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バッドエンドの転生者  作者: 避雷心
序章Ⅰ
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現状把握04

 あの後、産まれたのは妹だと分かって、晴れて、自分は正式にお兄ちゃんとなった。

 めでたいという喜ばしい気持ちと、妹に対して上手くお兄ちゃんをやれるかという気持ちが混在し、不安や高揚感が襲ってくる不思議な感覚。


 舞い上がっているのは、僕だけじゃなく、母やメイドさんもだ。

 何かある度、妹について報告する二人がとても微笑ましく感じる。

 毎回、セットで僕への謎の賛辞が入るから、少々くすぐったくもあるけど……。


 そんなこんなで、妹には、すくすくと元気に育って欲しいと願うし、そんな妹に頼られるいいお兄ちゃんになろう、とそんなひっそりした決意を胸に秘めりたりした。


 妹が出来た当初こそ、二人で広めの赤ちゃんベッドを使っていたが、が自由に動けるのと、大きさの違いという最もな理由で、直ぐに追い出されてしまったのは、懐かしい記憶。

 それにより、僕が寝る場所は、母、もしくはミシェルさんベッドの上に移行し、添い寝して寝ることが多い。

 あ、ミシェルさんとは、メイドさんのことだ。


 メイドさん呼び、改め、ミシェルさん。

 今までかなりお世話をして貰っているし、一緒に寝たり、お世話してもらったりと、家族の一員である彼女を、いつまでもメイドさんと呼ぶのは失礼かななんて、思った故の心変わりである。


 僕の面倒を、ずっとミシェルさんが見ていたのは、身重だった母の負担を減らす為の様で、元気になった今では、母と触れ合う機会も結構増えている。

 けれど、妹の面倒を母がよく見るため、やっぱりミシェルさんが大部分の世話をしてくていたりすのだが。

 母が元気な今、前の様に僕から目を離す機会も無くなった為、突飛なことはできなくなったが、家の中を動き回る僕に付き添い、何かを質問をすると、丁寧に答えてくれるためとてもありがたく思っている。

 沢山泣く妹を見て、ずっと連れ添ってくれたミシェルさんは、全然泣いてなかった僕を赤ちゃんらしくない、なんて怪しく思ってたりしないのかなと勘繰ったりしたけど、別に、そんなことも無さそうだし。


 前と違って、幼馴染であるリリーシャがいるから、それと似た様な動きをする事で、最近は誤魔化せていたと思うのだけど、特異な出自を持つ自分が変に見られていないかというのはやっぱり気になってしまう。

 今の所、気味悪がられていたという事は無いから、大丈夫だと思うけど……。


 リリーシャの様子を見ることで、どのタイミングで何をできる様になるかは大分参考になった。

 今では、意味のある言葉を話し始め、親の目はあるものの、自分達で歩いて、家の外で遊び始めている位だし、心配は杞憂かもしれない。

 やりたいことを明確に言うことができ、やりたいことをやれる日々はなかなか快適で、この世界で色々なことを知りながら、面白おかしく生きてきた。


 そんなこんなで、年月が過ぎ、つい、一ヶ月ほど前に、三歳の誕生日をみんなに祝ってもらったのが、現状。


 妹が生まれた当初こそ、リリーシャは、ヨチヨチと立ち上がって、僕にまとまった意味の無い絡み方をして来る様な有様だったけど、僕に駆け寄りながら、意味を持った言葉で話し掛けてくるまで成長したと思うと、子供の成長が早いとは、こういう事をいうのかと思わず感心してしまう。

 最近では、おままごとや、かけっこと言った簡単な遊びを毎日やっていたり。


「ユー、おそい!」


 自分が指揮を取らないと気に入らない様で、大体、いつも連れ回されて、彼女のやる事に付き合わされているという形だが、これはこれで充実しているといえる。

 この頃になると、外の情報と言うものが沢山入ってきて、改めて、この世界が異世界だと、認識された。


 外では、魔法が飛び交うという程じゃないけれど、日常生活にて、ちらほらと魔法らしき派手な現象が起こる。

 家事に使ったり、仕事に使ったりと、その用途は様々だ。


 そう言えば、リリーシャも、親に教えてもらってか、軽くなら水を操る事ができる。

 人差し指の先に水の玉を作るぐらいだが、


「ユーはこんな事も出来ないの?」


 と、馬鹿にされた覚えがある。

 子供の言うことながら、若干傷付いた。

 そして、改めて魔法について、考えさせられる事になる。


 最近では、ミシェルさんに、この世界の事や、ちょっとした算術等の勉強を教えて貰う様になり、その中で、願っていた魔法にも触れ始めた。

 魔法の事を公然と知れる機会が出来て、長年の悲願が報われた気がした。


 その中で分かった事がいくつかある。

 まず、最初に、この世界の人間は、大なり小なりの差はあるが、みんながみんな魔法を使う事ができるということ。


「私も使う事が出来ますよ」


 そう言って、部屋の中で、小規模な魔法を代わる代わる見せてくれるミシェルさん。

 部屋の中で、色々な物が飛び交う様子は僕をワクワクさせてくれる。


 次に分かったのは、魔法を使う人間には、魔術師と魔闘師に分けられること。


「ユークラウド様は、魔術師みたいですね。わぁ、私とお揃いですよ! 魔術師の方が少ないので、珍しいんですよ!」


 魔闘師と魔術師の違いをざっくりと説明すると、魔闘師は直ぐに魔法を放てるが簡単な魔法のみ実行することができ、魔術師は発動に時間がかかるが複雑な魔法を実行することができるというのが違いらしい。

 魔術師と魔闘師の割合は、3:7と魔術師が少ないとか。

 割と遺伝する事が多いらしいけど、母は魔闘師の方らしいので、少ない方を引き当てたのかも知れない。


 そして、最後に分かった事は……。


「じゃあ、私の呪文を反復してみて下さい! 一緒に魔法を使ってみましょう!」


 ミシェルさんの呪文に合わせて、同じ言葉を重ねていく。

 手の上で効果が発生する程度の、簡単な呪文の魔法を、適正を見る意味を含めて12個。


「あ、あれっ……?」


 12の呪文を全部唱え終えても、何も起きず、


「全部、不発ですか。もう一度お願いします! ユークラウド様!」


 彼女の懇願に対し、もう一度試して見るが、


「申し訳ありません、ユークラウド様。現状、どうやら、私の力不足のようです。学校に行けば、学ぶことができるのでそれまでお待ちください。本当に申し訳ありません…………」


 と、遠回しに匙を投げられてしまった。

 どうやら、僕の魔法適性は低いのかも知れない……。

2020/10/15

序章Ⅰ修正


以降未修正

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