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もっと自分を大切に!!

最後の掲示板は蛇足のため適当に流してください。


アスタリスクさんと戦ったあの日から3日ほど経った今日、栞ちゃんと凛さんが家に来た。


特に約束していたわけではないが別にこられて困るわけでもないので私は玄関の鍵を開けて2人を家に招き入れる。


「やっほー創華ちゃん、来たよー!!」

「いらっしゃい栞ちゃん、今日はどうしたのですか?」

「別に遊びに来ただけだよ!」

「お、お邪魔します。創華様!」

「凛さんも上がってくつろいでくださいね」


2人は靴を脱いでリビングまで入ってくる。

そこにはいつものようにくつろぎながらタブレットを操作する堅護の姿があった。


「あ、2人ともお昼ご飯食べますよね?」


それはそれとして今は昼時だ。

タイミングがいいのか悪いのか今まさに昼食を作ろうとしていた私は入って早々ソファーに座る栞ちゃんと凛さんに問いかける。

栞ちゃんは迷いなく、そして凛さんは何か葛藤するような仕草ののちに首を縦に振った。


今日の昼食は楽しいものになりそうだ。


さて、とは言ったもののまだ何を作るか決まっていない。

冷蔵庫の中身とみんなの好みとの相談だね。


「ところで凛さんは何か食べられないものとかありますか?」

「い、いや何、創華様が作ったものならたとえ毒でも食べてみせよう」

「凛ねぇは辛いものが好きだよ」

「わかりました。辛いものですね」


となると………

私は冷蔵庫の中身を確認する。昼食で食べられるくらいの重さで辛いものとなると………


「よし、今日のご飯は麻婆丼にしましょう」


各種薬味と豆腐があったから作れるはずだ。

そう思い私は調理を開始する。


「出来上がるまでに少し時間がかかるので好きにくつろいでください」

「あ、創華様。私も何か手伝おう」

「凛さん、凛さんはお客さんなんですからゆっくりしていてください。何か手伝って欲しい時は堅護に頼みますから」

「む、そうか。了解した」

「へー、堅護くんって普段から創華ちゃんのお手伝いとかしてるの?」

「えっ?や、俺は……」

「ええ、いっつも手伝ってくれる自慢の弟ですよ〜ねっ、堅護?」

「そうなんだ。立派だね」

「あ、うん」


堅護はもうちょっと胸を張るべきだね。

栞ちゃんに褒められて言葉が詰まる弟を見ながら私は包丁をまな板の上に落とす。

まな板から音は出ない。料理の腕は並程度だと自覚がある私ではあるが包丁の扱いだけなら大概の料理人に劣らないという自負がある。



あ、料理といえばアスタリスクさん、仕事に戻るからこれからは土日祝日くらいにしかインしないんだって。

彼、なんでも本職が和菓子職人らしいよ。

本人は多くは語らなかったけど、槍使いのライスさんが教えてくれた。

「あいつの菓子はいっっっっっじょうな程に丁寧で手間がかかってるんだよ。な?笑えるよな?」

なんて言ってたのは記憶に新しい。


アスタリスクさんは私たちの中では時折『最率』と呼ばれることがあった。

それは単に『最高効率』をまとめただけの言葉。

目標に最短で近づくその有り様を示した言葉である。

そんな異名を持った彼が作業の効率化を計らずに仕事に取り組んでいるのが面白いらしい。


その話を聞いた後私が


「お仕事では手間を重視するんですか?」

と聞いたら彼は

「………これが一番、客を引くために効率がいいんだ」

と照れたように答えた。


そんなアスタリスクさんだが、私たちと違い社会人かつ店側の人間のため本来なら夏休みというものはほとんどないはずだった。

だがそこは有給を使い会いに来てくれていたらしい。

しかし職場の人間に「お前がいないと」って泣き付かれたから早く復帰しないといけないみたいだ。

それを伝えた彼は少しさみしそうな顔をしていた。だが戻っていった。

これから彼と会うのは週に1、2くらいになるだろう。


なぜかこのことに喜んでいたのは凛さんだった。


凛さん、はじめに戦ってたことといい、アスタリスクさんと仲が悪いんだろうか?

