表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バッドエンドの転生者  作者: 避雷心
序章Ⅰ
4/114

現状把握03

 あれから、季節が変わったから、多分三、四ヶ月くらい過ぎたのだと思う……。


 そろそろ、赤ちゃんが立ち上がっても問題無い頃。

 そう思い立ち実践したところ、母のクリシアが感極まった為、俺は立派に赤子をやれているのかなと思ったり。

 大体のところは、本能に従ってみると、上手くいく為、さほど苦労してないんだけどね。

 雇っているメイドさんが育児本の内容を口に出して覚えようとしている為、それも赤ちゃんライフの参考になってたりしていたりするのだ。


 さて、唐突だけど、母、クリシアのお腹は大きく膨らんでいる。

 まるまる肥えているという訳ではなく、お腹を中心として膨れているという形でだ。

 あんまり、1階から動く事はしないし、俺の育児の大半をメイドに任せていたりする母だったが、最近になって、ようやくその訳が分かった。

 母は、第二子を妊娠しているのだ。


 とってもおめでたい。

 俺に年下の兄弟が出来る。

 弟になるか妹になるかは分からないけど、早ければ、あと、数ヶ月と言ったところだろう。


 弟や妹がいるって言うのは、どんな状況なのだろう。

 うぅんと、可愛いくて、可愛いがったりするのだろうか、はたまた、喧嘩をよくしてしまう様な仲になってしまうのか。

 取り敢えず、俺みたいに前世の知識を持って産まれてくるとかは嫌だなぁ、と勝手に思ってたりするけれども、それは何となく無い様な気がする。勘だけど。


 ……。

 …………。

 ……………………。


 まだ見ぬ兄妹についての思考は長くなってしまう為、割愛するとして、次は何について、考えよう?


 そう言えば、兄弟で思い出したけれど、家には父親が居ない気がする。

 何やら、複雑な事情でもあるのやら。

 出稼ぎに出てるとか?


 恐らく、兄弟をお腹に身籠った時には居たはずなんだけど、残念ながら、その時はここまで頭の回転は早くなかった。

 前世の知識が無かったし。


 ハウスメイドさんがいるから、実は結構裕福だったりするのかな、なんてことは思う。

 少なくとも隣の家にはいないから、それが標準であるといったことはなさそう……。


 裕福そうな素振りも見せないし、本当に謎である。

 謎は謎として、最近、お隣さんとの交流ができ、家同士での交流が始まった話に移ろう。

 お隣の家に預けられたり、その逆があったりと、よく家間での移動が増えた。


 ママ友交流的なもので、窓際で会ったお隣のあの子と良く会うようになったりしていたりする。 

 会う度、探るような目線で絡まれるのは、お互いに初めて会った赤子だからなのか、変な第六感でも働いているからなのかは分からないけど。

 それでも、彼女なりに気に入ってくれてはいるのだと思うから赤ちゃん界隈的には良いことなのだろう。


「リリーシャは、本当にユークラウド君のことが好きねぇ」


 とは、お隣の奥さん談。

 どうやら、彼女はリリーシャと言うらしい。

 名前と雰囲気から多分女の子。

 今の態度から見て、成長すれば大物になりそうな予感があるし、お隣の奥さんの遺伝子を受け継ぐなら美人になると思うので将来が楽しみな子だ。 

 もし、このまま行けば、お隣に住む女の子の幼なじみという都市伝説が成立してしまうのかもしれない。


 兄弟も増えそうだし、成長したら、楽しい少年期を送れたりするのだろうか?

 まぁ、突然、こしてきたからには、突然出て行くこともあるだろうし、なったら楽しいかくらいの気持ちで抑えとくけど。


 お隣との交流が始まったことで、外の様子もある程度知れるようになった。

 家を移動する過程で、ようやく、外に連れ出してもらえたのだ。

 数秒の間じゃ、魔法を使っている人が居なかったという落ちがつくのだけど……。


 その代わりと言ってはなんだけど、お隣の奥さんが、料理の時にあっさりと火の魔法を使っていた。

 あまりにあっさり使ってたから、その時は全く、気に留めてなかったけど……。

 後から思い出し、気付いて、なんだが、ここ数ヶ月前の好奇心は何だったんだと思ったりもしたけど、複数の思考を並列できない体だから仕方ないと思う。


 そんなこんなで魔法が存在するという事実を確認する事は出来た。

 そして、あると分かったのならば、実際に自分でもやって見たくなるというもの。

 という訳で、ここ数ヶ月、どうにか発動できないかと魔法の特訓的なものに挑戦してみたのだけれど……。

 どうやら、魔法というのは、イメージより、プロセスの方が大事らしい。


 よくある異世界物のように、頭で幾ら魔法を思い浮かべても、魔法を実行する事は出来ず、魔力っぽいものはうんともすんとも言わなかった。

 ここに気付くのにかなりの時間を費やしたが、気付いたからには、アプローチの方法を変えること選ぶ。

 今度はイメージより家庭を重視することにしたところ、こちらは多少の手ごたえがあった。


 メイドさんの魔法を参考に数十通、数百通りのやり方を考えて、ただでさえ暇な時間を有効活用してみた所、何個かヒットして、魔法が発動したのだ。

 手をじんわり湿らせたり、暑く無い火花を一瞬だけ散らしたり、生暖かい気がしたり、ザラザラした程度の違いを魔法というのなら、という注釈が付くけど。


 何がいけないのかは、さっぱり分からなかったが、2つだけ言える事がある。

 成功した物は、全部途中のプロセスがひたすら長かったという事。

 そして、そのアプローチの方法に共通点が殆ど無く、同じ行為にも複数のアプローチの仕方があるであろうという事。


 これでは、1人で1からやるのは、時間も、効率も悪い、と言うのが今日に至るまでの結論だ。

 早く成長して、誰かに教えを請うやり方が一番良さそうなのが、とても残念な所である。


 そんな訳で、今日も今日とて、寝る事にひたすら精を出す日々を過ごすのであった。


 そんな日から、暫くたった、ある日の事だ。

 空には雲が多く薄暗い空の色をしていたのを覚えている。

 辺りに元気な産声が響き渡った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