三十回目の誕生日。
よんでくださいおねがいしますぅぅぅ。
な、何でもしますからぁっ!
いやはや、独身生活もついに今日で三十年を迎える。
おそらく俺は生涯孤独の身なのだろう。
そう思って生きてきた。長いようで、短いのである。三十年。
「これで俺も魔法使いの仲間入りってわけだ。」
自嘲気味に笑いつぶやくが、それを聞くものはいない。
六畳一間の狭い部屋の中、俗に言う第三のビールってやつで一人で乾杯。
ぶっちゃけ仕事はブラックだ。
頭のいい学校に通って、努力して、努力した結果がこれかと思うと、少し情けない。
日々の疲れを癒してくれる人などもいないわけで……
「ああ、魔法使いってんなら、本当に魔法が使えりゃいいんだけどなあ。」
部屋が歪む。体が重い。少し。今日くらい仕事を忘れてゆっくり休もう。
そして俺は眠りに就いた。世界、おやすみなさい。
現代は多忙だ。昔はそこまで厳密でなかった時間も、現世では一分一秒の単位で動いている。
会社だってその現代の一部なわけであるが、俺はあろうことか寝坊した。
そこら辺に散らかる空き缶。ろうそくの溶けきってカラフルになってしまったケーキがなんとも虚しい。
そして時刻は十二時。入社時間をとっくに過ぎている。
「くそ、なんで俺こんなところで寝たんだよ。ああっ。時間戻れよ。」
ーー飛んだ。
なんと言うか例えるならパソコンで検索結果を表示する前に生じるラグみたいな感覚。
そして俺はさっきのさっき。つまりは過去にいた。
時計が指すには六時十分。会社に間に合う。
この日めでたく独身童貞三十歳を向かた俺は、
この日めでたく魔法使いになったのであった。
わお、私の小説読んでくれたんですね?ありがたいです。
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