お隣の奥様、ルルーシャ01
ルルーシャは、夫と産まれたばかりの娘の2人を持つ、母である。
彼女は、幼少期からある悩みを抱えていた。
その性質に苦しめられていた、仲間外れにされた、沢山の人々に忌み嫌われ、迫害されていた。
その悩みを解決したのは、他でも無い現在の夫のリールイ・エルロック。
その苦しみを和らげると、ずっと君と一緒に居ると、それでも構わないと言ってくれた。
自分に折り合いを付け、夫にも協力してもらい、解決した。
「ごめんなさい、あなた」
筈だった。
幸せの絶頂の中、産まれた娘にその性質が現れるまでは。
「私のせいで……」
「お前は悪く無い。勿論、娘もだ」
娘の名前は、リリーシャ。
彼女は、かつてのルルーシャ以上に、その先祖返を色濃く持って産まれていた。
「これ以上、ここに迷惑をかける訳にはいかないわ」
今住んでいる家の管理人には感謝している。
こちらに事情があると分かっても、何も聞かず住まわしてくれた。
でもそれは、ルルーシャが性質をある程度コントロール出来たからだ。
ただでさえ余所者であり、近所によく思われておらず、疑うような目も存在する。
そんな中、娘のリリーシャが特殊だと分かったら、何を言われるか分からない。
娘には、自分と同じ様な思いをさせたくは無いのだ。
ルルーシャは、夫と娘と3人で、新たな新天地を求め、馬車を使い、村を渡り歩く事になる。
幸いな事に、今まで、贅沢はしておらずお金には困らなかった。
唯一の問題としては、リリーシャがまだ幼く、長くは旅は続けれないこと。
今まで住んでいた、ランバルディア王国には基本的に人間しかおらず、他の種族を良く思ってない人間も少なく無い。
本当は、娘の為に、ランバルディア王国以外の国に行きたいと思っていたが、それは次の村で馴染めなかった時だ。
幾つか村を見て回っていたが、リリーシャへの負担が大きくなる頃合いに丁度良さそうな所を見つけた。
国境近くの小さな村で、自然が多く、また数人の他種族が住んでいて、前の場所よりいくばかりの理解がある。
何より、何かあっても、ここなら、次の国の足掛かりにし易い。
夫のリールイが直ぐに仕事を取ってくれたお陰で、家族は生活には困らなかった。
近所の人達も、ルルーシャが特異体質だと聞いても嫌な顔はしなかった。
お隣の家が何かと目立っていて、あまり気にされなかったという事もあるかも知れない。
その家では、夫が居ないのに、珍しく家政婦が雇われていた。
更に言うのなら、家政婦も働きに回っているので、雇われているとは言い難いかも知れない。
何処かの令嬢では無いかとも噂されたが、気取った所はなく、寧ろ、どんな人にも分け隔て無い態度で、評判は悪い物が無かった。
ルルーシャも引っ越してた当初、優しくして貰いかなり助けられた程である。
だけど、やはり直ぐに目を引くのは、ユークラウドという名前の赤子の髪の色が、美しい銀の色をしている事だろう。
多くの人が見惚れてしまう程、透き通っていて、気にしない方がおかしいと言えるかもしれない。
しかし、世界的にも銀の髪は珍しく、母親との髪の色も違う為、誰もその話題自体には触れようとせず、避ける様な暗黙の了解があった。
それでも、気になる事には変わりなく、何かとお隣は話題に事かかず、ルルーシャやリリーシャの特異体質に付いて、触れられる事はほぼ無かったと言っていい。
いつの間にか、ルルーシャはお隣の家と家族ぐるみの付き合いをしていて、村で一番懇意にしてもらっていた。
もしかしたら、ルルーシャ自身気付かない打算があったのかも知れない。
娘も赤子ながらにお隣のユークラウドを気に入っていたらしく、何かとちょっかいをかけていた。
偶に預かる事があったけれど、大人しい子で、少しやんちゃ所があるリリーシャの相手になってくれていた。
結果として問題にはならなかったが、問題が起きたのは、お隣で第二子が産まれようとしていた頃。
家の事に手が回ら無い様になって来たお隣から、ユークラウドを預かる事が増える様になっていた。
その事、自体は別に構わなかったが、ルルーシャが失念していたのは、その夜が満月に近い月の夜だったという事。
先祖返り
・先祖の何代か前に居た多種族の性質を一部受け継いで産まれること。
・大抵は他の種族の特性である為、上手く制御できずに生活に悪影響を及ぼす。




