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新説幻想世界物語  作者: Unknown
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14/21

第14話「ジル&アンリ」

「、、、、、、。」


「、、、、、、。」



見つめ合う、この時が永遠に続くのかと思う位に、、、、、。


イヤ、って言うか何してんのコイツ、、、、。


歳は60~70歳位だろうか、しゃがんで居るので体格はハッキリとは判らないんだが小柄、恐らく160Cmも無いんじゃないか?そして頭はつるっ禿で、チラホラと短い髭の様に白髪が生えている。


そんな文字通りの糞ジジイは朝っぱらから、人の家の前で野糞してるんだが、、、、、いつから此処に居るんだ?


見知らぬジジイと僕は、未だひたすらに見つめ合う。


人の脱糞行為を見る趣味は無いのだが、不審過ぎて目が離せない。


この何とも言えない緊張感にジジイが折れたのか口を開く。



「へへっ、どうも」



野糞の体勢を維持したまま、そしてはにかみ乍らジジイはそう言って僕に会釈する。


へへっじゃねえよ。


はにかむな、はにかむな。


このままじゃ埒が明かない。



「何やってんの?」


「、、、、、すいません。ウンコです。」


「、、、、、。」


「、、、、あの、今終わったんじゃが、ちょっと後ろ向いて貰えると、、、、。」


「、、、、、。」


「、、、、あの、早く拭かないと乾いちゃうって言うか、、、、すいませんのう。」



、、、、どうしよう。明らかに不審者なんだけど、目を逸らしても大丈夫なのか?


だが確かに、見詰められ乍ら尻を拭くのも気まずいか、、、、って言うか何で気を使わなくちゃいけないんだ?


仕方ない、話が進まないし此処は、相手に合わせるか。



「へへへ、ほんとすいませんのう。」



後ろでは、お尻を拭いてる音が聞こえて来る、、、、気持ちを一新して頑張ろうと思っていたのに、最低の気分だ。


ザッザッという音が聞こえて来る、、、ブツに土を掛けているのだろう。


一連の処理が終わったのかジジイは声を掛けてきた。



「あの、すいません。終わったんでこっち向いて貰っても大丈夫ですじゃよ。」



さて、このクソジジイをどうしてくれようか?



「、、、、アンタ、人ん家の前で何やってんの?」


「え?」


「え?じゃねえよ!何で「私、何か可笑しな事しました?」って感じでキョトンとしてんだよ!?」


「イヤ、、、あれ?此処って、、、あの~、エルフのアザントん家だったと思うんじゃけど、、、、もしかして彼って引っ越したんですかいのう?」



アザントさんの知り合い?イヤイヤ、どっちにしても可笑しいから!って言うか知り合いの家の前で野糞とか、より変だから!


でも、アザントさんの知り合いか、、、、、迂闊な事は出来ないな、アザントさん起こしてくるか。



「、、、、アザントさんの家で合ってますよ。今起こしてきますけど、どちら様ですか?」


「いや~良かった。やっぱりアザントん家で合ってたわい。知らぬ人の家かと思って焦った焦った、、、おおっ!そうそう、儂はアザントの古い知り合いでな、名はジル・ミラーじゃ。ジル爺さんとでも呼んどくれ、、、、で?お主は誰じゃ?」


「僕はつい先日、アザントさんに命を助けて貰ってそのまま弟子入りした吾川流一と言います。」


「ほ~弟子とな?こりゃまた珍しい。あ奴が弟子を取るなんてなあ、、、おっ!?久しぶりじゃなアザントの。」



ジル爺さんとの挨拶を交わしているところ、アザントさんが起きてきた。


ジル爺さんの顔を見ると、いたずらっ子の様な笑みを浮かべ、嬉しそうに口を開く。


嬉しそうだな、、、、親友とかなんだろうか?



