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どこかの王様も演技の練習をしてたしこれは必要なことなんだよ。・・・きっと

ある意味作者の息抜き回。故に短め?


『イベントエリアにいる全プレイヤーにお知らせします。人族の開発砦が破壊されました。繰り返します。人族の開発砦が破壊されました。』


そのアナウンスに城内は騒然とする。

これで3つのうち2つの砦が落とされたことになる。

対して魔族側の砦はただの1つも落とされてはいない。


イベント開始時は勢いのあった人族のプレイヤーも今はそれほど勢いづいてはいなかった。

そしてそれはイベント開始と同時に魔族の資材砦を落としに行ったものに顕著に現れている心境の変化であった。


あの化け物が守っている限りあそこは落とせない。

その思いが強く根付いてしまっているのだ。



だが、悪い知らせばかりでもない。

次の瞬間には彼らにとっての吉報となる事実がアナウンスされた。

『イベントエリアにいる全てのプレイヤーにお知らせします。魔族の食糧砦が破壊されました。繰り返します。魔族の食糧砦が破壊されました。』


2つ続けて自陣側の砦が壊されて気が落ち始めていたところに魔族側の砦を破壊したというアナウンス。

そのアナウンスが人族にまだ勝利を諦めさせない要因となった。


「さてと、俺たちもずっとここにいても仕方ねえしな。ちょっとはあの化け物の攻略法でも考えるとするか」

「そうだなぁ。戦ってみた限り近接戦闘やってる分には無理そうだけど魔法攻撃は警戒しているみたいだったな」

「ああ、案外魔防が低いのか、それともあいつ自体が近接攻撃しかできねえから一方的に攻撃されるのを嫌っているのかってところかな」

「多分後者じゃないかな? 多分数値としての防御面はあんまり考えてないと思う。それにあいつ、一応ボスプレイヤーだったはずだから一撃即死とかはなさそうだしな。食らっても隙を見つけて回復されそうだ」

「それはどうなんだろうな? あれって確か人形族だったっけ?」

「ああ、そのはずだ」

「なら戦闘中の回復ってできるのか? 薬きかねえんだろ?」

「あ〜、確か人形族ってメインHPの回復に「人形の体」とかいうアイテムが必要なんだっけ?」

「確かなー。そしてそれを戦闘中に使う余裕があるかね?」

「あれならなんとか隙を見つけて使いそうだけどなー」

「たしかに」


条件自体は相手も同じ。

その1つの希望を見つけた人族たちは少し前向きに話し始める。

今現在、イベントエリアの空は黒く暗視能力をデフォルトでもっていない人族プレイヤーとしては戦いにくいフィールドだ。

だからこそ彼らの大人数が砦や城で時間を潰していた。


その際、はじめのようなお粗末なものではなくちゃんとした作戦が立てられたりもしたがいかんせん指示が行き渡らなかったりなんだりで難航していた。

今回の魔族の指揮官はそこらへんは種族ごとに人員と役割を分けるということで対応していたが、人族プレイヤーはそれができない。


できるとしたならばメイン職の種類だろうが、それで分けたら大雑把になりすぎて緻密な作戦を立てられない。


そんな中ガトとフセンの2人はコソコソと城の端っこの方で話をしていた。


「ねぇ、ガトくんどう思う?」

「どう、とは?」

「この戦いの行く末ってやつだね。このまま正面から戦い続けて勝てると思う?」

「多分、難しいかと」

「だよねぇ。さっき私たちが負けた中央の砦での戦闘、あれは君のお姉ちゃんであるメーフラと後ろからの大雑把な射撃だけだった」

「そうですね。メーフラを倒さないといけない状態になった時点で俺たちの負けになっていました」

「それに加えてあの場所にはリンねえがいなかったんだよ」

「そういえば、リンさんはどこにいたんでしょうか?」

「多分、砦の攻略側にいたと思う。じゃないと人族が統率が取れてないからってあんなに早く砦が壊されるとも思わないから。そしてそうなると私たちに残された時間は思っているより短いのかもしれない」

