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ほのぼのふわふわもふもふかわかわ

ほのぼの回?いつもと作風が全く違う気がするが反省はしていない


『『クエスト:森のくまさんを守れ』を達成しました』

『『クエスト:くまさんのお家』が発生しました』

『クエスト詳細:トラベアーが自分の住処に案内してくれるみたいだ。抵抗せずに運ばれよう』


くまさんに担がれている最中目の前にそんなテロップが流れた。

どうやら私はくまさんの家に連れていかれるみたいだ。

問題は連れていかれて何をされるのだろうかということだが………不安だ。

何を目的に運ばれているかがわからないからひっじょうに不安だ。


「くまさん、私はどうして担がれているのですか?」

「ベア〜♪ベア、ベアァ、ベアベアベア!!」

「あはは……何を言っているのかわかりません」


向こうはこっちの言葉を理解している風なんだけどいかんせん私の方がクマ語を理解できない。

ただ、なんとなく機嫌がよさそうに見える。



…………はっ!!

もしかして私、このくまのお嫁さんとしてお持ち帰りされてたりする!!?

きっとそうだ!!

その可能性にたどり着くともうそうとしか考えられなかった。


あぁいけませんくまさん。

私は心に決めた人が………いるわけではないですがとにかくいけません!

「ベアッ、ベアッベアァ〜♪」

そんな声を出してもダメです!!

私とあなたは種族から違うのですよ!!


「ベアッ!!」

「うわっと、びっくりしました」

そんなことを考えながらされるがまま運ばれているとどうやら目的地に着いたらしくくまさんが私を地面に放り投げた。


ちょっと!

もうちょっと丁寧に下ろしてよ。こちとらか弱い女の子なんだから。


私は空中で体をひねりなんとか両足で着地した後周りを見渡した。

森の中には変わりないが1つ、見慣れないものというか穴がある。

それなりに大きくて深そうな穴だ。


「ベア〜」


くまさんがその穴に向かって呼びかけるように鳴いている。

すると少し後に穴の中から何か動くものの気配がした。


にょき、にょき、にょき…………


そして穴から3つの小さなものが出てくる。

それは私が助けたくまをデフォルメして小さくしたような子グマだった。


「くーん」

「か、可愛いですね」

「ベア、ベアベア!!」

「「「く〜ん」」」


くまさんと子グマさんは何かお話をしているみたいだがやっぱり言葉はわからない。

それがなんとなく私にアウェー感を与えてくる。

………ゲームの中なんだしクマの言葉くらいわかってもいいじゃない。

そう思っていると再び私の前に通知が来た。

『『クエスト:くまさんのお家』を達成しました』

『『クエスト:くまさんの子供』が発生しました』

『クエスト詳細:くまさんは助けてくれたあなたを信用して子供を紹介してくれたぞ。くまさんの子供と遊んであげよう』


…………この通知が今一番理解できる相手な気がする。

あなたがいなかったら私これからどうしていいか分からずにとりあえずで子ぐまを撫でに行ってたよ………

あ、それはそれで遊んでいることになるからいいのかな?


「ベアッ!!」

「くぅん………?」

「ベアァベアベア!」

「「「くぅ〜ん!!!」」」


何か向こうの方で話がついたらしい。

穴から頭だけを出していた3匹の子ぐまだったが穴から飛び出して私の方に恐る恐る近づいてきた。

そのおかげで全身が見える。

親の方のくまさんは全長4メートルはありそうな巨体だが子ぐまは私より小さく抱っこしたら丁度よさそうな大きさだった。

まるでぬいぐるみのようなその子ぐまたちは私の方に寄ってきて上目遣いでこちらを見てくる。


「ほらほら、怖くないですよ〜きてくださ〜い」

「くぅ」

「くーん」


どうでもいいけどあなたたち「ベア」とは鳴かないんだね。

子ぐまたちは少しずつ近づきついには私の手の届く位置までやってきた。


「撫でてもいいですか〜?」


私は子ぐまの頭の少し上で手を振りながらそう問いかけた。

するとやはり人語を理解しているのか子ぐまたちは頭を縦に振ってくれた。

よしっ、撫でよう!!


