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人外戦隊、神レンジャー結成!


ロッキングチェアをもらって一週間が経過した。

イベント、『真夏のトレジャーハンター』は八月が終わるまで開催されているイベントのため私たちはあっちの世界でちょいちょい一緒に遊びながら過ごしていた。


そんなある日のこと、今日も今日とて元気にお宝発掘頑張るぞーな気分でログインするとフレンドからメールが届いているという通知があった。

送り主は………ドゲザさんだ。


内容はこうだった。


『おう、ボスの嬢ちゃん。ちょっと倒したい敵がいるんだけど手伝ってもらってもいいか?ダームのやつが困ってんだ』


そういえば、今度何かを手伝って欲しいということを言っていたような気がする。

私は少し思案してオッケーの旨を伝えるメールを送信した。


するとすぐに返信が返ってくる。


『そうか助かる。詳しい話は本人から説明したほうがいいな。ということで今からいいか?』


これもオッケーかな?

今日もお宝探しをするという雰囲気だがフレンドに呼ばれているといえばあの2人は解放してくれるだろう。

何か困っている人がいる風だし私が力になれるなら行ってあげたい。


『ありがとよ。なら今からケイオールの中央噴水の前で待っているから来てくれよな』


こうして私たちのメールでのやりとりは終わってしまった。

私はガトとフセンの2人に呼び出しがあったことを伝えてパーティを離脱する。

ガト、これで2人きりだから頑張るんですよ〜


そしてイベントエリアから退出して待ち合わせ場所に向かった。

途中、このままの格好で行くのもなんだと思い私は【裁縫】スキルのレベル上げの最中になんとなく作った白いワンピースを取り出し着替えた。


私の衣装が◯ンディー的な探検家ちっくなものから普通の女の子のものに早変わり。

こういう時、UIの装備欄から装備を変えればいちいち脱ぐ必要がないのは色々と助かる。



私はその格好で噴水広場へ突入した。

そこには毒々しい色のスライムと禍々しい衣をまとった骸骨、そしてニコニコ笑顔の人形がいた。


「すみません、遅くなりました」

「いや、そんなにまっちゃいねえよ」

「あ、ドゲザさんの呼んだ増援ってあなたのことだったんですね。お久しぶり、ダームです」

「おー、メーフラさん、一週間ぶりくらい?どう?元気?」


言わずもがな、スライムはドゲザメシ、人形がエターシャ、骸骨がダームスタチスだ。

私はダームさんといつもの2人が一緒にいることに少し驚いた。

エターシャさんとドゲザさんはグラロさんたちとも交流があったみたいだしフレンド多そうだね。


「私が最後ですか?」

「いや、俺たちからあと1人増援を呼んでいる。そいつも………あ、きたきた」


ドゲザさんが遠方に目を向ける。

釣られて私たちもそちらを見た。だが魔族の雑踏の中のどれが目的の人物なのかはわからない。

ただ、1つ異様に目立っている存在があるとするならば半透明のマッチョくらいだ。


その半透明のマッチョは迷うことなく私たちの方に歩いてくる。


「すまない。待たせてしまったかね?」

「遅えぞ教官、さっき呼んだボスの嬢ちゃんより遅いとはどういうことだ!!」

「あ、教官も助っ人としてきてくれたんだ。メーフラさんほどじゃないけど心強いよ」

「えっと、ドゲザさん……この筋肉は、幽霊か何かかな?」

「こいつは今回呼んだ助っ人の1人だな。見てくれあれだし中身もあれだけど戦闘力は高いからそれなりに戦ってくれるはずだ」


ドゲザさんはそう言って半透明の筋肉を叩いた。バシバシと筋肉から音がなる。