「おおっ!もしやお主、ジルか?こりゃまた珍しい客じゃな。久しいのう、ジル。」


「お前はちっとも変わらんなあ、相変わらずの研究三昧か?」


「儂等エルフは10年や20年じゃあ、見た目は大して変わらんよ。お主の方は更に老けたのう」


「ひゃっひゃっひゃ!仕様が有るまい!あれから10年以上経って居るんじゃぞ。お前等エルフと比べるんじゃないわい!」



二人は悪態を付き乍らも、本当に嬉しそうに会話していた。


二人がどんな関係だったのかは知ら無いが、こう云う歳に成っても変わらず続く友情は、何か良いなと思う。


二人の会話は暫く続き、アザントさんは思い出したかの様にジル爺さんの訪問の理由を尋ねた。



「して?また急に訪ねてきたが、、、何用かのう?」


「そうじゃそうじゃ!お主に頼みたい事があってな、ヘルデント病の薬を調合して欲しいのよ。」


「ヘルデント病か、、、在庫は有ったかのう、、、ちょっと見て来るわい。」


「悪いな、知り合いの孫が患ってしまってな。」


「なになに、構わんわい、どれ位必要そうじゃ?」


「恐らく、1週間分位有れば大事無いじゃろ。」



アザントサンは住居に使っている洞窟に向かわず、その横に立ち、何も無い壁の方に向かって手を翳すと、人一人分が通れる位の穴が現れた。




「相変わらず用心深い奴じゃのう。」



ジル爺さんは、呆れた様にそう呟いた。


暫く黙って様子を見ていると、アザントさんが赤い液体が入ったビンを持って出てきたが、何やら浮かない顔をしている。



「済まん。精々3日分位しか無かったわい。これ位じゃあ足りんだろうのう、、、。」



アザントさんの言葉にジル爺さんは苦笑いをし乍ら「、、、、そうじゃなあ。」と同調する。



「ここら辺で、材料は取れんか?何と何が必要だったかの?」


「若い月光樹の根とアマンダの実、ドドの種が必要なんじゃが、、、、月光樹の根が無い、他は取り揃えて有るんじゃがのう。」


「月光樹か、次の満月はいつじゃった?」


「確か2週間後じゃな、知り合いの孫とやらは発症してどれ位なのじゃ?」


「いや、まだ2週間位じゃから余裕は有るが、、、そうか2週間か、その間どうしようかいの、、、。」



ペシペシと頭を叩き乍らジル爺さんは困った様にそう呟く。



「ん?家で暫く泊まっていっても良いんじゃぞ?他にまだ厄介事でも有るのか?」



そうアザントさんは疑問を以って提案するが、ジル爺さんう~んと言い乍ら何かを迷っている。



暫く逡巡した後、ジル爺さんが口を開いた瞬間、森の方からガサガサと何かが突進してくる。


すわ!魔物か!?と身構えた瞬間、何かが飛び出した。



「ヒャッハー!爺ちゃん見て見て!ジャイアント・ガウソ狩ってきたぞ!どうじゃ?凄いじゃろ?」



世紀末のならず者みたいな寄声を上げて突入して来た子供は、軽自動車位はあろうかと思われるサイズのジャイアント・ガウソと云う魔物をドシン!と置くと、余程嬉しかったのか、自信が自ら狩ってきた獲物を指差し、意気揚々に自慢した。


何だこれ?すげーなー本当にこんな子供が狩ってきたのか? どう見たって小学生位だぞ 、、、、良く見ると素手だし、この子も魔法使い?


「どうじゃ?どうじゃ?」とジルさんに感想を求めているのだが、その様子を見てジル爺さんは困った様に「はあ~」と、深い溜息を吐いた。



「、、、、アンリ。お前、儂に一服盛ったじゃろ?」


「ギクッ」



「ギクッ」って言っちゃったよ。


語るに落ちるとかってレベルじゃ無いよね。


それにしても一服盛ったって、、、、自分の爺さんに何してんだ。



「な~んか、変じゃと思ったんじゃ。此処に着いて早々、手料理を食わせてやるって言うて食ったら見事に腹を壊しおったわ!吐け!儂が食った食事に何を入れた?」



ジル爺さんにジト目で見詰められ、そのプレッシャーに耐えられず目を逸らし乍ら自白した。



「、、、、、スライム入れた、、、、ちょこっとじゃよ?」



アンリはバツが悪そうにモジモジし乍ら唇を尖らしてそう呟く、、、、、スライムってお前、、、、。


それを聞いたジル爺さんは青い顔をして恐れ慄き、後退る。



「なっ!?お前、もしや、、、、、き、昨日の死体に群がっておったスライムか?アレなのか?」



うっ、、、、死体に群がってたって、、、それ、、、、、。



「う、うん、、、、、、ホント、ちょこっとじゃよ?」


「ちょこっとで済む話か!下手したら死んでしまうわ!アザントっ!何の薬か判らんが、兎に角早く薬をくれ!、、、早くっ!」



アザントさんは余りにもの子供の暴挙にドン引きしていたのだが、ジル爺さんの声に気を取り戻し、急いで先程の倉庫に向かった。


その様子を見送ったジル爺さんは、アンリに振り向き直すとまた問い詰め始めた。



「、、、、お前は何で平気なんじゃ?、、、一緒のスープ飲んでた筈じゃろ、、、、、ハッ、まさか生かっ!?生で入れたのかお前はっ!?」



アンリは、ジル爺さんに両肩を掴まれガクガクと揺さぶられ、ジル爺さんの必死の剣幕に、自分が一体何をしでかした事に感付いたのか、気まずい顔をして呟く。



「ちゃ、、、、ちゃんと鍋に入れたぞ、、、う、嘘じゃないぞ!?」


「嘘こけ!小数点以下の秒数で嘘と解るわ!ぐわぁーマジかコイツ!マジなのか~」



子供とは言え洒落にならんだろそれは、、、。


アザントさんが持って来た薬を飲み、漸く落ち着いたのかジル爺さんは、アンリの紹介をする。


ちなみにアンリはパンツ一枚にされて木に吊るされている、、、、幼いとは言え、当然の処置だろう。



「こ奴はアンリと言ってな、儂の孫娘じゃ。歳は11歳でアザントは知っておろうが、両親とも冒険者でな、共に死んでしもうたところ儂と婆さんで育てておる。旅は危険じゃから婆さんと待っておれと言ううのに、どうしても付いてくると聞かなくてな、共に此処まで旅してきた訳じゃ。」



ジル爺さんとその孫のアンリに僕は出会った。


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