私は1番右側にいた子ぐまを撫でる。

おぉ!!思っていたより柔らかい!!ふかふかだ!!

野生の熊って毛皮は硬いイメージしかないんだけど………こんなに柔らかいの!?

あ、ゲームだから!?

そういえば担がれている時もチクチクした感覚とかなかった気がする!


私が夢中になって撫でていると他2匹の子ぐまがじっとこちらを見ていることに気がついた。


「あぁごめんなさいね。平等に撫でてあげます」


私はそちらにも手を伸ばして撫でてみる。

ふわぁ、こっちもふかふかさらさらだ。


「くーん」

「くーん」

「くぅぅぅぅん!!」


子ぐまは三匹に対して私の手は二本しかない。

ということは私が同時に撫でられるのは二匹だけということになる。

つまりはじめに撫でていた子ぐまから手を離して他の二匹を今撫でているわけだが、自由になったからか今度は向こうからアクションがあった。


なんと少し助走をつけて私の方に飛びかかってきたのだ!!

ぴょ〜んという擬音が似合いそうなジャンプでその子は私の胸の中に飛び込んできた。


「………はぁ、幸せです」


この際だから言っておくけど私はかわいいものが好きだ。

もふもふとか大好きだ。

だから私の部屋のベッドの上には大きなくまさんの抱き枕 (自作)が置いてあるしそれを抱いて寝ている。

そんな私にとってこんな風にもふもふくまさんが向こうから飛び込んでくるのは夢のような出来事であった。

私は抵抗することなくその飛びかかりを受け、そしてその勢いで押し倒された。

硬い地面で背中を打った気がするがそんなことは些細なことだ。


今、私の上には小さなくまさんが馬乗りになっている。

くまが……馬乗り?

まぁいいや。

それを見たからか他の二匹も続くように乗っかってくる。

私はちらりと親のくまさんを見た。

何か優しげな目で私たちの方を見ている。

今思ったんだけどこいつら野生動物にしては警戒心薄すぎるね。

もっと注意深く生きないと悪い人にいいようにされちゃうよ?

例えば……………


「私みたいななぁああああああ!!」

「「「くぅぅぅぅぅぅぅ〜ん!!?」」」


三匹まとめてホールド。

これでもう逃げられないね。

じゃあ、十分に堪能させてもらおうか?


「あっ、ちょっ、髪引っ張らないでください!」

「くぅん!」

「違っ、君はドレスの中に潜ろうとしないでください!」

「くぅ〜?」

「そしてあなたはお顔を無遠慮にペロペロなめないでください!」

「くぅ!!」


………三匹に勝てるわけなかった。

いや、倒せと言われたらこの体勢からでも簡単に逆転はできるだろうけど今回のクエストはこの子達と遊ぶことであって倒すことが目的じゃ無いからね。

本当、好き勝手やってくれるよ。


私はヘルプコールとして親くまさんに視線を送る。


「ベアァ〜♪」

「いや、そんな連れてきてよかったみたいな雰囲気出してないでちょっと助けてくださいよ」

「ベア!」

「ほらっ、いいんですか!? あなたのお子さんが女性の髪の毛を引っ張るようなことをしていますけど!!」


引っ張られていると言われてもそこまで強い力ではないのが幸いだ。

それにゲームだから抜けたりはしないんだけど…

でもやっぱり何か気になる。

早急にやめてもらいたいものだ。


「くっ、こうなったらもう容赦はしませんよ!!」


私は見せしめとしてまず髪の毛を引っ張ってくる子ぐまの両脇を両手でホールドした。

そして両腕の力だけで空中に投げ飛ばした。

ふふふ、こちとらここにくる前に装備したギアのおかげでSTRが滅茶苦茶高くなってるのだ。

小さなくまを投げ飛ばすなど、容易い。


「くぅぅぅん!!?」


子ぐまさんは4メートルほどの高さまで飛んでいってそのまま地面に向かって真っ逆さま。

そして地面に激突して大怪我………では後味が悪いどころの話ではないのでそこはちゃんとキャッチする。


「ほらっ、あんまり悪いことする子にはこうやってお仕置きですからね」

「「「くぅ〜ん♪」」」


私はちょっと自重してくれと頼むために投げ飛ばしたのだが、子ぐまたちはそれを新しい遊びと認識したらしく逆に私に向かって飛びかかってくる。

ちょっ、やめて!

