弟子入り02
師匠の家に行くようになった僕に対する周りの反応は様々だった。
結果的に、事後承諾の形になってしまったのが、とても申し訳ないけれど。
「エリアナさんという方、悪い方じゃないんでしょう?ユークラウドの好きにしていいのよ」
というのは母から。
今回の件で1番迷惑をかけたのは母なのに関わらずだ。
元気に働いているからといって、子供を身籠っている状態の母に、心配をかけているようではいけない。
ごめんなさいと、頭を下げて謝る。
そんな僕に母は、頭を撫でながら、優しい言葉を投げかけてくれた。
「良いのよ、ユークラウド。ユークラウドはお兄ちゃんだからって、ずっとミシェルに任せきりで構ってあげられなかったもの。寧ろ、始めて自分のしたい事を言ってくれた事の方が嬉しいわ」
母の笑顔は眩しくて、心地よかった。
なるべく、母の負担にならない様にしようと思っている。
師匠の授業は日と日が開くのも、僕にとって都合が良かった。
「お二人、失礼、お三方のお世話は私に任せて、ユークラウド様は、子供らしく自由に行動して良いんですよ!」
私が解決できなかった問題も、その方が解決してしまったようですし……、とかなり落ち込んではいたものの、ミシェルさんも了承してくれた。
「ですが……、ユークラウド様にもし……何かあれば……、ただじゃおきませんから……フフフ」
何か聞いてはいけない物を聞いた気がしたけど、多分気のせいだと思う。
まだ小さい妹のクリスティーナにもちゃんと報告した。
といっても、まだ僕の言うことは、まだ分かんないかなぁ。
報告とか関係なく、俺に向かって、よちよち歩きで飛び込んで来る妹。
最近、少し歩ける様になった時の感動は今でも忘れない。
歩いてきた後は、少しの距離でもお疲れなので、膝の上で寝転ばせてあげるのが何時ものお決まり。
だが、この日はいつもと違った。
何時もならここでゴロゴロと転がり撫でて欲しいというサインを見せるのに、手を広げて一言。
「にいーー、すきーー」
うちの妹可愛い過ぎません?
閑話休題。
問題は幼馴染のリリーシャ。
俺が師匠の元へ行って帰って来た後「どこに行ってたの……」と怒りを見せていたリリーシャだったが、お母さんルルーシャの体調が悪くなり急に帰る事になった。
いよいよ、リリーシャの妹が産まれるらしい。
その事自体はとてもめでたい事なんだけど、その時から、リリーシャがうちに来る事は無くなり、何と無く伝えるタイミングを逃してしまっている。
こうなると後が怖いんだよなぁ。
リリーシャ、僕が勝手に何かしてると怒るからなぁ。
でも、妹ができたら、そちらにつきっきりで怒る事もなくなるかも知れない。
リリーシャは僕に執着し過ぎていたから、妹に関心が出るのは良いことだと思う。
と言っても、近所に子供居ないし、まだ、僕達4歳にもなってないから、問題にする事もおかしいちゃおかしいけど。
家に全く遊びに来なくなったら、それはそれで寂しいな。
なんていろんな事を考えてるけど、伝えるのを先延ばしにしている事には変わりない。
そこから、数日後、リリーシャの妹が産まれ、ララーシャと名付けられたという事を出産の手伝いに行ったミシェルさんから聞いた。