見た目から魔族は確定で、半透明ということは霊体か何かなんだろうけど……それにしては物理型みたいな見た目を突っ込まずにはいられないよね。

なぜか私たちの話を無視してバルクアップ始めたし………

こんなに特徴的な人あんまりいないんじゃないかなぁ……


「それで?今日は私はどうして呼ばれたのですか?」

「ん?メーフラさんは知っててきたんじゃないの?」

「いいえ、私は何か困っている人がいるというから手助けに来ただけです」

「ええっ!?ちょっとドゲザさん、説明くらいしてあげなよ」

「あはは、そこは僕から説明しよう。今回君たちを呼んだのはね、ちょっととあるボスを倒すのを手伝って欲しいからなんだ」


あ、なんだそんなことですか。じゃあ今からここにいる人たちでパーティ組んで突撃するわけだね。

私はそう思って聞いていて1つ、とんでもないことに気がついた。



「あれ?」

「どうかしたかボスの嬢ちゃん」

「これってパーティ組んでボスを討伐に行くって話ですよね?」

「そうだね」

「でも私プレイヤーボスだからパーティ枠3枠とりますよ?通常プレイヤーが4人いるから私いると入りきりませんよ?」


先ほどまでなら大丈夫だったのだがそこのむきむきな人がやってきたから枠が1つ足りない。

このままだと1人は参加できないってことになるんじゃ?

私がそう思い不安になっているとダームさんが「大丈夫」と笑ったーーーーように見えた。



「あ、メーフラさん、今回討伐するのはレイドボスだからその心配はいらないよ。実は枠自体はまだいっぱい余っているんだ」

「そうなのですね。しかしレイドボスとなると逆にこの数で足りますか?というか何人はいるのですか?」

「う〜ん、最強の剣神がいて戦力が足りないってあるのかなぁ……あ、今回の同時戦闘の最大人数は108人まで可能だよ。流石にそこまで大人数で戦うことを想定したボスだと僕たちだけじゃ足りなくてね。足りない部分は募集でもかけようと思っていたところさ」

「それなら、私のお友達も呼びましょうか?人族がいてもいいなら戦力にはかなりあてがありますよ?」

「あ、それは助かる」



ダームさんは以前人族のせいで魔族プレイヤーが減っていたことを嘆いていたことがあったから人族プレイヤーと共闘はしたくないと思って聞いてみたがそこらへんはあんまり気にしていないみたいだった。

だから私は今頃2人っきりで楽しくしているだろうところを邪魔するのを少しだけ心苦しく思いながらガトとフセンへのフレンドチャットを開始した。


『あ、姉ちゃんどうかした?』

「ガト、今から魔族の街まで来れますか?一緒にレイドボスを倒そうという企画が立ち上がっています」

『なにそれ面白そう。フセンさんと一緒にすぐ行くね』



これで2人確保。

だが相手は108人級の化け物が出てくるとの情報だ。この2人が加わってもまだ戦力に不足があるだろうと思った私は次なる相手にチャットを飛ばす。


「すみません。今暇ですか?」

『メーフラ様の方から電話!!ああ、今は暇だ』

「それなら手伝って欲しいことがあるのですが、ケイオールの街まで来られますかね?」

『うむ、あなたのためならどこまでも行こう。放っておくと無茶するからな』

「あはは……今回は余裕持って戦えるといいですね」


やった、リンさんもきてくれるみたいだ。

リンさんはこの世界の法則にマッチした戦い方ができる神級の人間だ。

プレイヤーボスの種族も持っているしきっと大きな戦力になることだろう。

リンさんからは5分以上待たせないというメッセージが届きメッセージは途絶えた。

すぐにでも駆けつけてくれるみたいだ。


あとは………グラロさんとか呼んでみるかな?