服を引っ張らないで!

わかった、投げる。投げるから!!


なんかさっきからやることなすこと裏目裏目になっている気がする。


「ほーい、飛んでってくださ〜い」

「くぅ〜ん♪」

「ほーら、次はあなたですよ〜」

「く〜ん」

「そして〜最後はあなたですね〜ってちょっと!!?」

「ベア〜」


なんか今最後変なの混じってなかった!!?

勢いでやっちゃったけど大丈夫だろうか?

先ほどまでのかわいいものとは違い今度はそれだけで脅威になりそうな大質量が私にめがけて落ちてくる。


仕方ない。

投げ飛ばしたのは私だから責任をとってちゃんと受け止めることにしよう。


ミシッ………


うわっ、重い。

というか私よくこれを投げ飛ばせたな。ボスステータスおそるべし………

ってあれ?【ギアアップ】が作動してたっぽい。

ということはさっきの子ぐまとのやりとりは戦闘扱いなのか………

まぁ、よく見たらHPも1割弱程削れているしね。

どれで削れたんだろう?やっぱりタックルとかだろうか?

それとも最後のやつかな?





それから私は時間が許す限りくまさんたちと遊んだ。

途中くまさんの奥さんがやってきて私を敵と判断して殴りかかってきたり、子ぐまさんたちの連携攻撃で地面に引き倒されたりした。



そして再びやってくるあの4人組。


彼らは初めは私たちを討伐しようとしていたがただ遊んでいるだけの私達を見てやる気をなくして帰っていった。



そしてくまさんの食卓に案内された。

今日のご飯は奥さんがとってきた川魚。

もちろん火なんて通してなくて生だよ。そんまま私に食えってか?


ガリッ………


料理において魚の鱗をとることって大切だよね。

くまさんに魚は食べられないって言ってみたら蜂の巣をもらった。

指を突っ込んでみたらはちみつが溢れてきた。


ちなみに奥さんのなきごえは「くまー」だった。

家族みんな鳴き声違うのな。






そして私がずっとここにいたいと、ここはある種の楽園だと思い始めた時、その通知は来た。


『『クエスト:くまさんの子供』を達成しました』


それはこの楽しい時間の終わりの合図だった。

私は今弟と合流するために移動していた。その途中でクエストが発生したから仕方なくそれを進めていただけ。

そう、優先するべきことは他にある。

だからクエストが終わってしまった今、ここにいる理由はもうないのだ。


「…………一匹くらいお持ち帰りしたらダメでしょうか?」

「ベア〜♪」

名残惜しいけど私はここまでみたいだね。続きのクエストもないみたいだし、クエスト報酬がいつのまにかインベントリに入っているし。

…………また機会があったら会いたいですね。
































「ということがあって合流が遅れました。ごめんなさい」

「くぅ〜ん♪」

「ちょっ、マジで持ち帰ってきてるじゃねえか!!」

「メーフラちゃん、それは誘拐だよ。ほら、早く親御さんの下に返しに行こう?」

「失礼ですね。ダメ元でお願いしたら一匹ついてきてくれただけですよ。ちゃんと向こうの許可は取ってます」

「っていうか何かあったのかと思ってたけどまさかのくまと遊んでただけ!?」

「あ、これお土産の蜂の巣です」

「はちみつじゃなくて!?」

「そっちもちゃんとクエストクリア報酬でもらっていますよ。これは娘の門出に親が持たせてくれた蜂の巣です」

「あ、そのくまメスなんだね」

「くぅ〜ん」



その後無事弟との合流は果たせた。

森を抜けるまでの道は恥ずかしながらくまさんにナビゲートしてもらった。


この子の名前、考えないとね。


何にしようか?


ちなみに、ボツにした話として森で虫取りするというのがありました。

気づいたらくまになってました。


Q、INT0ってどこの水の女神様?

A、薄々感づいている読者の方もいるかと思いますが創華お姉ちゃんは割とぽんこつの部類です。


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