声は伝う、愛を、愛を、真実へ。
嫌いだ。
優しさで繕った裏の欲望に塗れた貴女が。
愛される事を望まない癖にただ1人に愛を注ぐ貴女が。
誰よりも臆病な心を持ちながらも自分自身を傷つける貴女が。
自己犠牲しか生きる術を知らない貴女が。
それでも、私は貴女の声だけは好きだった。
貴女の汚れなんてまるで存在しないかのように美しく、耽美で、透き通った、貴女の声が。
あの声で私は何度絆されそうになっただろうか。
貴女の声の美しさだけは、認めざるを得なかった。
例えば、私がそれを持っていたならば、
ここまで愛しく思う事は無かったかもしれない。
どうにもーーー欲しくてたまらない。大嫌いな貴女の事が、いや、貴女の声が。
声だけ、声だけでいいのだ。
それだけなら、私は貴女を愛せる筈で、それだけしか、私は貴女を愛せない、はず、なのだ。
なのになんで、
今、
抱き締められているこの腕を、体温を。
ーーもっと、欲しい、なんて思ってしまうのかなぁ……。
貴女の一方的な愛の告白なんて、聞き飽きたのに、それなのに、どうして今はこんなにも熱く、恋しいと思った?
その答えは、どうやら私1人じゃ見つけられそうにも無かった。
だから、とりあえず、そう。
『名前を、呼んで。』
ーーー愛しい、愛しい、その声で。




