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STRONG ALONE  作者: 坂江快斗
14/15

SA 1-6

制圧完了のブザーがトウキョウに鳴り響く。

それは、2つ鳴ったように聞こえた。いや、間違いなく2つ鳴ったのだ。

1つは、5班のものだろう。じゃあ、あと1つは・・・?

先ほどまで大乱戦が繰り広げられていた5班陣地は、静寂に包まれている。俺の傍らには阿刈新丈の亡骸が。しばらく再起不能だろう。色んな意味で。そんな中2班の連中と俺は、杉田先生による制圧情報を待っていた。

各班の王様が撃破されると、その情報がすぐに先生へと伝わりそれを全員に伝えるため放送するのだ。程なくして、先生からの放送が始まる。俺たちは、揃って耳を傾けた。


「はーい、みんな元気に戦ってるー?先生は元気ですよー!さてさて、戦況が動き始めているようだね。たった今制圧された班を発表するよー!」


その場に緊張が走る。2班の3人は気が気でないのだろう。


「まず、第5班!全員男のくせに大したことないぞー!4人であんなに激しく先生を攻めておいてあっけなさすぎ!先生、期待してたのになぁ。あ、ちなみに制圧したのは、第2班の七瀬君、竹原さん、笹野さんでーす。そしてもう1つの制圧された班は・・・」


制圧された側の人間としては、ここからが気になるとこだ。第5班の他にそれもほぼ同時に制圧されたところって・・・。

先生が、変に長い溜めを作る。あまりにも長いので、音響機器が壊れてしまったのかと思うほどだ。

じわりと汗が出て、まもなく地に落ちる。そして告げられるもう1つの制圧された陣地。


「第3班でーす!意外だねー!先生も何かの間違いかと思ったけど、まさか二見さんの班が1番初めに制圧されるなんてねー!」


待て、今杉田先生は『一番初めに』って言ったよな。ということは、俺たち5班は最下位じゃないってことか!不幸中の幸いとはまさにこのことだ!マラソンも覚悟していたが、それが3班になるとは。お気の毒に・・・。緩む頬を手で隠しながらそんなことを思っていると先生が続けて、制圧した生徒の名前を告げた。


「そんな優勝候補だった第3班を制圧したのは、第4班の美鳥蓮くんでーす!単独での制圧、さすがだねぇ。」


美鳥蓮・・・。その名を聞いたとき俺は背筋が凍るような悪寒に見舞われた。

首都エリアにおいて「美鳥」の名を知らない者はいない。

地下世界には、5つの管理局がある。

コミュニティの法律を管理する「政務局」、気象を管理する「気象局」、医療を管理する「医療局」、

他のコミュニティとの外交を行う「外交局」、そして治安を管理する「警視局」だ。

その警視局局長は「美鳥仁」。彼、美鳥蓮の父親で地下の世界第3コミュニティニホンの治安を全て統括しているのである。世界復興の会からも一目を置かれる存在でありとにかく偉いのだ。もう偉いとしか言えないくらいその存在が圧倒的であり、謎でもある。

特に「医療の東亜」「守護の美鳥」は、世界に名を連ねるいわば有名人だ。その美鳥家の一人息子、美鳥蓮は掴みどころのない男でクラスでもあまり目立とうとするタイプではない。黙々と作業をこなすタイプだ。俺も話しかけたことはあるけど今のところあまり仲良くしてもらえていないというのが現状。

しかし、単独での陣地制圧には正直に驚いた。さすがに刑事の血というものは受け継いでいるみたいだな。


「というわけで、現状報告は終了です!残り30分、死力を尽くして戦ってね!」


杉田先生が放送を終えると同時に5班陣地に駆け込んでくる人影。バタンと扉が勢いよく開き、そこにいたのは、肩で呼吸する二見琉夏と五堂瑛梨奈だった。

二見は、新丈を発見すると真っ先に叩き起こし状況の説明を求めていた。五堂は、よくやったとチームメイトを褒めている。明暗分かれているようだが、俺は相変わらずひとりぼっちだった。


「ちょっと!阿刈君!何が起きたの!?私たち最下位ってこと?」

「し・・・知ら・・・ねぇよ・・・。あんまり動かすんじゃねぇ・・・。」


新丈は、局部を恥じらいもなく抑えて痛みに堪えている。かわいそうに・・・。まさか本当にカレーパンの恨みを買ってくれるとは・・・。うん、笹野さん、グッジョブ!

新丈では、話にならないと悟った二見がこちらを向き話しかけてきた。俺は、これまでの戦いのいきさつを話し、最下位どんまい、と言葉をかけてあげた。


「とりあえず、俺たちは次の陣地を制圧しに行く。二見もご苦労様。とりあえず豪太、俺はお前にゴム弾を当ててないからな。本当だぞ。」


俺は、へーへーと生返事を返し第2班4人は去っていった。そのあとすぐに二見が陣地に残されている仲間を見てくると言い、飛び出していった。

この場に残されたのは、死にかけの阿刈新丈と俺だけだった。


はぁ・・・。カレーパン・・・。


ほんの少しでも無念を晴らしたかった俺は、うずくまっている新丈の坊主頭を

ぺしっと叩いた。


「いってぇ・・・。」



チームマッチ残り、25分。



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