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バッドエンドの転生者  作者: 避雷心
序章Ⅰ.v
6/114

神獣と厄災01

前話修正しました。

あと、またどこかで説明するので話半分にどうぞ


『さてさて、一応、初めましてになるのかな……?それを僕が君に言うのは何か変かも知れないけど……』

『………………………………』


『うーん、誰って?強いて言うなら、厄災とでも思ってくれて構わないよ?特にあれとの差はないし』

『………………………………』


『そうだねぇ、それじゃあ、魔法についてとか、どうよ?』

『………………………………』


 特に意味のない会話だった。

 相手が返事をするわけでも無く、ましてや、記憶に残るわけでもない。

 本当に何の意味もない会話だ。


 それでも、その会話をするのは、少し楽しかったんだ。

 これが彼女との初めての邂逅だったから。

 まぁ、直ぐにそんなものは終わってしまったのだけれど。


 これから、僕は、弟子を探すのだろう。

 問題は僕が動き回る事で、時を早める事にならないかという事だ。

 弟子というのは単なる保険だし、できる事ならその弟子が活躍しない事を、僕は願おう。


 

 



 1724年3月3日。


 

 

 この世界には、8体の神獣がいる。

 いずれも、人の姿こそをしているが、それでも、その8体が絶大な力を持つ、人間とは違う何かだと言うのは一目で分かる。


 8体の神獣は、8の大国で祀らおり、その国の象徴でもあり、頂点でもある。

 彼ら彼女らは争いを嫌い、力を均衡させ、和平を唱える事で、世界は安定と平和を約束されていた。


 そんな神獣達は、半年に一度、彼らは一同に介することを義務付けており、ちょうど、その日は、その集会の日に当たる。


「それで? ノーティのいう事は間違いないってのか?」


 エングルド連合国

 爆炎を司る神獣、ケルベロス。


「予言の巫女があそこまで念入りに言うのじゃから、疑っていると痛い目を見る羽目になるのは間違いないのぅ」


 クルセルム帝国

 風と結界を司る神獣、グリフォン。


「ですが、わたくし達に警戒を促す程の厄災となると、ほとほと信じられませんわね」


 ランバルディア王国

 雷を司る神獣、ドラゴン 。


「なんじゃ、余のいう事に、いちゃもんをつけるのか?」

「別に、貴女の事なんか、眼中にありませんわ?」

「ほーぅ、目の前にいるのに見えないとは、ドラゴンはよっぽど目が悪いんじゃの」

「そういう意味じゃ、ありませんわ!」

「だー! うっせぇな、テメェら!喚くんじゃねぇ!」

「喧嘩する程、仲が良いのは分かりますが、今は議題について注目してほしいですね」


 学園国家エグゼルク

 治癒の炎を司る神獣フェニックス。


「そうどすぇ、いちゃつくのなら、外でやってくんなんし」


 夜真国

 氷を司る神獣狐。


「そぉーそぉ、めんどくさいからぁ、早く終わって欲しいのぉ」


 ニライカナイ共和国

 水を司る神獣マーメイド。


「「いちゃついてなどおらん(ないですわ)!!」」

「はいはい、分かりましたから、冷静にお願いします」

「全く、少しは自制しておくんなまし」

「ほんとなのぉ、ちゃんとやるのぉ、めんどくさいのぉ、かえりたいのぉ」

「こちらもこちらで、ちゃんとしてほしいのですが」

「ほら、背筋をしっかり伸ばしなんし」

「えぇー」

「おめぇら! しゃんとしやがれ!」

 

「毎度思うけれど、こんなんが世界の最高位でいいのしらね」


 ヘカテル魔国

 闇を司る神獣サキュバス。


「良いんじゃない? こんなんでも強いし」


 フォーリース民主国

 土を司る神獣ユニコーン。


「大体、趣味に問題があるしね」

「それを、ホモの貴女が言うの?」

「あー、サキュバスにそれを言われちゃうか。でも、同性愛者とかハーレム思考とかしかいないから、ここ」

「おい! 聞こえてるぞ!」

「私達を馬鹿にしてますの!」

「そうですよ、そんな不名誉の中に一緒にしてもらうと、困りますよ?」

「あー、1人だけ安全な所へ逃げようとしてるのぉ」

「ほら、一旦落ち着くでありんす」

「ふん、危ないのはレズドラゴンとホモユニコーンだけじゃろう」

「なんですって! 同性愛を馬鹿にしますの!」


 ぎゃあぎゃあと議題に関係のない事を言い合うのが、この世界の最高位である筈の会議の日常とかしていた。

 何時もなら、神獣に仕える巫女や神官、弟子や配下等が止めに入るのだが、今日の会議の内容が内容だけに一度、神獣だけで話し合う事にしてしまったのが、結果として仇となっている。


 結局、真面目な会議に戻ったのは30分ほど過ぎた後。


「で、具体的なノーティの予言ってなんなよよ?」


 サキュバスの質問により、形は真面目な態度を取り始める神獣達。


 予言の巫女、ノーティ。

 この世代で、唯一、予言魔法を使うことの出来るという理由で、現状、人の枠組みの中では、世界一、発言力を持っている女性。

 現在では、出身国を捨てて、現在、8神教の本部に身を置いており、時折授かる、予言を神獣に告げる役目を担っている。


「俄かには、信じ難いですが……」


 彼女の予言の力は、神獣達も信用していた。

 だからこそ、今回の予言の内容を信じるのなら、軽々しく片付けられる問題ではない。


『1724の年に、世界を破滅へと導く、厄災の人が誕生する。これを放置したならば、8の神の摂理は破滅を辿り、世界は悪夢に誘わられるであろう』


「8の神の摂理とは、私達の事ですわね……。こんな内容、簡単には信じられませんわ」

「そうなの、今回は外れの方なのぉ。多分なのぉ」


 彼女の予言は必ず当たるという訳ではない。

 適切な対処をとることで、回避することができるし、今までに何度か外したこともある。

 そして、その曖昧さが議論の意味を薄くする。


「じゃが、この内容は、そう楽観視できるものでもあるまい」

「そうどす、今までこんな事は無かったでありんす」


 今まで、どんな大きな内容の予言が来ようとも、神獣という存在を脅かすという内容は、決して無かったのだ。

 神獣は神と名乗るに相応しい力を誇る存在であるが故に。


「はっ! 俺達を倒せる存在は俺達以外いる訳がないだろ」


 神獣は、一体で世界を相手取ることが出来る程の魔力と力を有している。

 その事実が、予言を信用出来ない理由となってしまっている。


「そこじゃないの? 僕達を破滅させるって言ったら仲間割れとか?」

「それは、予言の内容にある厄災の人とは大きく外れるのではないでしょうか?」

「悪夢ってのは、何を指すのかしら?戦争」

「秩序が崩壊するという事ですの? それこそ、ありえませんわ」


 だから、厄災という存在がいるという事を、彼ら彼女らは肯定することが出来ない。

 結果として、会議は意味のないものとなってしまっている。


「チッ! 拉致があかねぇ。時間の無駄だ」

「そうじゃの、これはノーティ本人に話を聞くしかあるまい。皆思うところがあるじゃろうが、各々持ち帰ることにしようぞ」


 痺れを切らしたのは、ケルベロスだった。

 グリフォンや他もそれに同調し、問題の先送りという形で、今回の会合は流される事になる。


「みんなは……、やっぱり、覚えて無いのぉ……?」


 波乱を抱えたまま。

神獣

・世界に8人しか居ない

・世界の象徴的存在

・その力は国を相手取っても引けを取らない

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