いつか仲良くなってくれるといいな。





「さーて、できましたよ〜」

考え事をしながらではあったがなんとか麻婆丼は完成した。

辛さは一気に来るタイプではなくじわじわ攻めるタイプだ。できれば食べ終わってから「辛かったね」と笑える感じのものが好ましいと思ったからだ。


「おー、美味しそうだね!」

「こ、これが創華様の手料理…………私、今日ここに来てよかった……」

「あはは、凛さんは大げさですね。このくらいならいつでも作ってあげますよ」

「そ、それは!!もしやけっ、けっ、……こ…して毎日ということか!?」

「何か言いましたか?」



凛さんが何か言った気がするが言葉が詰まっていたのと早口だったため聞き逃してしまった。

私は聞き返したが再びそれが発せられることはなかった。


私たちは食前の挨拶を済ませてそれぞれ自分のご飯に手をつける。

真っ白な米にピリッと辛い麻婆豆腐をぶっかけただけのシンプルなものではあるが、料理とは得てしてシンプルなほど奥が深くなるものなのだ。


………なんてちょっと気取ってみたけど正直難しいことはわからない。

ただ言えることは、これなら辛いものが苦手な人でもなんとか食べ進めることができるだろうと思える味だった。


この麻婆丼、辛さは後からやってくる。

つまり最初の一口を食べて後味を感じる前に次の一口を掻き込めばなんというか、誤魔化せるのだ。

辛いのが好きな人は一口一口味わえばいい。

我ながら成功作品の1つだった。




「それにしても創華ちゃんと凛ねえはよく食べるね〜その質量はどこに行ってるの?」


途中、私たちの器を見た栞ちゃんがそんなことを言い始めた。

私たちの前には巨大な丼、しかしそれはチャレンジメニューに使うほどのものではなく、まだ常識の範囲内のものだ。


凛さんも私と同じものを使っている。

食べる前、どのくらいかと聞いたところこれがいいと言われたのだ。


「我が妹よ、私たちがこれだけ食べるのは自然なことだぞ。特に創華様はな」

「そうなの姉ちゃん?」

「さあ?でもみんなもそんなちょっとじゃなくてもっといっぱい食べるべきだと思います」

「いや、これが普通サイズだからね……」

「で、凛ねぇ解説お願い」

「簡単な話だ。より多くエネルギーを使う方からより多くエネルギーを摂取せねばならんのだ。特に創華様は好き勝手やるとそれだけエネルギーを使うはずだ」


確かに、言われてみればそうかもしれない。

私は全力で動いた後なんかは毎回お腹が空いているような気がする。

3日前も無性にお腹が空いてたんだよねぇ。いつもより多く食べたらいつも通りに戻ったけど。


「あー………なるほど」

「えっ、堅護くん今の説明でわかったの?」

「えっと、脳は大食いって話ですよね?」

「そういうことだな」



そうだよー大食いなのは脳であって創華ちゃんじゃないから、脳が欲しているから仕方なく食べているだけで私は本来少食なんだからね〜


そんな冗談を心の中で呟いて私は麻婆丼を平らげた。

そこからみんなの食器を回収して水につけておく。

この場ですぐに洗ってしまいたいところではあるが、ここで洗い始めたら変な気を使わせそうだからやめた。

そうやって食事が終わった後何をしようかと考えていると凛さんに呼ばれた。


「なんですか凛さん?」

「そういえば創華様に贈り物を持ってきていたのでな。玄関まで運んでもらっているから取りに行こう。一緒に来てくれないか?」

「ええ、いいですよ」


私は即答した。

さすが凛さんもお姉ちゃんと言ったところだろうか。栞ちゃんのことを考え堅護と2人にするべく私をさりげなく連れ出してくれたに違いない。

贈り物とやらも気になるし私は玄関前に出た。


そこには大きめの段ボール箱。



「これは?」

「創華様はもっとゆっくりしたほうがいいと思ってな。こういうものがあったらいいんじゃないかって思ったのだ」


凛さんはそう言って段ボールの上部をおもむろに開いた。

そこには緩衝材に包まれた1つの椅子。

それはただの椅子ではなくロッキングチェアというものであった。

それと、組み立てる手間を省いてくれたのだろう。一度取り出されてまた詰め直された跡があることに気がついた。


「いいんですか?」

「ああ、もらってくれ。そしてもっと休んでくれ」

「休む?」

「創華様、もっと自分のことを考えたほうがいいぞ。あの戦い、どのくらいの間全力で戦っていた?」

「えっと、8分くらいですかね?3人もいたのでえらく時間がかかっちゃいました」

「それで、ログアウト時は体はどうだった?」

「………」

「ボロボロだったはずだ。そうでなくても、少なからず傷ついていたはずだ。創華様のやっている戦い方というのはそういうものだ。VR装置で実際に体を動かしているわけではないから四肢は壊れていないかもしれないが、そこに体があることには変わらないのだ。脳が働き、心臓が脈打っていることは変わらないのだ。創華様、あなたはもっと自分を大切にするべきだ」

