剣豪』で鍛えられたせいかこの程度のルーレットなら確実な目押しが可能になっていた。


私はタイミングよく停止を押して「3」の数字のところで止める。

すると次のルーレットが回り始めた。

次は1〜10。

これも「10」で止めた。


そして最後のルーレット今度は一気に桁が飛んだ。

見た感じ10が最小、でもそれ以外は不規則に色々な数字にめまぐるしく変わりまくっていた。


「これではどれが最大の数字かわかりませんね?」

現状見えている数字で最大なのは8644だけど……まだ上がありそう。

私は根気よくその数字を眺め続けた。そして見つけた。


「10000!! おそらくこれが最大!!」


4桁までしか出なかったルーレットの中に燦然と輝いていた10000の数字。

私は迷いなく停止を押した。



すると全てのルーレットを回し終えたからか次に進む。

『お疲れ様でした。このままゲームを開始しますか?』

おっ? 時間を確認してみるともう正午を少しだけ過ぎていた。つまりこのままログインできる。


YES!

じゃあさっそくいってみよー!!


『了解しました。あなたは魔族ですのでプレイヤーホームの街ではなく種族に応じた初期位置から開始されます。』


おー、人形ってどこから開始されるんだろう?

そう思っていると私の視界が急に真っ白に包まれた。どうやら始まるみたい。


そして次に視界がはっきりした時、私の目に移ったのは木だった。

木、木、木木木木……。


(ここは、森ですか?)

「ようこそ。『Monster or Humans』の世界へ。私はチュートリアル担当のAI、NAVIです。これよりチュートリアルを開始しますがよろしいですか? ちなみに、チュートリアルをスキップすることもできます」

(おー、初めてだからチュートリアル受けちゃいますか。ってあれ?)

「……その様子では喋れそうにありませんね。思考を読み取らせていただきます……了解しました。チュートリアルを開始します。なお、チュートリアル中は他のプレイヤーの干渉を受けません」

(その様子ではって、私今どうなっていますか?)

「現在あなたは長年の眠りから覚めたばかりの状態です。長い年月はあなたの体に確実にダメージを与えました。そのため、再起動に時間がかかっております」

(えっと、つまりはどういうことですか?)

「現在、毎秒ごとに再起動判定を行なっております。動けるようになる確率は経過年数分の一です」

(経過年数?)

「ルーレットの最後の数値です。あなたの場合ですと……これはすごい。10000ですね」

(えぇー!!ってことは平均10000秒私はここに拘束されるんですか!!?)

「ざっくり言えばその通りです」


・・・・・まさか最序盤にこんな落とし穴があるとは。

ごめん堅護、お姉ちゃんことあなたの恋のキューピッドは再起動に大体3時間ほどかかりそうです。


面白かった〜とか、続きが読みたい〜って思ってくださったら嬉しいです。

よかったらブックマークやpt評価をよろしくお願いします。

もちろん、感想もお待ちしております。

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お姉ちゃんの頑張りが書籍化しました。
― 新着の感想 ―
おねぇちゃん(´;ω;`)
[一言] 目押しすごすぎ。 これ、スロットで一生暮らせるんじゃないか
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