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提案


うつむきながら考え事をしていた男の子が私の顔を見上げた。


「おねーさんは一般人の、どっから来た人?」

「いや、分かんない。あ、ごめんね。からかってるわけじゃ無いんだよ?ただ…風景は…家?は思い出せ…ない。」


家が、思い出せない。どこにあったのかは勿論、どんな形だったかすら。友達がよく遊びに来たはずなのに。友達は思い出せる、周りの家具も分かる。家は?


「おねーさん、き…きょ?きとく?せ…?と、とーう、失う…とーしつ?」

ウンウンと悩みながら何か言ってきた。いや、まぁなんとなく分かるよ。言わんとすることは。


「記憶喪失って言いたいのかな?」

「えーっと…分かってたことが分からなくなるやつだよ。知ってたことを忘れちゃう?だったかな。」

「あぁ、うん。記憶喪失だね。」

「へぇー!物知りだね!おねーさん。」

「あはは。ありがと。まぁ受験生だしね。でも、自分のことが分からないのに物知りって言われても、全然ピンとこないけどね。」


苦笑いしか出ない。本当にわからない。これからどうしよう。どうしようもない。名前と歳が分かるから、もしかしたらなんとかなるかも。


「そっか、きおくそーしつか。これからどうするのかな?」

「え、と…警察に行って寝床確保して、あわよくば私が住んでたとこに連れてってもらおうかな?みたいな感じかな。」


笑顔ながらに真剣な面持ちだったが、男の子の顔がパッと明るくなった。閃いた!とでも言わんばかりだ。


「ねぇねぇ、相手にされないと思うよ。僕のとこきなよ。僕の部屋。警察に変な人って思われて道路とかで、死んじゃうよりはいいと思うよ。」

「あ…そういうものかな。え、相手にされないかなぁ…。えぇぇ…。」


この子の家に転がり込むのはないとしても、相手にされなかったら。確かに、信じがたい事だもんねぇ…。うーん…。どうしようかなー。


こういう時に学生証持ち歩けばよかったなー。って後悔するよね。サブバに入ってるよー、バッカだなー。


バタン、と車のドアが閉まるような音が聞こえた。


「あれぇ、はやいなー。」


男の子の視線が僅かに冷め、私の目を見ながらも、私ではないものを見ている目に変わった。

可愛い男の子だけど、頭が弱いみたい。

…家が思い出せない私に言われたくないか!

頭の弱いとこと最後の冷たい目は…ギャップ?あんまり萌えないかな…。


by主人公

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