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番外編2 創華ちゃんはあぶのーまる?

この話は1225にクリスマスイベントとして投稿したものを場所の移動のため再投稿したものです。



◇ 12月25日


今日は12月の25日、クリスマスだ。

この日はイエス・キリストの誕生を祝う日ではあるが、日本人的にはそんなことよりただ「クリスマス」という行事としてしか認識されていないような気もする。

日本人は楽しいことが好きなのであってそのためならば習慣とか割とどうでもいいと思っているような節があるように思う。


そんなクリスマスな今日であるが、わたしはいつものごとく弟と一緒に変わらない朝を迎えていた。


「さて、堅護は今日も1日家にいるのですか?」

「あ、今日は俺友達の家でクリスマスパーティやるみたいだからそれで呼ばれているんだ」

「あ、そうでしたか。いつ頃出発します?」

「昼過ぎくらいかな?」

「お夕飯は必要になりそうですか?」

「いや、いらないから親御さんにはそう伝えるようにって聞いてるぜ」

「そうですか。なら存分に楽しんできてくださいね。何かあったらお姉ちゃんの携帯に電話をするのですよ」

「わかってるって」



聞いてみたところ弟には今日の予定がもう既に入っているらしい。

むぅ、私には何も予定がないのに生意気だぞー。


そんなこんなで今日という日を迎えた私はクリスマスというものを特に意識するでもなくいつも通りに過ごそうとしていた。


そして正午。


堅護は昼食のオムライスを素早く口の中に掻き込むと素早く荷物を持って家から飛び出していってしまった。

お友達とのクリスマスパーティに出かけたのだろう。


「さて、堅護もいないし家事も終わっている………本格的に何もやることがありませんね。主婦をターゲット層にしたドラマは昼頃にあるといいますが……なるほどやはりこの時間は手持ち無沙汰になるものです」


家の中には私が出す以外の物音はない。

それが少しだけ寂しくなって私はなにかみたいものがあるわけでもなくテレビをつけた。

少しだけ家の中が賑やかになる、が逆に虚しい。


刺客の世界の人たちと遊んでもらおうかな?

自己研鑽大好きなあの人たちなら今日も修行のために襲いかかってくるだろうし。

少しうるさく感じたテレビを消しながら私はそう考えた。


「はぁ、私も恋人の1人でもいてくれたら今日が楽しかったのかもしれないのですが……」


言い寄ってくる男性はどれも魅力がない方ばっかりなんだよなぁ。


私は小さく溜息を吐いた。

その時、テーブルの上に放置していた私の携帯が音を鳴らし始めた。


『めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、んめ゛え゛え゛え゛え゛え゛ぇ゛!!』


羊の鳴き声ということは電話の通知だ。

私は手を伸ばして携帯をとり誰からの着信なのかを確認する。



………ふむ、栞ちゃんか。


「もしもし、こちら高嶺 創華です」

『あ、創華ちゃん? こちらは栞だよ〜今暇?』

「今日はクリスマスなのですが……暇だと思います?」

『うん。だって創華ちゃんクリスマスに一緒に過ごす人なんていなさそうじゃん。強いて言うなら……堅護くんくらい?』

「随分と正直に言ってくれますね。まぁ、正解です。今の私は1人寂しく暇してますよ」

『それは良かった。私も暇なんだ。だからさ、暇なものどうし一緒に遊ぼうよ!!』

「それはいいですね。でしたら私がそちらに行きましょうか?」

『それでいこう。創華ちゃんは私の家に来て、その間私がクリスマスパーティの準備をする、っていうのでおっけー?』

「おっけーです」


どうやら栞ちゃんも暇をしていたらしい。

私たち2人は似た者同士だね。

ということで私にも予定ができた。これで私はクリスマスに1人寂しくテレビを見るかわいそうな女の子を卒業したのだ。


私は2階にある自分の部屋に戻り外出の準備を整えた。















そしてやってきました栞ちゃんの家。

いつみてもでっかいねー。

普通の人ならこの家に入ることになったら萎縮してしまいそうだけど私はもう慣れた。

こんな家、この前『THE・観光名所』で行ったお城に比べたらなんてことないない。


私は門の前のインターホンを押す。


『あ、創華ちゃん来たー?』

「はい、来ました。入っていいですか?」

『大丈夫だよ入って入って!』

「それでは、お邪魔します」


私は通話が切れると同時にひとりでに開いた門をくぐり家……屋敷?の中に入る。

中に入るとそこには栞ちゃんが玄関にスタンバイしていて仁王立ちで私を迎えてくれた。


そして私を部屋まで案内する。


栞ちゃんの部屋はなんと言ったらいいか………質素?

