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STRONG ALONE  作者: 坂江快斗
2/15

SA 0-1

「はっ!」


けたたましいほど部屋中に鳴り響く目覚まし時計により私は目を覚ます。

朝は、それほど苦手ではないが昨日は友人との電話で夜更かしをしてしまったのだ。

いまだに鳴り響く目覚まし時計をなかば強引に叩き止めると私、二見琉夏ふたみりゅうかは怠さの残る

体を起こした。


時間は、午前7時10分。登校時間までには、まだ一時間以上もある。

我ながら余裕のある朝を迎えることができた。

登校の準備をし、テレビをつけ、朝食を準備しつつ、食べながらニュースを確認する。


「第3コミュニティニホンの天気は、本日も快晴。絶好のお出かけ日和です!」


「お出かけ日和って、私たち学生は室内でお勉強なんですけど…」


そんなことを思いながら、目玉焼きを乗せたパンと少し苦めなコーヒーを飲み朝食を済ませた。

時計を見ると午前7時50分。今から家を出れば登校時間である8時45分には余裕で間に合うだろう。忘れ物がないかを確認し私は、いつも彼らに行っている挨拶をする。


「行ってきます。」

そう両親の遺影に告げて、私は、学校へと向かう。



「二見~、おはよっすー」


家を出て間もなく、声をかけてきたのは同じクラスの真城豪太ましろごうただ。

家が近所なので、家を出る時間が偶然重なるときは一緒に登校することもある。


「おはよ、真城くん。今日は、自分で起きられたんだ?」


「俺だってたまには、自力で起きるさ!まぁ、母ちゃんには怒鳴られたけど…」


彼には40代前半の母、真城透子ましろとうこさんがいる。女手一つで彼を育て、自身は大手医療関係企業のチーフとして働いているバリバリのキャリアウーマンだ。私たちが高校一年生の頃はよく一緒にご飯を食べたりもしたけど最近は、多忙と聞きあまり会う機会が無かった。知り合った時から彼の母は、とにかく厳しい人ではあった。


「朝からどたばたうるさい!だってさ。早く起きようが寝坊しようが、怒鳴られる俺って…」


「普段からちゃんと起きないからだと思うよ、それに慌てすぎ」


私は、彼のズボンを指さし、本人の目でそれが学校指定のズボン(紺色の生地にチェック柄が入っている)ではないことを確認させる。


「うあっ!!ミスった!、変えに戻っても完全遅刻コースじゃん!早起きの意味ねーじゃん!」


慌てふためく彼に走れば間に合うかもと告げると、来た道をズボンのベルトを外しながら引き返していった。


「気を付けてね」と、彼に一言伝えると「おう!」と振り向きざまに宣言しながら彼はゴミ置き場のポリバケツにぶつかり転倒した。盛大にまき散らしたごみを片づけたのち、全力で自宅へと帰っていった。


もう、慌てすぎだよ。と苦笑いを浮かべていると、そこに・・・


「ふーたーみーーん!!」の呼びかけとともに私の体に衝撃が走る。


「ぐはっ!」


その瞬間、私の目に入ったのはとても澄んだ青い空だった。今朝の天気予報で言ってたように私もこのまま空を飛んでお出かけしてしまおうかしら。

滞空時間がスローモーションに感じるほど見事なまでに突撃され、先ほど真城君が丁寧に片づけたゴミ箱へとダイブしてしまった。


「ふたみん、生きてる?てか、おはよう!」


彼女は、恐ろしいくらい眩しい笑顔を見せて私に挨拶をしてくれた。とりあえず生きていたので生存報告とおはようと朝の挨拶をして、冗談でもうすぐ死ぬかもということを伝えると彼女は、真に迫った演技(?)でふたみんが死ぬのは、嫌!と言う。そろそろ重たいしゴミ箱も片づけなければいけないのでどいてくれる?と頼むと彼女はとても清々しい笑顔でどいてくれた。そしてゴミ箱も一緒に片づけてくれた。

まぁ毎朝同じようなことをしているので、慣れているけど今日のは一段と気合が入っていたのは気のせいだろうか。


「瑛梨奈、あんた日に日に威力上がってない?そろそろホントに危ないからやめ・・・」

そこまで言いかけると彼女は、またにこっとして話をごまかした。これも彼女の得意技である。


「まぁまぁいいじゃん!スキンシップは、大事だよ?そんじゃあ早く学校行っこーう!!」


毎朝スキンシップと称してフライングプレスを浴びせてくる彼女の名前は、五堂瑛梨奈ごどうえりな。身長は私より少し小さい155センチで、髪の毛はセミロングで前髪がМ型に分けられているのが実にかわいらしい。高校では、同じクラスで私と彼女は中学生のころから知り合いだ。昨日の晩に電話していたのも彼女である。


天真爛漫で明るい彼女の性格にはよく助けられたこともある。それだけに許せてしまうのが私の甘い部分なのだろう。

そうこうしているうちに校門の前に着いた。瑛梨奈のマシンガントークを聞いていると登校時間があっという間に感じる。校門には、生徒指導の原口先生が立っていて見事なまでに入る気力を削がれる校門が完成していた。原口先生に瑛梨奈がよく捕まるので一緒にいる私まで巻き添えで怒られることがあるので少し苦手な教師である。二人は、目を合わすなり火花がバチバチとでているのがわかった。


「先生、おはよぉぉ・・・」

片眉をあげてあからさまに嫌悪感を顔に出しながら、瑛梨奈の先制攻撃だ。


「五堂ぉ、ございますをつけろよ…」


すかさず身長差20センチ上から見下ろしながらのにらみを利かせた反撃。あんなに顔が近いと私なら白旗をふってごめんなさいだ。さて瑛梨奈は、どう出る?


「ございますぅ・・・、・・・ホンジツハオヒガラモヨク・・・ゴキゲンヨウ」


なんだかよくわからない日本語になっているようだが瑛梨奈なりの対抗なのだろう。さすがの瑛梨奈も顔面脅迫には引いてしまうようだ。さすがにいつまでも硬着状態が続くと遅刻をしてしまう。学校を目の前にして遅刻をすることは避けたいのでこの辺で助け船を出すとするか。


「あの、先生、おはようございます」


そう言うと原口先生がああん、なんだてめえは邪魔すんな的な意味合いを込めてギロリとこちらを睨みつけてきた。うぅ、やはりきつい・・・。


「・・・ああ、二見か、おはよう」

2人は私のほうを向くとクールダウンし、お互いになぜかお辞儀してその場を後にした。

いつもに増して濃いめな登校をだったけど今日も一日頑張っていこうではないかと思えた朝だった。



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