過去を覗くもの
今回は少し長くなっています。
視点がコロコロ変わるので気をつけてください。
あの返事以降、シュラーゲン将軍とシーレム卿はなにかと用事でこの屋敷を居ない時が多くなった。
いつもなにかと世話になっているメイドの女性はせっせと雑務をこなし合間に会話するぐらいだ。
そして1週間ほどだった昼下がり、いつものように、メイドの女性に介助してもらいながら食事をしてた。
ーーバタンッ
はぁはぁと息を切らし入ってきたのは、シュラーゲン将軍ぽい人だった。
するとメイドが息を荒げてる女性魔族の前に行き両裾を持ちお辞儀した。
「4魔将が一人ラーザ様本日は何用で参られたのでしょうか?」
ラーザという魔将軍は背丈はシュラーゲン将軍より若干低く、違うとすればシュラーゲン将軍は厳格かつきつい印象だが、ラーザ将軍は底抜けに明るい印象が持てた。
ーーぽん
ラーザ将軍はメイドの問質に手を叩き深呼吸をしてから答えた。
「人間!!あんたの名前この私に教えなさい!そして光栄に思いなさいこの私に覚えてもらえるのよ感謝なさい!」
ラーザは無い胸を張り上げ威張っていた。
メイドは呆れた表情をしていた。
「ラーザ様あなたは、いつも変わられ無いですね。そこがいいのですが、常にはやめて頂きたいと思います。彼の名前ですね暫しお待ちくださいね。」
そう言ってメイドは俺の近くまで来て名前を教えて欲しいと告げられたので俺は途切れ途切れになりながらもメイドに伝えた。
メイドはまた、ザーラの前に戻り俺の名前を教えた。
伝えた瞬間、ザーラは一瞬驚きを見せたがすぐに落ち着きを取り戻しこちらに視線を向けてきた。
「あなた・ユーリス・ブレイバーって言うのね!かっこいい名前じゃない!…要件は、あんたの名前を教えてもらうために来ただけだから、これで失礼するわ〜 じゃ」
そう言ってそそくさとザーラ将軍は部屋を出て行った。
ーー退室したラーザ将軍を見送った俺はふと疑問に思ったことを、隣に鎮座するメイドに聞いた。
「ラーザ…将軍…は…魔眼…も…ち?」
「ーー流石です…ユーリスさんご明察通り!ラーザ将軍の保有する魔眼は他者の記憶を共有するものと断片的に我が主人シーレム卿から教えてもらいました。
それと彼女ザーラ将軍はとても評判はいいのですが、あのように主人に許可なく度々訪れては暴走され私たちメイド達からしたら非常に迷惑な将軍という認識なのです…。まぁこんな愚痴を言われても困りますよねッ…ザーラ将軍は気さくで明るく誰に対してもあのような態度なのであながち仲良くなれますよ!!」
メイドの女性は笑顔で俺の問質に答えてくれた。
そして愚痴も添えて。
メイドは一通り言い終え、下で用事があると言うことなので俺の隣から立ち上がりざまにメイドは俺に対し正対し自己紹介をした。
「ーー申し遅れてごめんなさい。かれこれ貴方様ユーリス様が目覚めてから1週間ちょっと身辺周り等のお世話をさせていただいてます。シーレム卿邸宅専属メイドが1人ニータ・アスタリスクと申します、以後は名前の方で読んで頂けると嬉しいです…では。」
ニータと名乗ったメイドは早口でまくしたてるよう自己紹介をし終えると顔を少し赤らめそそくさと部屋から出て行った。
ーーシーレム卿邸からひとり小柄な少女が勢いよく飛び出してきた。道行く人々はいきなり、領主宅から飛び出してきた少女に驚きを隠せなかったが、それ以上に少女の顔色を見た人々はその恐怖のあまり逃げる者その場で気絶する者そして失禁するもの…邸宅の前では地獄が広まっていた…そう、少女否ザーラの表情は激情とそして殺気を孕んでいた。そしてその光景を見ていたメイド達はまたかー!と言わんばかりにその対処に追われるのだった。勿論ニータも他のメイドに混じり対処に向かった。
メイド達はラーザ将軍が邸宅周辺から姿が消えた頃合いで、邸宅前の事故現場に赴き、該当住民の救助清掃に取り掛かるメイド達だった。その瞳には呆れ半分怒りの炎が灯っていた
メイド達が邸宅周辺を総動員して救助清掃に取り掛かっているその頃ザーラはシーレム卿シュラーゲン将軍と対峙していた。
「止まれと言っているんだけど?もう一度だけ言うわ、止まりなさい、2人とも。」
ザーラは2人に止まるよう言うが、2人はそそくさとそれに従わず行こうとするためザーラは力尽くで2人を近くの喫茶店へと連れ込んだ。
「何故…ナゼあたしの制止を無視する…今回は話があるから止めたのだぞ…」
「我輩達は其方の相手をしている程暇ではないのだよ!いつもいつも、此奴の家に行ってはメイドに迷惑かけてるのは知っておるのだよ!もう少しは4魔将軍としての自覚を持ってもらいたいものだ…先輩にこう言うのは我輩も嫌なのだから。」
ザーラの言い分を断固として突っぱね説教するシュラーゲン
「シュラーゲンやめなさい、あまり行儀がよくないですよ、してこのような場所に連れてくるということは何かあるということだね。いつもの君ならこういった落ち着きがある所を選ばないはずだからね。」
シーレムは言い足りなさそうなシュラーゲンを諌め本命であるザーラに今回の要件を聞くのだった。
