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バッドエンドの転生者  作者: 避雷心
序章Ⅱ.v
41/114

メイドのミシェル05

ミシェルがご飯を食べ終わる頃には、ユークラウドはクリスティーナの遊び相手に戻っていた。


台所に行くと、回収しようと思っていたクリシアの食器も、いつの間にか部屋からも回収されていた。

主人の子供は、優秀で気が効く自慢の子だと思うミシェル。

主人とその子供の幸せがミシェルの幸せであり、どんな性格だとしても愛していたと思えるが、それでも優しく育ってくれている事を確認するのは、とても嬉しいのだ。


食器を魔法で洗浄する作業はすぐに終わってしまい、売り物にする為の小物を作り始めるミシェル。

この作業も小一時間もあれば、終わってしまう為、次に何をするべきか物思いにふけりながら作業をする。


ふと、最近、何をやるべきか考える時間が増えたなと思うミシェル。

この村に来たばかりの時は、働きながら、クリシアの邪魔にならない範囲で家事を全てこなしていたのだが、最近は少し事情が違う。


クリシアのお腹が大きくなっている事、第2子のクリスティーナのお世話をする事でやる事自体は増えていたのだが、ユークラウドが手伝ってくれる様になった事で、最近は多少なりと余裕が生まれてきている。

気付けば、やろうと思ってた事をユークラウドが終わらせているのだ。


それ自体はとても良い事なのだが、結果的にミシェルには暇な時間が生まれてしまっている。

基本的に仕事を詰める人間であるミシェルにとっては、空き時間というのは、何をして良いか分からなくて苦痛に感じてしまうのだ。


必要以上に売り物を作る訳にもいかず、作業が終わった時点で、本当に暇になってしまい、何をしようか迷っていたミシェル。

だから、普段は乗らない筈の、お茶の時間にしようというユークラウドの提案に思わず飛び付いてしまう。


しかし、よくよく、考えてみたら、従者としての意識の強く常に一歩引いて立ち回っていたミシェルにとって、ユークラウドとクリスティーナとの3人で一緒にお茶の時間を取るのなんて初めての事だった。


「おやつー!」


ミシェルの不安を他所にクリスティーナの元気な声が辺りに響く。


3人で席に付き、お菓子とお茶をテーブルに広げ、楽しい楽しいお茶の時間。


楽しそうなユークラウドとクリスティーナを横目にミシェルには何も話す話題が思いつかない。

従者として一歩引いた立ち回りを常に心がけるミシェルには、主人の子供である2人と一緒に楽しくお喋りしながらお茶を頂くという光景がどうしても想像出来ないのだ。


いっそ、2人の邪魔にならないようにと、主人の元にお茶とお菓子を持っていき、そのまま離席しようともしたのだが、クリシアはこれを許さない。

ミシェルが気後れするからやらなかったけど、そろそろ4人で食卓を囲みたいと思ってたのよ!なんて、言葉と共に、その為の前ステップとして、3人でお茶をしてくるように強要されるのだった。


無論、嫌な訳では決して無い。

無いのだが、この村に来るまでクリシアの従者として徹底した生活を送っていたミシェルは、主人やその家族と一緒にテーブルを囲む事なんて事一度も無く、この村に来て四年経った今でもその行為に対して気後れしているのだ。


何を話せば良いか分からず沈黙のまま過ごすミシェル。

結局、その日は、2人とまともに会話するより先に、おやつを食べてうとうととし始めたクリスティーナが先にダウンしてしまいお開きになるのだった。

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