「え?」

「わかんないって顔だね。でも考えてもみて、リンねえの種族って何か知ってる?」

「えっと確か……二重の影ドッペルゲンガーでしたか?」

「そう、影系の魔族なんだよね。で、今は夜。つまり今リンねえが種族的に1番強い時間ってことじゃないかな?」

「………もしかして、この夜の間に砦、ないしはこの城が落とされる可能性がある?」

「かもね。だから用心しとかないとまずいかもよ」

「でも用心したところでどうしようもなくないですか? リンさんって確か姉ちゃんと同じくらい強いんですよね?」

「メーフラちゃん情報、攻撃面は最強だって」

「そんな人が攻めてきて勝てるんですか?」

「だからだよ。ここで1つ動かない?」

「動く?」

「うん、今のうちに見つからないくらいの少人数を誘って相手の本拠地を落としに行くの」

「できるんですか? というか見つからずにたどり着けたところでどうやって破壊を………」

「それは【蓄魔】で一気に火をつければなんとかなると思う。問題はそこにたどり着くまでだね」


ガトとフセンはUIに表示されているイベントの項目からイベントエリアの配置図を開いた。

そこにはこのエリア内のざっくりとした建造物の関係が記されているのだが、そのうちの砦の3つが薄黒く表示されていた。


「さて、どのルートを通れば見つからずに済みそうかな?」

「…………普通に考えれば今落ちているらしい北側ですね」

「だよねぇ。逆にこっち側で落とされている西側と南側は敵軍が進軍してきていてもおかしくないからね」


ガトとフセンは北側にルートをとることを確認してから具体的にどうやって移動するのかを考えた。

そして考え始めた時にまずはじめに出る問題は足の問題だ。


城から砦への転送を使えば途中までは考えなくてもいいが、そこから相手の城までの道のりは生半可ではない。

相手の壊れた砦までが1時間、そこから相手の城までが急いでも4時間ほどはかかりそうな距離がある。

その距離を長々時間をかけて移動するのは見つかるリスクなどが大幅に上がる。

できれば何か素早く移動するための足となるものがほしいと彼らは考えた。

と、その時だった。


「おう、そこの2人さっきから面白そうな話をしているな。俺も混ぜてくれよ」

「えっ、っと?」

「足が足りねえんだろう? それなら俺に最高のアテがあるぜ。どうだ? 俺もその話に乗せてくれよ」

「フセンさん………」

「いいんじゃない? それであなた名前は?」

「おっと悪い、名乗る前から知っている奴が結構いるから忘れてたぜ。俺の名前はジャーグル。今のメイン職はライダーだ!」


ガトはその男の名前を聞いて息を飲んだ。


ジャーグル。


それはかつて人形狩りを考案した男であり、あの最強の姉が自らの手で倒そうとしているプレイヤーの名前だった。















「では、みなさん頑張ってくださいね」

「おう、あのいけ好かねえ人族どもの城はきっちり落としてやるからな。あとでアーカイブで俺たちの勇姿を確認してくれよ!!」

「そちらこそ、気をつけて。万が一あなたがやられてしまうとこの城、簡単に壊せるものに早変わりする設定にしちゃったからな」

「まぁ、メーフラ様が危なくなったら私が助けに参上するから安心してくれていいぞ」

「はい、リリンベルさんもここをお願いしますね」

「ということでメーフラ様、危なくなったらすぐに呼ぶんだぞ」

「はい、その時は頼らせていただきますね」


私は手の中に収まっている2つの宝石を見下ろしながらリンさんに笑顔を見せた。


今現在、魔族のプレイヤーたちは城から資材砦へ転移する転移陣の前に集められていた。

今から彼らはこの陣を使い前線へと押し出される。

それは今まで城の中で指揮官をしていたダームさんとて例外ではない。


ただ1人、例外があるとするならば私だ。


私は1人お城でお留守番することになっている。


え?

なんでこんなことになったのかって?

それは私を除いた魔族全員で今から相手の本拠地を落としに行くからだよ。

ただ、城の守りも考えないといけないから私を置いていくんだとさ。


あはは〜バカだよね〜

こんなおっきな城、1人で守りきれるわけないっての。

この話をされた時にはそう思ったりもしたがそこは流石指揮官ダームさんだった。

攻城戦開始前からこの展開まで完璧に見据えて動いていたらしい。



そもそもだ。


なぜ彼があんなに中央の資材砦が大切だと主張したのか、という話だったのだ。

彼は始めあれが残っているのと残っていないのでは防衛力に大きな差が出ると言っていた。

では具体的に何ができるのか?


