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バッドエンドの転生者  作者: 避雷心
序章Ⅱ.v
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29/114

研究者エリアナ07

「ご両親の、魔法の適性は分かりますか?」


その質問に対する答えは、風属性しか知らないというものだった。

母と魔法の話を詳しくしたとが無くのだと。


家に家政婦さんが居るらしく、その人が魔法を使った家事や教育などをこなしているらしい。

そう言えば、ユートの家は、こんな辺境の村で家政婦なんかを雇っていたなと、エリアナは思い出す。


村外れに家を借りているエリアナすら、ユークラウドの家の特異さは知られているのだ。


「では、帰って聞くことは出来ますか?」


少し考えて、次の質問をするエリアナ。

母なら聞くことは出来るが父とは会ったことも無いのだと言われた。

我が家で、父の事を聞くのは難しいかもしれないとも。


「そうですか。それなら仕方ありません」


これ以上深く聞くと、ややこしい事になりそうだと、話を切り上げた。

思ったより、遥かに複雑な家庭なのかもしれないと思ったが、そこはエリアナには関係のない事だ。

寧ろ、興味がないという姿勢でいた方が、ユークラウドも、楽だと思われる。


と、なると、エリアナは完全に手詰まりだ。


「分かりました。今日の所は一部だけ調べましょう」


仕方ないので、今できる事をする事にする。

次回までに必要な物を揃えておきますと付け加え、一先ず、出来る事をやる事にする。


元々、受講料の流れから始まった適性調べ。

本来の予定では無いのだから、後になった所で問題は無いのだ。


エリアナは、自分が今覚えてる系統別の詠唱を頭に浮かべる。火、水、土、風の基礎4属性と、強化、付与、結界、召喚の基礎4特性で、8個。

高位8属性も、覚えている筈なので、合計16っ個。

……いや、高位8属性を確実に覚えているかと言われると、少し、自信がないと気付き、今回は見送る様にする。


現時点で調べるべきのは、基礎8個の内の、状態魔法の4つを調べるべきだろうと、エリアナは考える。

後は、適性があれば、日常で重宝される、治癒魔法と、それと……、と、そこまで来た所で思考が止まる。


自身が適正に持っている、付加魔法を入れ忘れていたのだ。

研究業をする上で、付加魔法はかなり便利なのだ。

なんせ、道具や消耗品の一部を自分で準備する事が出来る為、わざわざ買いに行かなくて済む。


個人的に、自分の負担が減るので、ユークラウドに適性があるのなら、有り難いのだが、現実はそう上手く行くものでもない。


なんせ、試すだけで、24種類もあるのだ。しかも、その中でも、普通は大体3.4個。

持ってない属性の方が多いいのが普通であり、狙いの適性なんて、引く事はほぼない。


取り敢えず、付加、結界、治癒、強化、付与、結界、召喚の順で調べる事にする。

エリアナにとっては覚えている詠唱の数が多い順番で、特に他意は無かったのだが、エリアナが自身にとって誤算だったのは付加魔法を1番にした事だった。


「うわっ、凄い!付加魔法ってこんな風になるんですね」


教えられた通りの呪文を唱えて、時間こそかかったものの魔法を成功させるユークラウド。

変化は大した事ない物であったが、新しい魔法が使えるというのは彼にとって、嬉しい事だった。


その喜びを伝えようとエリアナの方を見るユークラウドだったが、エリアナは固まっていた。


付加魔法とは、物に魔力を貯め込む事ができる魔法である。

基本的に、付加魔法さえ使えれば、様々な物質に自由に魔力を付与する事ができ、それにより、呪文を唱えず共、魔力やそれに伴う現象を扱う事が出来るのだ。


例えば、料理をする為、火が使いたいとなった場合、火の魔法の適性があれば、すぐさま火を起こす事が出来る。

だが、それは火属性の魔法の適性がある人のみに出来る事。

火属性の適性を持っていない人は、魔法で火を起こす事ができず、別の方法を探さなければならない。


その中で、最も安定して火を出し続ける事ができる方法に、火を付ける魔道具に火の魔力を込められた魔石をセットして、点火するという物。

魔道具がカズコンロ、魔石がガスボンベの位置にあたり、魔石の中の火の魔力を消費して、火を継続的に燃やし続ける事ができる。

この方法を使えば、誰でも手軽に火の魔法を使い続ける事が出来る為、かなり普及しているのだが、この方法を成り立たせる為に欠かせない物がある。


それは燃料となる火の魔石だ。


火の魔石とは、核となる石などに火の魔力を込めて作る物である。

そして、物に魔力を込める事が出来るのは、基本的には付加魔法が必要なのである。


これには、付加魔法使いが、魔石に魔術式を付け加え、付加魔法を使う事ができない人達も自由に魔力を加える事ができる充電式に変更できるという例外があるのだが、今はその話は置いておこう。


付加魔法で火の魔石を作る際、代わりに水の魔力を込めた所で、当然、火の魔石は出来ないのである。


これはどういうことか?


それは火の魔石を作る為には、付加魔法と火属性魔法の両方の適性が無いと作る事が出来ないという事である。

物に付加できる魔力の種類は、自分の適性に依存してしまうのだ。


これで、ようやく話を元に戻す事が出来る。


エリアナ研究用の魔道具を動かす為に、通常の家などより多く魔石を使用している。

魔法の安定した出力を長時間継続させたり、発動中の記録を取る作業を行ったりと、魔法の研究で、自分で魔法を行いながら研究する者はほぼおらず、魔石が必須とえるのだ。


ここで問題なのは魔石を手に入れる方法である。

魔石を手に入れる為には、自分で製作するか、他人から譲渡(売買を含む)してもらうかの2つの方法があり、付加魔法の適性があるエリアナは、適性のある火、水、土属性の魔石なら自分で作る事が出来る。


しかし、エリアナの研究は主に風属性に重点を置いているのだ。

こうなってくると、自分で作る事が出来ない風属性の魔石が大量に必要になってくる。

入手方法は譲渡、主にお金で大量に買い込む事。


結果としてエリアナはお金の工面に追われる事になっていた。

自分で作った魔石を売ったり、魔法を生かして村の手伝いをしたりと、自分の研究の時間が削られる日々に不満を抱かなかった日は無い。


そもそも研究者は、こういった障害がある為、研究者なんて職は、お金持ちか、資金の工面がつくか、付加と研究対象の適性を持っている等の一部の人間しか付かない不人気職だったりする。

実際、エリアナが研究者になる時も一悶着あったりしたのだが、その話も今は置いておこう。


エリアナにとって、喉から手が出るほど欲しいであろう風の魔石の安定入手。

その片鱗を、具体的には、風属性と付加属性の適性をユークラウドが見せた。


エリアナの長年求めて来たものが、そこにあった。

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