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バッドエンドの転生者  作者: 避雷心
序章Ⅱ
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弟子入り06

その後、いくつか繰り返し詠唱についてのレクチャーを受ける。


そのまま、実際に試す運びとなり、次の講義は、片手間に作りながらの受講となる。

繰り返し詠唱を実際に使い、後は魔石に触って魔力を流し続けるだけの簡単なお仕事。

繰り返し詠唱、本当便利だなぁ。


「さて、次に私がすべき事は無詠唱魔法のメリット、デメリットの説明についてですね」


次の講義が始まる。

いい加減、そこら辺を分かっていないと、何処かの誰かさんがまた使うかも知れませんし、と後付けされて、心が痛む。

ごめんなさい。


「完全に無詠唱魔法を行う事が出来る人間は数える程しかいない、という話はしましたっけ?」

「確か、薄っすらと……」


無詠唱魔法を使える人間は、実はかなり少ないらしい。

やってる事は、そんなに難しい訳じゃないんだけどなぁ。


「ですが、ちょっとした無詠唱なら皆んな使う事が出来るんですよ!」

「?」


得意げになる師匠に、頭に?マークが浮かぶ。

ちょっとした無詠唱って何?


「つまりですねぇ……」


そう言って、師匠は水桶を指差す。

恐らく、お馴染みの「ビット・ウォーター」の魔法だろう。


急いで、水桶を持っていくと、聞いていて下さいと、「ビット・ウォーター」の詠唱を始める。

補足しておくと、魔石を持ちながらの移動だ。


その詠唱は、自分が知る詠唱とは違うものだった。

具体的に言うと、第1詠唱と第2詠唱が全部と、第4詠唱が半分程、省略されていた。


これで、魔法が発動するのかと疑問に思っていると「ビット・ウォーター」の魔法は実際に発動した。

水桶に溜まる水。


「やはり、精度が落ちますねぇ……うーん」


師匠はそう言うが、具体的にどこの精度が劣っているのか、分からなかった。

この完成度のまま、魔法を行使出来るのならこちらの方が良いのでは?と思ってしまうが、世の中そんなに甘くないらしい。


「今のが詠唱省略です。まぁ、参考の為に見せましたが、真似はしないように」


釘を刺された所から師匠の解説が始まる。


「詠唱には、人によって省略していい場所。精度を落とす変わりに省略可能な場所というものがあります。この部分を省略して詠唱を行う事を詠唱省略と言います」


詠唱に省略していい場所や、省略できる場所があると言うのは初耳だった。

けど、考えてみれば、文を繰り返して良いのなら余分な部分を省くこともできるのか。

なんか、こんなの知ってる気がするけど、何だっけ?


「ちなみに、この技術を使っても、ユートの場合は必要な魔力量を取り出すのが遅いので、魔法発動速度は変わりませんので、悪しからず」


と言う事らしい。

師匠曰く、やってる事はほぼ変わらないらしい。

詠唱を唱える時間を減らす効果はあるけど、それだけ。

早く唱えれた方が良い状況という場面は特定の場合に限られるとか。


「では次に詠唱省略の悪いところについて述べましょう」


そのまま、短くできるという利点と共に欠点のレクチャーが始まる。


「その前に詠唱省略の省略して良い場所についての説明が必要ですね。人によって省略していい場所というのは…………そうですねぇ……」


筈だったのだが、僕の知識量に合わせて、そもそもの説明から始まる。

うーんと、ひとしきり唸った後、師匠はいい例えを思いついたのか、満足気な顔をしながら指を得意気に立てて説明を始める。


「例えばユークラウドは、今の所、分かっているだけで4つの属性魔法を持ってますよね?」


確かに僕は、火、水、土、風の属性魔法を使う事が出来る。

実はこれはかなり珍しいらしい。


師匠も風以外の3属性を使うことができるが、そもそも別系統を3属性使うだけでも珍しいとか。

そもそも魔闘型は属性を多く持たないらしく、ただでさえ少ない魔術型の割合の中で、更に3属性を使えるだけでもかなりレア度が高いとか何とか。


「風を使う、火を使う、水を使う、土を使う、これらの使い分けは詠唱で指定しなくてはいけません」


魔術型の人間は基本的に混合した魔力を持つから魔術型なのだ、とか何とか。

ここら辺はまだよく分かっていないけど、一先ず、自分の中から1属性の魔素だけを取り出そうとする事自体に詠唱を唱えるという行為が必要らしい。

あ、状態魔法は置いておいて下さい。と付け加えられる。


「しかし、か……水魔法にしか適性が無ければ、その部分の詠唱を唱える必要はあると思いますか?」


そう言われて、気付く。

水魔法にしか適性が無ければ、その詠唱に意味はあるのだろうか?

その部分の詠唱は余分なのでは無いのだろうか?


「そういう事です。省略していい部分というのは」


師匠は理解しましたか?と確認を取ってくる。

成る程、それが人によって省略していい部分の正体。

つまり、生まれ持っての適性による、個人差。


確かに個人によって差が出るのならば、詠唱の勉強をするのは大切なのだろう。


「しかし、今の説明は正確には正しくないので、覚えないでいいです。あくまでも省略していい部分のイメージだけ持って下さい」


と理解した所で、その理解を崩された。


どういう事だろう?

個人差という事だけ覚えておけば良いのか?と師匠に問うと、今はその理解で結構です。それでも省略しない方が良いとは私が思いますが、と返ってきた。

また、次の機会に説明してくれるのだろう。


「さて、今の説明だと特にデメリットを感じなかったと思いますが、本命の精度を落とす変わりに省略しても良い魔法についてです」


今までの説明が前振りで、多分次から本題。

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