いや、家具とかは豪華だから質素はちょっと違うな。

とりあえず必要最低限だけが置かれた飾りっ気の少ない部屋になっていた。

ベッドの上とかぬいぐるみを置いたら可愛い部屋になりそうなのに………ちょっと残念だよね。


「さて、早速だけど何をしようか?」

「あ、決めてなかったんですね。………一応裁縫セットは持ってきてますけど?」

「それで何をするつもりなのさ。っていうかなんでそんなものを持ち歩いてるの?」

「堅護のボタンとかがはじけちゃった時とかにすぐに直してあげられるようにですね」

「本当、創華ちゃんって弟くんのことが好きだよねー」

「どうです? この部屋に飾る人形とか作りませんか?」

「それはまた今度の機会にするよ。前回そのノリで裁縫をやって痛い目見たからね」

「しかしそれでしたら何をやるのです?」

「うーむ…………まぁ、最初はパーティの定番の人生ゲームでもやろっか」

「そうしましょう」



栞ちゃんは一度別の部屋に行って大きなボードゲームを持ってきた。

先の会話の通り人の一生を双六としたゲームだ。

ルールは簡単、真ん中にあるルーレットを回して出た目を進みそこに書いてある動作をする、以上!


「じゃあ先攻は私がもらうね!」


栞ちゃんが思いっきりルーレットを回した。

彼女があまりに力強く回すため上のパーツが少し浮いて外れそうになりながら回っている。


結果、彼女が出したのは2の目だった。

最初は幼少期ゾーンなのでそこまで大したイベントは起きないだろうと私たちは思っていた。


「む、2だね。え〜っと何々………「子供が自分の子供じゃなかった! なぜか訴えられて$5000はらう?」っていきなりハードすぎない!!?」


栞ちゃんが書いてある内容に絶叫する。

私もあれ?人生ゲームってこんなマスあったっけ?と疑問を抱く。


でも私たちも全てのマスを把握しているわけでも無いしいいかとそのまま私の番になった。

私がルーレットを回すとその結果は5。

その数だけコマを進めると次は「英語版を購入したら3日後に日本語版の情報が公開され泣く泣く予約した。$15払う」だった。


………なんじゃこりゃ。

私は初期資産から$15を落として心の中で軽くツッコミを入れた。


「あの、栞ちゃん。この人生ゲームってバージョンは?」

「えぇっと………ちょっと待ってパッケージを確認してみる。…………何々、『人生ゲームー混沌カオス』全てのマスを皆さんからいただいた意見を基に作成しました?」

「誰ですかそんなものを買ってきたのは………」

「ま、まぁもうちょっと続けてみよう。きっといいマスだってあるはずだよ!!」

「そうですかね?」


多少不安だが栞ちゃんの言葉で試合続行。

しかし私の予想通り碌なマスがなかった。


例えば

「膝に矢を受けてしまう$1000払う」

「クリスマス良かったら……「彼氏いるんで」$10払う」

「一人で恋ダンスを踊らされる$1000払う」

「残業から逃げたら恥掻いたけど役に立った$51もらう」


とかこんなのばっかりだ。

これを作った人には速やかに出てきてもらいたいものだ。

っていうか、この家の誰かがこれを買ったことになるんだよね? 誰がこんなもの買ってきたの?


「………そろそろご飯食べよっか」

「あ、私の分もあるのですか?」

「当たり前だよ。ケーキだって用意させたんだからね」

「……クリスマスケーキって当日に行ってそんなにすんなり買えるものなんですか?」

「それはほら、あれだよ。優秀な使用人達がなんとかしてくれてるはずだよ」



人生ゲームを一通り終わらせた私たちは栞ちゃんの提案によって夕食にすることにした。

ちなみに、『人生ゲームー混沌』はプラスマスより圧倒的にマイナスマスが多い上にかなりの額を持っていくから2人ともマイナスで幕を下ろした。


一応勝った。



さて、栞ちゃんの案内で私は食堂に通された。

これがリビングでなく食堂ってところがいかにもお金持ちの家って感じですごいよね。


「わー、鶏肉だー!!」

「七面鳥ですか。定番ではありますが最近では用意しない家庭も多いんですよね」

「さあさあ早速食べようよ!!」

「ん? 他の家族の方達はいいのですか?」

「お父さんとお母さんは家にいないよ。それに、あんまり面識のない人がいても創華ちゃん気を使っちゃうでしょ?」

「そうかもしれませんね。気を使ってくれてありがとうございます」

「じゃあほら、食べよっか! 食後にはケーキも来るからね!!」


すでにそこに並べられている料理の前に座り私たちは食事を始めた。

漣家には使用人もそれなりの数がいるのだが、それらは追加の食事を運んでくる時くらいにしか私たちの前に姿を現さなかった。


そして食事を始めて十分くらいだろうか?