「大丈夫ですよ」

「大丈夫なわけあるか!!!」

「ひゃっ!?」

「す、すまない。つい……だがこの椅子な、実は私だけの想いではないのだ」

「というと?」

「創華様に何か贈り物をしたいと言った時、君の弟くんは「姉ちゃんにもっと休んでほしい」と言っていたぞ。多分、事実には気づいていないが何か感じ取っているんじゃないか?」

「堅護が……これを……」

「だから、別にこれを使ってくれというわけではない。しかし少しでもいいから自分を大切にしてくれ、私が言いたいのはこれだけだ」


凛さんは泣きそうな表情をしていた。

本当に私のことを心配してくれているというのが一発で理解できるほど、しかめっ面だった。

しかしそんな歪んだ顔でも絵になる程、彼女は美しいと思った。



私はーーーーーーーーーー堅護にもこんな顔をさせていたのかな?


そう思うと、途端に凛さんの言った言葉が心に重くのしかかってきた。

もっと自分を大切に。


そうだよね。

自分のことを守れない人が、人を助けられるはずがないもんね。


「ごめんなさい凛さん、そして、ありがとうございます。この椅子、謹んで受け取ります」

「うむ、それでいい。今後は全力を出すことがあっても5秒以内に抑えるといいぞ」

「じゃあその5秒は凛さんが数えてくださいね」

「ああいいぞ。創華様のためなら一瞬で数え切ってみせよう」

「冗談ですよ。それではこれ、運ぶの手伝ってもらえます?」



この贈り物は大切にしよう。

私はそう心に誓った。








【ここは】第二回イベント情報交換板【どこだ】


1 名も無き管理人


ここは第二回イベントである『真夏のトレジャーハンター』の情報を交換する場所だ。

何か気づいた人がいたらどんどん投稿してくれ!


どちらの陣営でも観れるから安心してくれよな。

前スレ:http://................


> >980を手にした君は次のスレを立てる権利を手に入れた。その権利、心置き無くふるってくれたまえ。






166 名も無き陰陽師

だああああ!!ダンジョン見つけるのにも一苦労なんだけど!?どこにあんの!?


167 名も無き魔狼

わんわん(大体どこにでもある)



168 名も無き陰陽師

>>167 こっち砂漠だけど見つからねえんだよ


169 名も無き家事手伝い

>>168 いや、砂漠ならあからさまなの何個かあるだろ


170 名も無き陰陽師

そんなものあったか?砂漠といえばピラミッドだけどそんなもの1つもねえし……


171 名も無き魔狼

>>170 わんわん(とりあえず蟻地獄にでも突っ込んでこい)





671 名も無き鳥

地図できたぞ!大雑把に書いているから微妙に違うところとかあるだろうけど気にしないでくれ!


672 名も無き吟遊詩人

>>671 助かる


673 名も無き宝箱

うわっ、結構広いな。これ回り方を考えたほうがよさそうだ。




888 骸骨魔導師

>>671が作った地図にダンジョンの場所を記しておいたものがこちらです。


なお、これも多少のズレは許してくれ



889 名も無き妖精

>>888 有能

ってこれもしかして全部回ったんですか?


890 骸骨魔導師

いや、初めのダンジョンで『星琴ベガ』とかいうアイテム拾ったから地図の上に星の場所書いただけ

今回のイベントの肝は夏の大三角を全部集めることかねぇ………誰か一緒に行かない?




Q、3Dはめいさくでしたね……

A、あのEDは一度は見るべき!


Q、お姉ちゃん、病院行って!!

A、医療費かかるので嫌です


Q、レベルとかどうなってる?

A、今12です。15でスキル追加、25で進化です。


Q、何かあったの?

A、旅行行って旅先でウイルス拾ってきました。今日復帰したので明日から頑張ります。


ブックマーク、pt評価をよろしくお願いします。感想も待ってるよー


次回から第3章


第2章までで書いとくべきところは書いたと思うので第3章からは暴走気味でいいよね?

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お姉ちゃんの頑張りが書籍化しました。
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