「お前の邸宅に今日行ったんだけど、するとだ人族の男とお前んとこのメイドが仲睦まじく談笑してたから介入してやったのさ。」
「キッサマァァァ!またしても、不法侵入したのかァ?」
ーーバシーン
「シュラーゲン君の言いたいことは分かるが、場所を弁えろ…ザーラ君は魔眼持ちだったね何か見たのかい?その時に」
「あぁ見たよ、あの人族がスゲェだということがだ、それでだあの人族が現状がひでぇ事も分かった…」
「ーーてっめぇえええ、クダル様のモノマネを我輩の前でするなぁぁぁっ、ふっつうにいぇぇぇぇっ!!」
ぷぷぷと吹き出すザーラ、しかしその目だけは笑ってなかった
「あはは、やっぱシュラーゲンをからかうのはやめられないわっ!そんで、少し黙ってて貰えると嬉しいは。」
シュラーゲンは再度噛み付こうとザーラの方を向くザーラを見たシュラーゲンは冷や汗をこれでもかとかきそして一瞬で沈黙してしまった。
その光景をシーレムは淡々と見ていた。
「シュラーゲン…君は、いい性格の持ち主だがザーラ相手だといつもしてやられるね、少しずつ成長しているけど。…してザーラ何を見たか詳しく教えてほしい、今しがた大魔王様の側近クダル様と人族の件で話し合ってきたところだが?彼には魔素毒が蝕んでいたであろう、盛ったやつを見たのか?」
「ーみたわ、彼には言わない方がいいかもしれないわ、彼のお仲間さんが気がつかない程度に盛っていたわ〜毒に関しては大方国が絡んでるじゃないのかなあって思うわ〜なんせ、あの人族を転移させる時に魔法陣に混ぜてた…つまり尋常じゃない量を…死んでもおかしくない量を飛ばされる時に浴びたというのが結論なんだけども…」
それを聞いたシーレムはにこやかな顔から一瞬で怒気を孕み殺気を纏わんばかりの雰囲気を纏った。
シュラーゲンはシーレムのこの変わりようを始めてみることになり更に怖気付いてしまった。
ザーラはシュラーゲンのアタフタ具合を見てから再度シーレムへと正対した。
「成る程成る程、毒の件は明るみに出たというわけですね、では、何故彼は毒を盛られなければならなかったのか君は記憶を辿ってそこらへんも見たんじゃないかな?」
「ー彼…すなわち勇者君は勇者となったその日から毒を盛られ続けていた。何故盛られたかっていうと、彼はなった勇者としての素質いわゆる頂上の力が無かった。それ故に盛られた…彼には非はないむしろ盛られ続け弱体化が見られなかった何故…彼は弱くなっていく自分を咎め励ましてひたすら鍛錬をした…分かるかな?わたしの言ってること?」
シーレムとシュラーゲンはこの話を聞き呆気に囚われていた。何故かそれは魔素毒の進行弱体化よりも上回る力をつけてたということだ。
そして、彼を陥れた人族に同時に怒りそして殺意が湧いたのはいうまでもなかった。
ザーラはそんな2人を見つつ口を開く。
「にゃはは、勇者君はすごいだろ〜でも、転送時に毒を多量に摂取したことが原因で力技での復帰は厳しいかもね。」
「成る程成る程、つまりは、転移前の時点では毒が蓄積されこれに関しては、微量ずつだったため進行に対しての力技復帰で対処できたが、今回の症状は、毒に対しての免疫を少し持っていたために過剰摂取した際には症状が遅れてきたのだな成る程成る程理解した…これで、彼の復讐計画に拍車がかかる。」
シーレムはふむふむと納得するよう頷くのだった。
それを見たザーラはこれ見よがしに威張るのだった
「わったしにかかればこんなもんよ〜」
えっへんと少なめの胸を張るザーラだった。
ーーゴホン
「話は変わるが、ザーラ今からいうことは警告だからきもに命じて置くようにいいね。あまりここの住人メイド達に迷惑をかけないようにね。今回は、君の手柄で仕事が進んだから注意だけにして置くよ…以後僕の家に来たい場合は僕が家にいるときだけだ、いいね。」
少しばかりの圧を言葉に纏わせザーラに対して警告するシーレムだった。
「わ…わかったわよ…やればいいんでしょ!」
翌日ーー
ザーラ邸宅にはシーレム邸からの請求書が届いていた。
中身を確認するザーラ恐る恐る半分折の紙を開ける…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
請求書
1000,0000,000ゴルド
(ゴルド=円)
以下期日までに支払うように。
迷惑料+清掃費+人件費+治療費+修繕費
5年以内に本件のザーラ氏は支払いの際必ずシーレム卿に直接手渡すこと。
必ず出向く際は連絡を取り付けてからとする、 しない場合は迷惑料をその場で徴収いたします。
100000ゴルド
本件の徴収日程は、月終わりまでとする。
また、期日を超えた場合は将軍職の解雇を命ずる。
大魔王印
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ザーラは請求書を静かにたたむのだった。
そして阿鼻叫喚のごとく屋敷外にも聞こえる叫び声を轟かせたのだった。
よかったやここが悪い等ありましたら気軽に書いてください!
良い作品になるよう頑張って書いていきます!