食堂の扉を開いてとある人物がやってきた。


「む、栞はもう食べているのか。じゃあ私も………そ、そう、か様?」

「あ、お邪魔しています」

「お邪魔だなんてとんでもない。し、しばしお待ちを…………はぁ〜ふぅ」


現れた人物は漣 凛。栞ちゃんのお姉ちゃんだった。

一応私も面識がある。というかゲームの中では結構一緒に遊んでいる。

そんな彼女はなぜか一度深呼吸をしてからゆっくりと顔を上げた。


「あ、凛ねえ。一緒に食べる?」

「うむ、そうさせてもらおう。創華様も私が一緒でもいいか?」

「はい、食事は多い方が楽しいですしね」

「そう言ってもらえると助かる」


それにしても、どうして凛さんは私のことを様付けで呼ぶのだろう?

年も向こうの方が上だし、向こうはお嬢様で私は一般人だから逆ならわからなくもないんだけど……


凛さんが席に着くと周りから使用人達が現れ素早く料理を置いてそのまま退出した。

かなり訓練された動きで無駄がなかった。


そこから私たちは楽しく会話をしながら食事を続けていた。

そんな時ーーーーーーー事件は起こった。




食事もそこそこ終わりデザートであるケーキも食べ終わった。

私たちの前にはそれぞれ飲み物の入れられたコップくらいしか残っていなかった。

そのまま私たちは談笑を続けていたのだが、その途中、凛さんが離席した。

私はそれを特に気に止めることもなく栞ちゃんと2人で会話を続けていたのだ………






…………ここで記憶は途絶えている。


私が次に目を覚ました時、私は布団の中で凛さんと抱き合っていた。

そして私がそのことに驚き身じろぎすると腕の中の凛さんが寝言を呟く。

「ぅん………創華、様ぁ………しゅ、ご、ぃ……」


ふぁっ!!? 私はいったい何をやったの!!?

というか何があったの!?




