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バッドエンドの転生者  作者: 避雷心
序章Ⅲ.v
78/114

長女クリスティーナ05

 強化魔法の適性が強く出たクリスティーナ。


 そして、魔術型であるため、適性はこれで終わりでは無く、他にもある筈である。

 さらに適性を調べていき、次に分かったのは同じ強化系統、治癒魔法。


 こちらは怪我していない限り、自己申告な為、クリスティーナが発動したと感じた為、適性が分かった。

 本当は、その実力を図るためにユークラウドが指を軽く切ろうとしたのだが、慌てたクリスティーナに止められたため、それは見送りとなった。

 同じ治癒魔法でも、自己を治癒するのとと人を治癒では勝手が違うので、この機会は次にとっておくこととなる。


 クリスティーナ曰く、強化魔法程の魔力を感じなかったらしい為、こちらはそこまでと言った形かも知れない。

 ユークラウドの場合は、魔力門が小さ過ぎて、そう言った些細な違いを感じられなかったので、エリアナに教えてもらった事を妹を通して実感するのであった。


 強化魔法が一通り終わり、休憩を挟んだ後、治癒、召喚と続けたが、そこで当たりは出なかった。

 そんな中、次にヒットしたのは、構築系統、結界魔法。


 詠唱を終えた彼女の手のひらに両手に収まるぐらいの少し大きな箱のような透明な立方体が現れる。

 これで、結界魔法の適性もクリスティーナにあることが分かった。


「やりました!」


 直前に自分のために貼った兄の結界を見ていたクリスティーナは、兄と同じ適性に喜びの姿を見せた。

 例え、兄の適性が多いため、何かしらは被るとは分かっていても、嬉しいものは嬉しい。

 こういうのは、気持ちが大事なのだ。


「少しだけ借りるね」


 そんな妹に水を差すようで悪いと思いつつも、ユークラウドだったが、妹の魔法のできを図るために貼った結界に向けてデコピンを放つが、びくともしない。

 次に中指でノックを鳴らすようにコンコンと、結界を叩き、厚みを確かめるが、帰ってきた音からするにこれもなかなかである。


 サイコロより小さく、デコピンで一発で割れたユークラウドの結界とは大違いだ。

 結果として、こちらも強化魔法と同じでなかなか強力な魔法であることが分かった。


 検証が終わり、妹が可能性を秘めた原石であることに兄として誇らしい気持ちで一杯になったユークラウドに、凄い凄いと褒められ、わしゃわしゃと撫で回され、二人一緒になってキャッキャと喜ぶ。

 たった今、妹を褒めて伸ばす方針決めたらしい、親馬鹿ならぬ兄馬鹿のユークラウド。

 基本的に家の方針がそうであるため、あの親あって、この子ありである。


 そんなこんなで構築系統は全て終わった為、状態魔法の適性の検査は終わった。

 強化、治癒、結界と、何も上々の結果だろう。


 だが、まだ、属性魔法が八種類残っている。

 敢えて避けていたそれらを一つ一つ調べていく。


 最初四属性が終わった時、少しだけ残念そうな表情をしていたクリスティーナだったが、適性がある程度分かった今、何処かワクワクとした様子を見せていた。

 どうやら、属性魔法を後回しにした事は正解だったようだ。

 それにここにも当てがあるユークラウドは、あまり心配していない。


 敢えて、雷魔法を避け、一つ一つ適性を調べていくように誘導するユークラウド。

 彼は妹に雷魔法の適性があると予想しているのだ。

 以前、自分の銀の髪のことをエリアナに相談した時、彼女から、聞いたある話を聞いたことがあったからである。


 基本的には、魔力と髪の色には因果関係がないと言われているが、その身に強い属性の魔力を宿している時のみ特定の鮮やかな色の体毛を持って産まれるのでは、という説があると。

 火属性なら赤、水属性なら青、風属性なら緑、土属性なら茶色と言った感じで、それぞれ鮮やかな毛色となるらしい。


 ユークラウドの銀髪もこれが関係しているのでは無いかと。

 そして、兄に似たのかどうかは分からないが、クリスティーナは兄とは正反対の鮮やかなブロンドの髪である。

 金髪は雷属性が該当するらしく、もし、この説が本当なら、雷属性の適性がある可能性が高いと言えるだろう。


 属性の適性を調べる作業が残り八つ中七つ終了した。

 どうやら、クリスティーナは、属性魔法の適性の方には、あまり恵まれなかったらしい。


 属性の適性がなくて、期待していただけに落ち込むクリスティーナと、雷の適性があると予想し、多重属性の辛さを知っている為にユークラウドの反応は対照的である。

 そして、いよいよ二人は、最後の一つ、雷属性の詠唱を始めた。


 祈るように兄に続けて詠唱を唱えるクリスティーナだったが、数節唱えた所で、手応えを感じ、どこか喜びを隠せない様子である。

 ユークラウドも、予想が当たったこと、最後でサプライズとなったことで、内心嬉しく思っていた。


 それぞれがそれぞれの理由で、二人には気の緩みがあった。

 そして、そこに重なるのはユークラウドの計算違い。

 妹の才能は、強化魔法や結界魔法だけで収まる程度のものじゃ無かったのだ。


 規模的には指と指の間に雷を通す程度の魔法。

 ユークラウドが使えば、せいぜい二つの指の間で静電気程度の雷がおこるぐらいである。


 だが、クリスティーナが完成させたその雷の魔法は、指の間で落雷を起こした。

 瞬間、余波で、ユークラウドが張った筈の結界の中が光で満たされ、割れ、部屋の中で音がこだまする。


 魔力の高さはそのまま同属性に対しての抵抗力を持つという特性を持つ為、幸い怪我等は無かったものの、閃光弾のようなその一撃に思わず目を回してしまったクリスティーナ。

 倒れこもうとしたその肩を支えたのは、他でも無いユークラウドである。


 魔法は予想外の規模だったが、少しの心構えがあったため、結果として早く動けた形だ。

 そのまま、身体を支えたまま、ゆっくりと二人で地べたへと腰を付ける。


「大丈夫?」


 少し耳鳴りがする様子のクリスティーナは、ユークラウドがなんて言ったのかは聞き取れなかっだようだが、思いは伝わったようで、大丈夫ですと返した。

 ユークラウドは、自身のサプライズが悪い方向に向かったせいで、申し訳なさそうに謝っていたが、クリスティーナは、兄に身を委ねることが出来て幸せそうである。


 そのまま、魔法のことなど忘れ、兄に身を委ねる幸福を享受するために、クリスティーナはずっと立てない振りを続けるのであった。

クリスティーナ

魔術型


属性魔法適正

「雷」


状態魔法適正

強化系列「強化」

強化系列「治癒」

付与系列「付与」


強い魔力を持って産まれたため、一般の人たちより成長が早い

また、雷属性の適性が異様に高く、その将来が期待される

重度のブラコンを患っている

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