そう思ったけどグラロさんとレーナちゃんはオフラインみたいだ。

まぁ、グラロさんがレーナちゃんを戦いに参加することを許すとは思えないしとなると保護者であるグラロさんも戦えない。

どっちにしても誘わない方がいい相手だ。


もしかしてドゲザさんと仲が良さそうだがこの場にいないのは彼もそのことを考えたのかもしれない。


と、なると……私が呼べるフレンドは……………




あ、今日土曜日だ。

それならあの人がいるね。


「アスタリスクさん、今、大丈夫ですか?」

『………任せろ』

「あはは、まだなにも言っていませんよ。ところで、今から時間あります?」

『………問題ない。手が必要なのか?』

「有り体に言えばそうですね。助けてくれますか?」

『………当然だ。今、どこにいる?』

「ケイオールという魔族の街のど真ん中ですね。コスモールからひたすら西に走ればたどり着きますよ」

『………わかった。すぐに向かう』



よかった。今日がちょうどよく彼の休日で助かった。

アスタリスクさんを呼び出したあと私は自分のフレンドリストを確認する。

そこには先ほど呼んだ人たちの名前が並んでいる。逆に言えばそれ以上のものはなかった。


「うぅ……わかっていましたがこれ以上呼べそうな相手はいませんね」



アスタリスクさん経由でライスさんとテルさんも呼んでもらうべきだったかな?

いや、あんまり彼に甘えるのもよくない。好意を向けてもらっていることは嬉しいがだからこそそれをむやみやたらと利用はしたくないんだよね。



私がフレンドの少なさに少し落ち込んでいるとワンピースという装備付属の肩掛けカバンの中から小さなものが頭を出した。


「きゅぅ〜ん」

「おや、ヒメカじゃないですか?」

「くぅくぅ」


いないと思ったらそんな場所に入り込んでいたんだね。

ヒメカはカバンから体の半分を出してシュッシュと拳を突き出す。

それはまるで「自分も一緒に戦う」と言っているようであり、とても微笑ましいものに見えた。


「ふふっ、ありがとうございます。ヒメカは勇敢ですね」

「くぅ!!」

「ということで私の方では4人しか呼べませんでした。しかしうち1人はボスプレイヤーなので実質6人ですね」

「あ、あの、メーフラさん?」


私が増援を呼んだことを報告するとダームさんがこちらを凝視してくる。

表情はないがどこかびっくりしたような顔だった。


「はい、どうしました?」

「アスタリスクさんって……もしやあの?」

「あのってどのですか?」

「『虚構』『最率』『無音』『銀』とか呼ばれている剣士」

「あ〜、あの人そんなにいろんなお名前持ってんたんですね。私なんて『返り討ち』とかいう微妙なものだけなのに……あ、それであっていると思います」


私がそう答えるとダームさんは後ろを向いてブツブツ言い始める。


「いや、4人しか呼べなかったってそのうち2人が神級とか過剰戦力にもほどがあるでしょ。もしかして僕が名前を知らないだけで残り2人もすごい人だったりする?これ、律儀に108人集めなくても多分今からくる戦力だけで足りるぞ。なんでこの人はあんなに数を呼べなかったことを悔いてるんだよ。あれか?戦いは数だとでも思ってるのか?誰よりもそれが当てはまらないのはあなたたちじゃないか。というかアスタリスクこっち来てるのかよ。あ、それならもしかしてよく一緒にいるという噂のピエロと常識神もいる?それなら………」




ブツブツと小声で何かをいうダームさん。早口で紡がれるその言葉と連動して骨の頭の下顎の部分がカクカクと動いて軽いホラーだ。


私はどうにか元に戻らないかと思いドゲザさんの方を見た。

しかし彼は「教官」と呼ばれていた筋肉さんに賞賛の言葉をかけるので忙しいみたいだ。


筋肉さんはより筋肉が強調されるようなポージングを取り始める。

エターシャ、ドゲザ組はそれに対してタイミングよく掛け声をかける。その様子はまるで上司のご機嫌取りをする部下の図だ。


あ、もしかしてこの人も会社関係の人?


っていうかエターシャさんとドゲザさん結構な頻度でこっちにいる気がするんだけどなんのお仕事をしているのかな?


まぁ、とにかく、




「私はヒメカを愛でで皆さんがくるのを待ちましょうか」

「くぅ〜ん♪きゅぅ〜ん♪」



こうして、今日この場所に『ダームスタチスさん主催、レイドボス討伐部隊』が結成された。




まさかの今回、筋肉についての説明は一切なし!!

………次回ちょろっと書きます


Q、採用?的中?

A、的中の方ですね。


Q、アスタリスクさんの今後

A、そのルート予想の中に1つ正解があります。


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