◇12月25日 午後7時26分


時は少し前に遡る。

凛は席を立った。


彼女のコップには他の二者とは違い酒が入っていた。そのため少し催してしまいトイレに行こうとしたのだ。

飲んでいたのは菊理姫という日本酒だった。

これは凛のお気に入りのお酒であり創華と一緒だからと新しく開けてきたものだった。


そして創華は栞と話をしながらそちらに見向きもしないで手を伸ばし気配だけでコップを掴み上げて口に運んだ。

もうわかりだろう。


創華は間違えて凛のコップに入った酒を間違えて飲んだのだ。


そして運の悪いことに創華はお酒に強くはなかった。

コップの中に入ってるものをお茶だと勘違いしてグイグイと飲み干す創華。

それほど強くない彼女はすぐに酔っ払ってしまう。

対面にいた栞はすぐにこのことに気がついた。

そして創華の頬を軽くペチペチと叩く。


栞は創華の自我が薄れていることを確認した。

そして酔った創華は開放的になる。

………セクシャルな意味ではなく、バイオレンスな意味で。


創華は暴れ出した。


それを必死に止めようと栞がタックルをかますが、

「あはは〜、しろりちゃん、ふらふら〜」

酔っ払っていても創華は創華、栞に相手ができるはずがない。


しかしそこに救世主が1人現れる。


「ただいま戻った……ってどうした!?」

凛の帰還だ。

凛ならば創華を止められると判断した栞は即座に要求だけを伝える。


「凛ねえ! 創華ちゃんを気絶させて!!」

「え? 私が創華様を? でも今は弓も矢もないぞ?」

「大丈夫、今なら素手でもいけるから!」

「やってみはするが期待しないでくれよ?」


凛も創華の様子がおかしいことは一目見てわかっていた。

だから憧れの相手ではあるが仕方なしに攻撃を仕掛けた。


創華は襲いかかってくる凛に対して抵抗を見せたが意志力の低い彼女の技はもはや帝級にまで落ち込んでいた。

しかも剣も持っていない。


その為なんとか凛でも抑え込むことができた。

凛は創華の意識を奪いそれからどうしてこうなったのかを栞に問いかけた。


「あ〜、どうにも創華ちゃん間違って凛ねえのコップに入ってたお酒飲んじゃったみたいでさ」

「創華様が私のお酒を……?」

「怒らないであげてね。間違えちゃっただけだからさ」

「創華様が私のお酒を……私のコップを……私の使ったコップを………」

「あれ? 凛ねえ?」

「私の使ったコップ……こ、これは、創華様からの間接きっs……ぐはぁ!!」


凛はそれ以上耐えられなくなりオーバーヒートを起こした後気絶した。

別に創華が凛の口をつけているところに口をつけたとは限らないのだが、そんな都合の悪い可能性は考慮しないものとしたらしい。


その食堂で動けるのはもはや栞しかいなかった。


「はぁ、このバカ2人は………仕方ない。私が運んであげますか」


使用人に運ばせるという手もあったが気が乗らなかったので栞本人が運ぶことにした。

彼女はまずばかな姉のことは放っておいてばかな友人を運んでやることにした。

運ぶ先は1番近い部屋だ。


女子の力ではそこまで長距離運べないので栞は最寄りの寝室まで創華をおぶって運びベッドの上に転がした。

この部屋は普段は使われていないが使用人たちが綺麗に掃除してくれているので埃などはたまっていなかった。


そして栞は再び食堂に戻り今度は倒れている姉を運んだ。

その時、彼女は面倒だったので友人と姉を一緒のベッドに寝かせたのだった。

そして部屋の電気を消して気絶したまま動かない2人に対して「おやすみ〜」と声をかけて去っていった。

















先に目を覚ましたのは凛の方だった。

彼女は自分が意識を失う直前までの記憶が欠落しており、なぜここで寝ていたのかが理解できていなかった。

ただ、漠然とお酒を飲んでいたという記憶だけは残っていたので、おおかた酔っ払ったのだろうと推測を立てていた。


そして起き上がろうとベッドの上に手をついた…………つもりであったが何やら思ったよりその感触が柔らかくそして生温かいことに気づく。

それは布団の中に綺麗に収まっておりこの状態では正体を見ることができなかった。


凛は恐る恐る布団を剥がす。




するとそこにはすぅすぅと寝息を立てる創華の姿が………


「なぁっ!!? そ、創華様!!? どうして私は創華様と一緒に寝て……か、体が汗ばんでいるし服も乱れている、ということはこれはもしや朝チュンというやつではーーー」

ちなみに、現在PM10:30である。外はまだ暗いままでスズメの鳴き声なんてものは聞こえてこない。


だが混乱している凛にはそんな冷静な思考はできない。

ただただどうしていいかわからずに辺りをキョロキョロ見回すだけだった。


「くまさん……」

そんな時、創華の手が凛に伸びた。

凛は抵抗する間もなくその手に掴み取られて抱き寄せられてしまう。


「そ、創華様!? そんな大胆な……」

「えへへ〜くましゃんあったか〜い」

「く、くまさん!!?」


創華は眠る際に大きなぬいぐるみを抱いて寝る習性がある。

それゆえ彼女は先ほどまで腕の中にいた凛が離れてしまったので捕まえるように動いたのだ。


凛は創華と抱き合う形になる。

凛の理性はこの時点で吹き飛ぶ寸前だった。


(そ、創華様がこんなに近くに、そして私を求めている。だ、第二ラウンドに入るのか!? )


凛の顔が真っ赤になる。

また先ほどと同じように気絶しそうになったが、この場を逃すわけにはいかないと凛は精神力を高めて必死に耐えた。


だがそこに

「えへへ……くましゃんだ〜い好き」

と言いながら頬ずりしてくる創華。

「ぐはっ!!」

凛の抵抗は虚しくも寝ぼけた創華の前に砕け散ったのだった。















そして明るくなってから創華が目覚める。

創華は自分と抱き合ってる凛を見て動揺したのだった。


回想終了





私が目を覚ますとそこには美女がいて私と抱き合ってましたとさ。

おしまい。


では済まされないよねこれ?

なんか凛さんが私が何かをやったみたいな寝言を言ってるんだけど!?