それは大きく分けて以下の3つだ。

壁の補強、まあ普通だ。

兵器の設置、うん、よくあるよね。

防御魔法の展開、ファンタジーだね。



ダームさんは今回その3つ目の防御魔法の展開というものに資材のほとんどを費やした。

その防御魔法とは【完全防御壁ロイヤルガード】という魔法らしい。


その名の通り城に対する全ての攻撃を弾いてくれるぞ。すごいね。

ただ、この魔法とて完璧ではない。


ダームさんによればこの魔法は城の最上階にある玉座が壊されたら城とともに崩壊する魔法らしい。

わかりやすく説明すると城の耐久力=玉座の耐久力だ。

しかしこの魔法。

大量の資材とそれなりの技術力を要求されるだけあって保険もかけられる。


それが城の王の設定だ。


たった1人だけだが王というものを設定することができる。

そしてそのものが打ち倒されない限り玉座は傷つかないのだー!!

はーっはっはっは!!


つまりどういうことかというと


私の命=玉座=城=敗北条件


ということだ。

うんうん、こんな大役なかなか回ってこないよ。

ちなみに砦の防衛が一段落ついたあと種族代表たちは一度城に戻されてこの作戦を告げられた。

その時のみんなの顔と言ったら………もうぽかんって感じで。

正直、反対意見が結構出た。


猫の人とか結構反対してた。


でもそこで取り出されるサハギンリーダーの視点映像記録。

彼は川からひょこっと頭を出して私の戦いを見ていたらしい。

あとで聞けば彼だけじゃなく最後はみんなで見ていたのだとか。


彼はその映像記録を作戦会議の場でどーんと公開して一言。

「信じてやろうじゃねえか、俺たちのボスってやつをよ」

とダンディな声で言い切ってみせた。

惚れはしないけど素直にかっこいいとは思った。

顔は魚のそれなのにね。


……ということがあり私はここでお留守番だ。

魔族プレイヤーの人たちが少しは私の負担を減らすんだーって残ってくれるかとも思ったけど、今からの侵攻を祭りだと認識してみんな攻撃しに行くらしい。


だからここに残るのは私を含めてごく少数だ。



「それでは、行ってきます」

「お気をつけて」


最後に一言やりとりをしてダームさんは転移陣の中に消えてしまった。

それに続くようにぞろぞろと他の人たちも。


そして少しするとそこには静寂が立ち込めていた。

私は1人になったのだ。

まぁ、厳密に言えば自主的に防衛に参加している人もいるから1人ではないんだけどね。






さて、では今日のメインテーマに入ろうか。


今現在、私の討伐=人族の勝利という公式が出来上がっている。

これは今の私はステータス的にも、立場的にもボスキャラなアレということになっているのだ。


これはいつもより一層ボスっぽい言動が求められる。


「さて、しかしボスっぽい言動と言ってもどんなのがいいのでしょうか………ちょっと私が知っているボスキャラのモノマネでもしてみればわかりますかね?」


城に少しだけ人は残ったと言っても流石に玉座の間にいるということはなかった。

つまりこの広い空間を私は独り占めできているのだ。


私は思いつくままのボスキャラのモノマネを始めた。

まずは〜


「無とはいったい………ウゴゴゴゴ………これは……自我を保てていないので却下ですね」

「1つ、チャンスをやろう………少し平凡でしょうか?」

「私の存在は世界の意思、私を倒せるというのなら、倒してみるがいい!!…………同じ女性ならマッチするというわけでもありませんね」

「よくぞここまで苦しみを力に変えた、魂を磨き上げた、我は嬉しいぞ………少しありかなと思いましたがこのキャラ花嫁を探すキャラですしね」

「ホラ………、ヨク噛ンデ食ベナサイ。………ここだけ切り取っても意味不明ですね」

「乙女よ、そなたを守ろう。………私自身が言われたいセリフベスト3には入りそうですが」

「騒々しい、静かにせよ………このセリフも練習シーンを読んだ後だとギャグですよね」

「貴様の拳では死なん!! …………負けそうになったら飛び降りてみましょうか?」

「違うっ、ナプキンを取れるものだけが決められるのだ!!………微妙」

「世界の半分を貴様にやろう………定番ですね。だからこそ悪い気はしません」

「私の戦闘力は53万です。………この数字出すとあとでインフレして小さく見られそう」

「技を超えた圧倒的な強さ、それがパワーだ………私は力より技派ですけどね」

