勇者召喚2
魔道士は強制的に眠りにつかせた聖女をを背負い目的の場所祭壇まで歩いて行った。
祭壇の間を開け魔道士は眠らせた巫女を長椅子に寝かした。魔道士はフゥとため息をつく。
すると祭壇の間が開け放たれた、1人の武人が現れた。
武人は辺りを見渡すと、長椅子に寝かせられている巫女を見据え、しばし見たあと、興味が逸れたのか、魔道士に視線を向け魔道士に近づいていった。
「リュカ、そいつに変な感情移入でもしたんじゃねぇだろうな?普通だったら、祭壇の中央に描かれている、魔法陣の上に置くだろ?しかもまだ、奴隷具付けてないとか、やはりテメェは甘いな!どけっ!俺が後を引き継ぐ!」
魔道士…リュカは武人の巨漢が巫女に触れるや否や魔法を発言させ行為を止める。
「リュカ!テメェッ、俺の邪魔をするのかッ!」
リュカは武人を見据えて、淡々と述べる。
「巫女の儀式が終わるまでの担当は私に委任されている。たとえ仲間であろうと勝手な手出しはさせない。
たとえ誰がなんと言おうと…これは、私が賜った仕事だから。」
「ケッ!冷めちまったぜ、まぁお前よりは俺様の方が上手くやれると思って手を貸そうとしたが、返って邪魔しちまったな。まぁくれぐれも、そいつに感化されるんじゃねぇぞ…じゃあな!」
それを後に巨漢の武人は儀式の間を後にした。
儀式の間には王家に連なる者達が一同に介していた。そして国王は宣言する。
『これより、異界よりこの世界の救世主になる者達を呼び出す!彼等はこの地の脆弱な勇者よりも、類稀な力を有し顕現する!それを手にして魔王を討つ!…それでは儀式を執り行う!」
国王の宣言により、国王の腹心ナスカの合図の元儀式が始まった。
その数分後、奴隷具を付けられた巫女が祭壇に描かれた魔法陣の中央に向け歩き出す。私は見ていた、巫女の感情がひしひしと伝わってきた。
憎悪と後悔と生への執着
だった。
巫女は奴隷具により、身体の自由が奪われナチスの命令に身体は従って動いているが、その表情は憎悪に燃えていた。そして巫女の最期が訪れる。
巫女は自身を贄にし半ば意識が朦朧とする中、何かを呟いていた。私には聞こえた、どうしようもないこの世界に対しての救済の言葉だった。
「わ…たし、の意思を…引き継ぐ者が現れん…」
巫女はかすれかすれ言い終えると息を引き取った。
私以外にも彼女…巫女が最後に何か言ったのではと疑念を浮かべら者が現れ、代表してナチスが私に問うてきた。
「リュカよ、先の儀式の終盤に其奴が何か喋ったのを聞いたか?口が無駄に動いているように見えたのでな?どうなんだね」
「いえ、私自身も儀式の神聖さに見惚れてしまってたため、気づきませんでした。申し訳ありません。」
「そうですか…仮にもし、嘘だと分かれば、貴女のご家族がどうなるかは分かりますよね?」
「ッ」
するとリュカとナチスの間に割って入ったのは先の巨漢だった。かなり、頭に血が上っている印象だった。
「テメェッ!リュカに責任転換してんじゃねぇぞ!俺たちだって気づいていない事象を伺うだけならまだしも、こいつの家族に手をかけると脅すのはお門違いだッ!」
「五月蝿い塵ですね。」
切り裂き《ペインスラッシュ》
「ぐっ…チッ!テメェッ!マテェッ!!リュカに謝れッ!」
「そうそう、後数分で勇者が顕現します、血の処理は頼みますね。それと、リュカ今回の件は目を瞑ることにしました、其方の大男が五月蝿いので不問です。良かったですね!」
「ギル大丈夫!すぐに治すから!!」
するとギルは小声で私に問うてきた。
「チッ、テメェは良いのかよ、あんな奴にいいようにされてよ、テメェは家族の安全さえ確保できればこんなゴミ屑みたいな所から足洗えるだろって毎回言ってるだろ!その手助けは俺がしてやると何度も行っているだろ!!」
リュカは首を左右に振った。
「私はね、多分ロクな死に方はしないそれは分かるの、だからいいの、家族に関してはギルの手を借りたいところだけど、私でなんとかしたい…それが私の使命なの。もし私に何かあったらその時は家族をお願い…じゃ治すね。」
「チッ、わかった、俺様は、この命に代えてでも、お前の家族お前を守ってみせる!お前も、簡単に死ぬんじゃねぇぞ!」
私は、無言で頷く。
ギルが治った頃合いで巫女とその血痕を片付けた私たちは王に呼ばれるまで別の部屋で待機した。
次で勇者召喚は終わります!いよいよ主人公サイドです!