夢の中のことであってくれ。私が寝ぼけて何かやったわけではないと信じさせてくれ。


私はそう念じながら凛さんに回している自分の腕を引き戻して起き上がった。


そこにタイミングを見計らったかのように栞ちゃんが入ってくる。


「おっはよー、起きてるー?」

「し、栞ちゃん、こ、これどういうことですか!?」

「あぁ、昨日2人ともぶっ倒れたからさ、運んどいたよ」

「それだけですか!?」

「うん、私が知っているのはそれだけ。そこから先に何かあったかもしれないけどそれは知らない」

「ぅぅ……創華様、熱い、抱擁……そして、キス……」


ちょっと!? なんか不穏な単語が聞こえてきたんですが!?

私まさか凛さんとキスしたんですか!!?

嘘ですよね? 誰か嘘だと言ってください!!


「えっと、栞ちゃん。凛さんってよく夢の中のことを寝言で言っちゃうタイプの人ですよね?」

「いいや? 凛ねえが寝言で言うことは大体眠る前に考えていたことくらいだよ」



サーっと血の気が引く音がする。

心の安寧を得ようとしてした質問がまさかの自分の過ちから目を背けさせないものになるなんて……


「っていうか凛ねえがすんごい幸せそうな顔してるんだけど、何かあった?」


そしてその質問が来た。

ストレートパンチだ。これはもう誤魔化しようがない。


「………私は、あなたのお姉ちゃんに手を出してしまったのかもしれません」

「え?」

「私が目を覚ましたら凛さんと抱き合っていました。………そしてこの寝言、きっと何かあったのでしょう。ちょっと汗ばんでますし……これはどうお詫びしたらいいのか……」

「えっと、創華ちゃん?」

「栞ちゃん、凛さんは私を許してくれるでしょうか?」

「ちょっと落ち着こうか。何創華ちゃん、もしかして凛ねえに手を出したの? そういう趣味でもあったの?」

「いいえ、私はノーマルのはずです。決して女性を愛する人間ではないはずなのです」

「へぇ、その割には彼氏できないよね?」

「うぐっ、言わないでくださいよ」

「結構告白されたって話聞くけど全部ふっているみたいだね」

「そうですが……」

「あれはてっきり創華ちゃんがそういう趣味だからだと思ってたんだけど、違ったの?」

「違いますよ!! ちょっと私の理想とは違ったからお断りしただけです!!」

「へぇ〜サッカー部のイケメン主将が満たせない理想って、創華ちゃんの理想は高すぎるんじゃないの?」

「そんなことありません!」

「じゃあどんな人ならオッケーなの?」

「それは………誠実で、私より強くて守ってくれそうな人ですか?」

「はい、2つ目が無理だね。創華ちゃんより強い人ってどこを探せば見つかるの?」

「きっといますよ〜。私はそこを満たしていればその他は気にしません!!」

「へぇ〜…………性別も?」

「え?」

「ところでさ、創華ちゃん。今凛ねえとの戦績、何勝何敗?」

「えぇっと、現時点では………1勝………3は、い?」

「っていうことはさ、凛ねえは創華ちゃんより強いんじゃないの?」

「せ、戦績だけ見ればそうなりますね」

「でさ、凛ねえ、妹の私がいうのもなんだけど結構誠実だよ?」

「はい?」

「だからさ、誠実で創華ちゃんより強い人、それが凛ねえ……どう?」



私はそう言われて未だベッドの上で寝言を言いながら眠っている凛さんを見る。

この人は……私より強くて…誠実で……


私は自分の顔が少しだけ赤くなるのを感じた。


そして首をブンブンと横に振って頭の中に出てきた「この人でもいいかな?」という考えを振り払う。

私はベッドから飛び出て身だしなみを整えた。


「ち、」

「ち?」


「違うからーーーーーーーーーーーー!!!」


私は漣家を飛び出した。









そして後日。


私は凛さんを全力を以って叩き斬り戦績を3勝3敗のイーブンにすることでざわつき続けていた気持ちを落ち着かせることにした。

そして一言、


「私はノーマルだからね!!」


刺客の世界の土へと消える凛さんを前に私はそう宣言した。

彼女はなんのことかわからないと言った顔をしながら街の中で生き返った。



番外編のため感想への返信はなしです。


ですが一言、直接メッセージをくれた方に感謝の言葉は送っておきたいと思います。

ありがとうございました。



ちなみに、その方によりますとクリスマスイブとクリスマスはもともと同じ日だったみたいですよ。

なんでも、日付の変わり方が今とは違い夜は次の日だったとかなんとか……。勉強になりますね。


次回、本編はちょっと残念なことをするメーフラさんのお話でお送りします。



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