「今のはメラゾーマではない、メラだ………魔法はそもそも使えません」

「どんな気分です、自分自身の神と戦うのは………機械も人形も似たようなものですからね」

「自分の欲望のままに力を使いその力に溺れる。それこそがお前たちの限界。だからこそ、滅びなければならないのだー!!………これも違う」

「同じ技は2度通用しない!!………当然です」

「『僕は悪くない。だって、僕は悪くないもの』………なぜかわからないけど勝てなくなりそう」


「ふ〜む、適当に片っ端から出していっていますがあまりいいものがありませんね。なんというかキャラに合わないというか………あ、それなら人形キャラからのピックアップとかどうでしょう?」


え〜っと、人形キャラってどんなのがいたかな〜

私は一度ボスキャラの演技をやめて人形キャラの演技を始める。


「次に来る時も甘いものを持ってきてください」

はいはい、その後虫歯になるんですね。


「私は完璧だ、完璧なんだ!」

壊せ、◯クトリアー!!


「ガガガガガガ」

人形って無口だったり壊れてたりするキャラ割と多いよね。


「すみません、体が、動きません」

塩を食べさせられそう。


「ふむふむ、人形キャラって並べてみるとあんまり多くのパターンがないんですね」

そんなこんなで敵が攻め込んできた時私がどう振る舞うのがいいのか考えていると突然城内が騒がしくなった。


「敵襲、敵襲!!」

「空より飛龍が1匹、こちらに向かって飛んできております!!」


城に残ってくれた数少ない魔族が警戒に当たってくれていたみたいでこちらに近づいてくるものを素早く察知してくれた。


しかし困ったな。


まだどんなふうに迎え撃つか決まってないんだけどなぁ。

ま、それはその時考えるとしよう。


私は敵襲の声を聞きながらも玉座の間から動かない。

というか、動けない。

王に指定されたものは基本的にこの部屋から出ることができないのだ。


ボスとは、迎え撃つもの。

勇者の蓄えた力を受け止めてやるもの。


決して、出待ちなどはしてはならないのだ。



私は襲撃者がここに来るだろうか?とハラハラしながらどっしりと玉座に腰を下ろした。




適当に並べたけどみなさんどのくらい分かったのでしょうか?


Q、話数が20もいってないのに番外編を書くという読者を減らしたいとしか思えない暴挙、お疲れ様です。


A、話数は20前後だけどもしこれ他の人の小説と同じように3000〜4000字で切って投稿してたら倍はあるからセーフってことで。

というかこれでも一応10万文字超えてるのよ?


Q、番外編は読む気すら起きません。

A、はぁ、そうですか。

ちなみに番外編その2の最後の方にちょろっとだけ2章の最後に出す予定の要素を先出ししてたりしますよ?


Q、どうして他の人たちのダメージ軽減されてるの?メーフラさんの攻撃ってわけでもないのに


A、あ、あれは私の説明文の書き方が悪かったですね。慈悲無き紋章は発動者から見て敵対者かつ紋章を持たないプレイヤーへのあらゆるダメージを軽減します。

別に自分が与えるダメージが減るとは書いてないんですよね。


Q、イベントはレベルシンクとかしないとバランス崩れるのでは?

A、ところで、魔族プレイヤーは進化するたびにレベルが1になるんだけど?


Q、お姉ちゃん最強すぎ、弟が倒すまで何年かかるの?最初は良かったけどだんだん強さがインフレして胸焼けしてきた

A、メーフラさんが今後の戦いでどうなるのかはひとまず置いておいて、、、強さのインフレ?

インフレはしてなくない?最初からあれくらい強かったよ。


Q、メーフラ、お前ボスというよりただの強いプレイヤーじゃ?

A、作者的には書いていてボスというより災害か何かかな?と思ったりしてます。


Q、フセンさん、それPKでは?

A、管理AIによるとセーフみたいです。一発までなら誤射かもしれない。


Q、おい、なんかここ式あわなくねえか?

A、ああああああああああああ、、、これは恥ずかしい!!


Q、長文はご褒美です。というかいちいち感想に対応するんだな

A、作者の楽しみの1つでもありますからねー。悪口とかでない限り、ですが。


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お姉ちゃんの頑張りが書籍化しました。
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